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青の大罪~最強の契約~  作者: 幽玄の奏者
第一章 王都脱出編
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失いし運命

 そこからは、覚えていなかった。気がついた時には、アリアを抱き抱えて洞窟の外へと出ていた。アリアは、生きていた。間一髪だったのだろうか。アリアは、動かない。やがて、元々いた草原へと戻って来た。


「………?疲れてるのかな?」


 アリアは、動かない。仕方ないやつだな。僕は、アリアをそっと地面に下ろす。いや、おろそうとした。ぬるり。嫌な感触と音がしてアリアが滑り落ちる。手を見る。血。べったりと手についていた。誰の血だろう。盗賊?僕?………違う。アリアだ。


「あ、ぁぁ!!」


 僕は、みっともなく腰を抜かして失禁する。無様だった。普段の僕ならばすぐに逃げ出したかもしれない。だけど、今目の前で倒れたているのは血を流しているのは、陽を失い、そして次に見つけた、僕が生きている意味。アリア。まだ、助かるはずだ。早く、早くサラスヴァティを召喚して回復してもらおう。僕は、アリアが死んでしまわないように、呼び掛ける。もう、意味はないと頭では分かっているのに。


「あ、アリア。待ってろよ。い、いま、今!助けるからなぁ………」

「召喚!!」


 いつも通りのスキル。召喚をする。しかし、光は出てこない。セトとは契約が終わったのだろうか?呼びだして、受託を行い、サラスヴァティを召喚しようとおもったのに。それに、いないなら何故スキルは発動しないのだろうか。


「召喚、召喚、召喚!召喚!!召喚召喚召喚召喚召喚召喚召喚召喚!しょうかぁ………ん」


 何度も何度も何度も呼び掛けるがスキルは発動しない。何でなんだよ!スキルはあるはずなのに。僕は、なげやりにステータスを確認する。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


望月 理緒 17歳 男 失いし運命


職業 


スキル


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 そこに書かれていたのは、絶望的な内容だった。


「 な、何でなんだよ!俺は、青の契約者なんだろ!?何で、何で何も書かれてない空欄・・なんだよぉお!! 」


 僕は、地面をたたく。何度も、何度も。拳からは皮がめくれ肉がみえ血が溢れている。


「 何だよ………。力ってこんなにも失いやすいのか!?何だよ………。失いし運命って!俺は、何をしても失わなければいけないのか!?守ることは出来ないのかよ?陽、アリア、陽、アリア………。 」


 僕は、ひたすら陽とアリアの名前を呼び続けた。守るべき存在。守ろうと思える人物。どちらも関係こそは浅いものの僕を好いてくれた、頼ってくれた、側にいてくれた。………あぁ、そうか。僕が二人を殺したんだ。陽は、僕を守って死んだ。アリアは、僕の側にいたから死んだ。全部、僕のせいだ。僕に関わるものは全て無くなってしまう。力もそうだ。最初にルシフェルは言ったはずだ。この力は、思いの力だと。守るべきものすら守れない僕では思いが足りないのだ。力がないと失う。力があっても失う。僕といる限り。



 あぁ、苦しい。なんて、苦しいんだろう。でも、僕はこの苦しみから逃れる方法を僕は、知っている。銅の剣を片手にもち、喉へと持っていき、躊躇なく喉をかっきる。血があふれでる。不思議と痛みはなかった。これで、すべてから解き放たれると思うとむしろ、快楽だった。


「………が…。ご…で……ぁぇる!」


 最後の最後に声を振り絞る。僕の目が次第に閉じていく。霞ながら見る最後の景色には女がいた。何となく、女と感じただけで姿は目が霞んで見えなかった。ただ、女の存在を不思議に思いながら目を閉じた。こうして、僕は、死んだ。


「……君は、この世界に必要だ。死んではならない。だからこそのなのだから。」


 女は、リオので寝ていた。先ほどまでのはなくなっている。これまでの行動からもわかる通り女は、リオに絶対の信頼をおいていた。だからこそ、たった1回の禁忌の力を使った。女は、力を使った後あっけなく死んだ。リオは、一人の女に助けられた。否、やり直すチャンスを与えた。たった1回のチャンスを。


 この日、一人の神が消滅したのだと神の間で噂になった。その神は禁忌を犯したのだとか。それも、人間ごときのために。敷かし噂を神は、誰も気にとめなかった。


      ーーーーーーーーーーーーーー


 目を開けると、天井があった。最初の頃、よく見かけた天井。異世界に来てから見かけた天井。回りは自分の部屋、そのまんまだった。ここは、どこだ?俺は、死んだ。それは、まごうことなき事実だ。喉を触る。そこには、剣で切ったはずの傷がなかった。


「………え、は?何が………?」


 この異世界に来る前に死に戻りという現象で異世界で頑張るというラノベを見た。それがとても好きだったので、異世界にきたころその事について調べてみたのだ。その結果は、太古のスキルとして存在した。だが、そのスキルは絶対に使えないと言われている。禁忌のスキルと太古のスキルは、神にしか使えないんだとか。じゃぁ、何が起こったんだ?ここは、死後の世界か?それにしては、実体がありすぎる。考えられるのは、禁忌の魔法の時間の巻き戻し。だけど………。ガチャリ。戸惑い、考えているとドアが開かれる。現れたのは、守りたかった少女とかつての親友だった。


「リオくん!訓練行こっ!………!?」

「よっ!おはよう。………おまえ、何で泣いてんだ!?」

「え?あ、あぁ何でだろ?夢でも見たんじゃないかな?」


 陽と隆希は笑顔で僕を迎えに来た。いつものように。つい涙がてでしまった。あぁ、そうだ。僕は、この笑顔を守りたかったんだ。今度こそ守るんだ。


「なんだそりゃ、外で待ってるぜ。」

「リオくん、早く来てね?」


 二人は扉を開けて外へと出る。僕は、以前の様に訓練服に着替えて、扉を出ようとする。最後にステータスプレートを見る。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


望月 理緒 17歳 男 運命に抗う者


職業 青の契約者


スキル 召喚 契約 受託 武道の心得 鑑定

    セトの加護 守りし者の運命 


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 全てが変わった。失いし運命から運命に抗う者へと。それに伴って受託で貰ったスキルではない新しいスキルがあった。スキルを確認する。そして、リオは、微笑みそして扉を開けて勢い良く飛び出した。さぁ、ここからだ。魔人が来る前に何とか力をつけないと。陽を守れるだけの力を!今度こそ!


「行こう!」

「おう!」

「うん!」


 もう、二度と失わないために。守るために。リオは、新たな決意を胸に歩き出した。



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望月 理緒 17歳 男 運命に抗う者


職業 青の契約者


スキル 召喚 契約 受託 武道の心得 鑑定 

    セトの加護 守りし者の運命





アリア? 女 ??? 禁忌の神


職業 運命の神


スキル ???




セトの加護 全ての魔法耐性がつく。

守りし者の運命 守るべき存在がいればいるほど強い神や天使を召喚できる。





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