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青の大罪~最強の契約~  作者: 幽玄の奏者
第一章 王都脱出編
6/44

村と盗賊

 さて、どうしようか。勢いに乗って出てきてしまったものの、いく当てがない。一応、最低限の装備は貰ったのだが……。


 とりあえず、何処か近い町を目指すようにしよう。この世界の知識については大体は勉強したのでわかる。


 理緒は、貰ったマップを見る。すると、すぐそばに、小さい村がある。距離的には十キロメートルぐらいだろうか。


 「【召喚】ルシフェル」


 理緒は、ルシフェルを召喚した。敵も居ないのに何故出したのか。それには、理由があった。


「契約内容を果たしたいんだけど……………」


 そう。ルシフェルの契約内容である、感情を早く教えて、受託で自分を強くしようと思ったからだ。理緒は、ルシフェルなしではスライムにも苦戦してしまう。しかし、理緒の予想外の言葉がルシフェルから放たれた。


「いえ、契約内容は果たしてますよ。最初から」

「は?」

「いえ、ですから最初から感情なんて理解してますよ。この私がそのようなものを理解していないとでも?」


 ルシフェルは、笑顔で答えた。こいつ…………うぜぇ!まぁ、それはそれで好都合だ。早く受託してしまおう。


「受託って言えばいいのか?」

「えぇ、名前もですよ」

「【受託】ルシフェル」


 すると、理緒の右手が青色に光る。よく見れば、手の甲に青色の紋章が浮かんでいる。そして、ルシフェルが光り始めた。


「では、さようなら」

「うん、あの時は助かった。ありがとう。」


 ルシフェルの光が強くなり、そしてルシフェルが光の粒子になって消えていった。理緒は、何を貰ったのだろうか。少なくとも、武器では無いのだろう。理緒は、ステータスを確認する。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


望月理緒 17歳 男 青の契約者


職業 青の契約者


スキル 召喚 契約 受託 武道の心得


契約中


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 スキルをタッチして更に詳しく確認する。武道の心得。貰ったのはこのスキルだ。理緒は、ステータスのスキルを確認して思わずにやけてしまった。


【武道の心得】剣術、弓術、投郷、拳術、等の武術を知らなくても少しなら、扱うことができる。


 これは、最初から良いスキルを貰ってしまった。これならば、新しく召喚せずとも村まで安全に行くことができる。……………はずだ。


 理緒は、村に向かい歩き始めて約一時間で着いた。道中、スライムとゴブリンというRPGの弱小モンスターと数匹戦ったが、ルシフェルがくれたスキルのお蔭で剣を使えば直ぐに倒せた。剣は、出ていく際に、せめてこれだけでもとグランデさんから貰ったものだ。


 村は、思っていたよりも小さかった。因みに、この村は森の中なので、農業や狩猟をやる人がほとんどらしい。それに、この村の外見から貧しい感じがした。


 とりあえず、宿屋だ。泊まれる場所を確保しなければ話にならないだろう。そう思い理緒は、宿屋とみられる場所へと入る。中には、人がほとんど居なかった。


「いらっしゃいませ。何泊されますか?」

「あ、一泊で。」


 因みにカウンターをやっていたのは、僕と同じくらいの女の子だった。髪が茶色で結構可愛かった。そんな、ことを考える僕の頭に陽の顔が浮かび、罪悪感と激しい自己嫌悪が沸いてきた。


「食事付きで、銅貨二枚、なしでは銅貨一枚です。」

「……………食事付きでお願いします。」


 僕は、銅貨二枚を出して、借りた部屋に入った。この世界では、お金の価値が銅貨、銀貨、金貨、白銀貸となっている。王都では、銀貨一枚だったのを考えるとこの宿はかなり安い。


 部屋に入るなり僕は、今の自分の持ち物を確認する。銅の剣、投げナイフ5つ、銀貨五枚。これら、全て出ていくときにグランデさんがくれたものだ。それと、ステータスプレート。


 次は、召喚だ。やはり召喚しておいて損はない。それに、人前では出来ない。なぜなら、この世界で召喚士というものは存在しないからだ。見られると厄介なことになること間違いなしだ。


「【召喚】」


 またしても、右手に青色の紋章が浮き出てきた。やがて、目の前の光が強くなり契約相手が現れる。


「私の名前はサラスバティです。得意とするのは回復魔法。契約内容は優秀な後継者を育てさせてください。」


 困った。先程も言った通り召喚士というものは存在しない。なのにも関わらず後継者だ。勿論、僕には魔法の適性など分からない。


「はぁ、どうしよう。」

「大丈夫です。私には鑑定スキルがありますのでそれぐらいなら分かります。ステータスで私のスキルが確認できると思います。」


 この契約内容がほんの少し簡単になった。……………のかもしれない。僕は、すぐさまステータスを確認した。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


望月理緒 17歳 男 青の契約者


職業 青の契約者


スキル 召喚 契約 受託 武術の心得


契約中 サラスバティ 6000歳 女神サラスバティ


スキル 魔術の要素 再生魔法 鑑定 氷魔法2


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


魔術の要素 魔術(・・)が使えるようになる

 

再生魔法 回復魔法を極めた魔法。回復系の魔法全てが使える。

 

