服
短いです!
僕たちは、町の市場に来ていた。
「凄い……………こんなにお店があるんだね」
装飾店から飲食店、家具屋や武具屋とたくさんの出店があった。そのほとんどが、簡易適な店で家のような店はなかった。それにしても、店が多すぎて選べないな。
「そうだ!グランデが決めてよ!」
とグランデに丸投げしてみた。仕方ないんだ、優柔不断さには自信があるからね。まぁ、自慢できることではないけど。
「……………」
しかし、グランデから返事は返ってこない。グランデも迷っているのだろう。少し待てば大丈夫かもしれないし、待ってみよう。
(手を繋いでる?手を……………繋ぐ。あぁあぁ!ど、どうしよう。そう、深呼吸すればいいのよ。落ち着いて考えなさい。これは、はしゃいだために起こってしまった事故。そう、気にしない。)
グランデは、心の中で葛藤を続けていた。それもそのはず。生まれてから一度でも、男に手を繋ぐどころか触れたことすらないのだ。しかしグランデは、一度、自分から手を引っ張ったこと、それ以上に恥ずかしいことがあったのを忘れていた。そんな、グランデの事など知らない理緒はグランデに話しかける。
「グランデ?」
「ひゃ、ひゃっい!?」
グランデは、変な声を出した。……………え?驚いてグランデの方を見ると顔から火が出るのではないかと思うぐらい赤くなっていた。それを見てこちらまで、恥ずかしくなる。
「え、と。行こっか。」
優柔不断とか言ってられない。僕は、グランデを引っ張るように歩いた。思えば、これはデートなのではないだろうか。やばい、意識した瞬間に鼓動が速くなるのが分かった。
それから、僕たちはその辺の服屋に入った。中には、たくさんのオシャレな服があった。異世界の服とかってどんなのだろうと期待していたが、もしかしたら地球と同じくらいオシャレなんじゃないだろうか?
「あ、どうせだからグランデが選んでよ!」
「え、私がですか?私、ローブしか着ないのでよく分からないんですけど……………」
「大丈夫、大丈夫!よし、じゃあ僕はグランデの服を選ぶよ」
「え!私のも買うんですか!?」
え、何で驚いてるの?折角だから、もっと女の子らしい服を着てほしいという願望からだが、決して言わない。
「わ、分かりました」
そういって服を選び始めた。時に、僕の方を見たり、服を合わせて見たりしていた。僕?僕は、もう決めたよ。こういうのは優柔不断じゃないんだよね。
「決まった?」
「は、はい。」
「じゃあ、お互い着替えようか。」
そういって、服をお互いに渡しあう。僕らはそれをもって試着室へと入る。僕に選ばれた服は、青を基本とした肩掛けのようなフードにもなるやつみたいなのが、ついている服だった。中々に動きやすいので、気に入った。外に出ると、既に着替えたグランデがいた。
「おぉー!」
「あの、は、恥ずかしいんですが……………」
グランデに選んだのは青い上着と、白いワンピースのようなものだ。更に、胸元が空いているのでハートのペンダントも買った。どうだろうか?僕の美的センスは。グランデは、恥ずかしがりながらも、気に入ってくれたようだった。
選んだこっちも嬉しくなるね。僕たちは、ごく自然と手を繋ぎ買い物を楽しんだ。