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青の大罪~最強の契約~  作者: 幽玄の奏者
第二章 才能開花編
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大暴走

「我、仇なす敵を打ち破りて、彼の力を示さん!その氷、全てを砕き、道を開かん!『氷雪爆破コキュートス』」


 グランデが魔法を唱えた。すると、大きな氷の塊が少女の前に現れる。少女を襲おうとしていたゴブリンは、肉片となって飛び散っていく。うわー、くらいたくないな。自分の顔がひきつっているのが、わかる。その間にグランデは、少女の前まで行き両腕で抱えるようにしていた。


「彼、死して尚我を愛さん。幾度も会いて抱き締めん。『終わりなき愛』」


 グランデが唱えると、少女が光で包まれていきく。それは、ゆっくりとだが少女の傷付いた体を癒してく。


「グランデはその子を連れて町へ!」

「理緒は!?」


 おっと。初めて、理緒って読んでもらった気がする。てか、聞かなくても分かるだろうに。


「勿論、時間稼ぎさ」

「分かりました!」


 グランデは、走る。町の中は安全だ。ただ、中の人が門を閉めようとしているから、僕ははいれないだろう。僕は、ダガーを構える。左は通常通り、右手は逆手に持つ。ダガーの二刀流だ。ナイフは使わない。


「はぁ……………よし、行くか」


 一度、深く息を吐き思いっきり走り出す。相手は数千のゴブリンだ。僕は、自分の中のギアを入れる。瞬間、意識が変わる。


 相手は数千。しかし、一撃で倒せば問題ない。

 止まるな。駆け抜けろ!  

 必要な情報はただひとつ。相手の首の位置。

 それ以外の情報は捨てろ。


 自分に言い聞かせる。僕の世界は急激に色を失い。ゴブリン以外が真っ黒に染まる。まるで、拒否するかの如く他の情報を受け付けない。


 僕は、すれ違うゴブリンの首を斬っていく。的確に一撃で。ひたすら。流れるように進み、作業のようにダガーを振るう。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉーー!!」


 更に、スピードを上げる。

 誰も俺を傷付けられない。誰も僕を倒せない。弱者は、死ぬだけだ。僕こそが、強者。僕こそが……………!


「が……………はっ!」


 吹き飛ばされる。ゴブリンごときに?ありえない。顔を上げると、そこには小鬼ゴブリンではなく、鬼が立っていた。確か、こういうのを


「……………オーガ!」

「グァァァァァァァァォォア」


 オーガは雄叫びを上げ、その手に持つ大剣を掲げる。オーガは、赤く血を連想させた。その、額に生えている角は立派で恐怖を感じた。


 それでも、理緒は立ち上がった。吹き飛ばされた、衝撃で左腕が動かない。右腕にダガーを握り、オーガに向かって走り出す。


「アァァァァァァ!」


 恐怖を隠すために叫びながら。オーガは、そんな僕を見て、笑みで顔を歪ませながら大剣を振り下ろす。まるで、赤子を扱うように易々と。僕は、それをダガーで受け流しながす。


「……………ウガッ!?」


 オーガは驚いたようだった。ざまぁみやがれ。しかし、代償は大きい。右手首が痛い。気にするな!自分に言い聞かせて、受け流した勢いをそのままに、オーガの手を斬りつける。そのまま、ダガーを走らせ、腕を斬る。そこで、前転をして足の間を通り、オーガの後ろへと出る。そこで、思いっきり


背面打突バックスタブ!!」


 突き刺す。心臓を狙って。本で見た真似をしただけの技だ。僕の戦いの技術は全てがライトノベルや漫画の真似だ。


「グァァァゥゥゥ!?」


 オーガは、痛みで咆哮をあげる。右手をふりまわさられ、それに当たり再度吹き飛ばされる。しかし、直ぐに起き上がり折れているであろう右腕と左腕でダガーを持ち、前進する。


「うぉぉぉぉぉぉぉー!」「グァァァァァァ!」

 

 お互い叫びながら、僕はダガーをオーガに、オーガは大剣を僕に。僕に大剣が当たる寸前


「アイスボール!」


 氷の玉が大剣に当たり、軌道をずらす。グランデだろうか。分からない。でも、僕がいますべき事は、オーガを殺すことだ。


「ウァァァァァァ!!」


 心臓を貫く。と、同時に倒れる。痛い。死ぬ。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。死ぬ。


 すると、暖かな光が僕を包む。目を開くと、グランデが膝枕をしていた。


「あ……………と」


 ありがとう。と言ったつもりが、血が口の中に溜まっていて、上手く言えない。そして、次に僕が見たのはゴブリンの屍だった。全部、僕が殺したゴブリンだ。周りを見るに、あのオーガで最後だったらしい。てか、数千も倒したのか。


 しかし、僕は見てしまった。赤鬼を。数千を越えるオーガが迫って来ているのを。


「嘘……………だ、ろ!?」


 無理だ。そう思ったとき、筋肉が僕の目の前に現れる。それは、赤毛の、あの冒険者だった。


「Bランクのオーガを倒すとはやるな、お前さん。まぁ、こっからは俺の仕事だ。」


 その、言葉が聞こえると僕は意識を失った。最後に微かにだが、赤毛の大男がオーガの群れを一人で戦って、いや、無双しているのが見えた。


 


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