鑑定 相手のステータスや物の価値や説明が見えるようになる。


氷魔法 氷の魔法のレベル2までが使える


 欲しいスキルがたくさんある。例えば、再生魔法。これは、是が非でも欲しい。あとは、鑑定だろう。僕は、これは、直ぐにでも見つけて教えようと決意する。。問題があってもなんとかなるだろう。


 その日の夜の昼食は、猪の肉だった。味がとても良かったので、他にも追加で頼んだら喜ばれて、色々と話をしていたら仲良くなった。それに、あのカウンターの子はサラスバティの後継者になるかもしれないし。そう思って仲良くなっておいた。……………そう思わないと罪悪感に押し潰されそうだった。


 僕は、夕食をとったあと、部屋へと戻り眠りについた。僕が眠っているとき、何かの大きな声が聞こえて起きた。すると、あのカウンターの娘がやって来た。まさか……夜這い!?嘘です。ごめんなさい。調子のりました。


「何かあった?」  

「と、盗賊が村を襲ってきました!直ぐにでも逃げてください!」


 あれ、これはチャンスなんじゃ?ここで恩をうっておけばサラスバティの事、黙っておいてくれるかも知れない。それに……ほんの少しの間だけどここの村の人にはよくして貰った。ここで守れなかったら前と陽の時と同じだ。


「……………逃げない」

「……………え?」

「もう、逃げない!」


 あの娘が何か行っていたが構わず剣を持って飛び出していた。宿屋を出ると、村長が盗賊に対して土下座をしていた。それを盗賊たちはニヤニヤと無理な要求をしてその反応を楽しんでいた。何て、下劣なんだろか。


「…………」


 僕は、いつのまにか走って盗賊の首を落としていた。


「……?っ!お、お頭!!」


 何だ。あいつが親玉だったのか。そこからは楽だった。盗賊たちは、普通の剣よりもリーチが圧倒的に小さいいわゆるダガーだったので当たることもなく終わった。


「お、おいっ!こいつがどうなっても良いのか!?」


 村長や他の村人が人質にとられていた。他の人に、夢中で気づかなかった。


「……どうすれば良い?」

「土下座しろ。あぁ、剣はこっちに投げろよ?」


 え、土下座で許すのか?と思ったけど、絶対違うよな。しかし、抗う術を思い付くはずもなく、僕は、剣を投げ、土下座をした。


「……………くっ、はっはは!愉快だなぁ~?これでも、お前には感謝してるんだぜ?ありがとうよ。お頭が死んだから俺が次の頭だ!お前には、感謝の印にこうしてやる…ぜっ!」


 村長がさされた。他の村人も刺されていった。僕は、また……同じ事を繰り返してしまうのか。………いや、もしかしたらサラスバティの回復魔法で治せるかもしれない。冷静になるんだ。そう思いながらも視界が怒りで染まってしまう。


「う、うぁぁぁぁぁ!!」


 僕は、やや情けない雄叫びをあげながら盗賊を切り刻んでいった。わざと致命傷を避けて何度も何度も。そうして、盗賊は全滅した。後ろを向くとあの少女が回復魔法をかけていた。


「【ヒール】!【ヒール】!【ヒール】!」


 まさか、回復魔法が使えるとは思わなかった。この世界での魔法は訓練次第で使えるようなる者が多いが回復魔法が使える人は少ない。だが、ヒールでは意味がない。魔法にはレベルがある。最大でレベル10。そこまでいくと、再生魔法のように名前が変わる。しかし、少女が使っているヒールはレベル1だったはずだ。サラスバティに聞いた。


「………そこをどいてくれ」

「嫌です。絶対に諦めない………………!」


 彼女は、こちらを見もせず、魔法を使い続ける。しかし、いずれかは魔力も尽きるし、他の人の命までも尽きてしまう。


「大丈夫だから……………」


 彼女は、困惑した表情をしてこちらを見ていた。早くしないと手遅れになる。焦って僕は、彼女を突き飛ばしてしまった。


「ちょ!何をするんで」

「【召喚】サラスバティ」


 彼女は、召喚されたサラスバティを見て「え?……………え?」と困惑していた。当たり前か。僕は、気にせずサラスバティに回復を頼む。


「治しせる?」


「承りました。【エクストラヒール】」


 サラスバティは、一度の魔法で全ての人を治して、消えていった。エクストラヒール。死んでなければ全回復する魔法レベル最上位の魔法なんだとか。


「ごめん、ちょっと疲れたからもう寝るね」

 

 とにもかくにも、治ったのならそれでよし。僕は、眠さがピークに達していたので宿屋へと戻った。


「え?あ、あの!……あ、ありがとうございます!」


 彼女は、泣きながらお礼を言っていた。良かった。今度は、ギリギリ守りきることができた。でも、次はこうはいかない。もっと、もっと強くならなければ。ひとまず、皆助かって良かった。


 僕は、部屋の扉を閉める。すると、腰が砕けたかのように座れこんでしまった。


「……………うっ、おえっ」


 涙と嗚咽が激しく僕を襲ってくる。人を……………殺した。つい最近まで、人殺しなどとは無縁だったはずなのに。あぁ、守るってこういうことなのかな。僕の心を唯一、彼女の涙を啜る声が慰めた。





 

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