到着
僕らは、あの後一度も襲われることなくたどり着いた。のだが、僕は一つ心配していた。僕らは、王都から脱出いや、脱獄しているのだ。つまり、僕が心配しているのは
「指名手配みたいなのされてないかな?」
実際、この問題はつき回ってくる。僕らが無実だと知られれば大丈夫なんだが…………。
「どうしますか?」
「…………どうする?」
「質問を質問で返されると困るのですが…………」
横から見ると門番がしっかりと立っていた。最初着いたときは驚いた。森の道はヴィンセントの横道、正規なルートではなかったのだ。
「それにしても、中はすごいね」
王都に比べればとても狭い街だったが、盛り上がりは王都以上のものだった。
「冒険者を目指す人は皆、この街へと来ますから」
「へー、なら僕たちも冒険者になろうよ。それなら」
強くなれる。そのためならば、危険を侵してでも行くべきだ。
「虎穴に入らずんば、虎児を得ずってね」
僕たちは、恐る恐る門番のところへと歩いていく。どうか、知られてませんように。
「ん?君たち!少しいいかな?」
「え?あ、はい」
まずい、ばれたかな?その動揺が言葉に出てしまった。いや、それは知らない人と接するのが苦手だからだ。
「いやー、ごめんね。君の服装が見慣れなかったからさ。」
「あぁ、なるほど。」
確かに僕の服装は見慣れないはずだ。何せ僕は学校の制服を着ているのだから。勿論、洗濯はしているが、大抵は制服で異世界を過ごしている。僕たちの学校は、制服はダサくない、むしろ格好いいのだ。
「えーと、その服は?」
「この服は、僕の故郷のものなのですが、何分田舎なので見慣れないのも不思議ではないと思います。」
「なるほどね。そういうことなら、大丈夫だ。もし、盗賊とかでもここは冒険者の街だから心配はいらないしね。」
暗に、問題事を起こしたらその場で沈静できますよ、といわれているようだ。この、衛兵の人は良い仕事をしていますね。はい。
「君たちは、通行証をもっているかい?」
「通行証ですか?いえ、持っていないですけど…………。もしかして、それがないと中には入れないんですか?」
「いや、入れるよ。ヴィンセントでは銅貨一枚で通行証を作れるんだ。こんなに安いのはここだけだけどね。」
「そうなんですか!じゃあ、これで…………あ」
ここで、重大な事実が発覚した。僕はお金を持っていない。そう、無一文なのだ。もしこれで、中に入れなければ…………困る。
「はぁ…………これでお願いします」
「はい、確かに。じゃあ、中に入っていいよ。ようこそ!ヴィンセントへ!」
グランデにお金を出してもらったお陰で入ることができた。本当に世話を掛けっぱなしだな。…………情けない。
「ご、ごめん。ありがとう」
「いえ、大丈夫です。異世界人の貴方たちは何も知らないし、教えてもらってないでしょうから。後々、説明していきます。まずは、宿を探しましょう。」
「はい……………」
確かに、今まで僕たちは訓練しかやっていない。一応、お金のことなら知ってるけど。
そんなこんなで、僕たちは宿屋についた。
「…………豚箱亭!?」
僕は、この宿のネーミングセンスを疑った。豚箱って確か牢屋とかそんな意味でしょ?また、牢屋なの!?まさか、他の店もこんな感じなのかな?だとしたら、この世界のネーミングセンスはおかしいと思います。はい。
「いらっしゃい!二名様ですね!お部屋は一つにしますか?それとも二つ?」
「一つで、食事とお湯は二人分で。」
「かしこまりました!では、銅貨十枚です!」
はい、と言って銅貨を渡してどんどんと先に行ってしまうグランデ。
「…………僕の出番は?」
☆★☆
「結局、僕は何もしてないし…………。てか、1人部屋で良いの?」
「そんなにお金持ってませんから」
「すみません…………」
いや、本当に申し訳ないです。お世話になります!…………ヒモにはなりたくないな。
「とりあえず、明日は冒険者登録でいいんだよね?」
「はい。先に武器を買いますけどね、貴方の。」
「だから、ごめんって!」
ジト目で見てくるグランデにやけくそ地味に謝るとクスリと笑った。…………もっと、冷たいのかと思ったけれどそうでもないんだな。
「大丈夫ですよ。それより、この世界の常識を説明しなきゃですね。」
「その前にひとついい?」
「…………?えぇ、どうぞ。」
「タメ口にしてくれないかな?その、敬語だと微妙に距離を感じるっていうか」
やっぱり、これから行動を共にするのだから出来る限り距離を縮めたい。…………下心はないよ?
「これは、クセなので気にしないでください。」
「んー、せめて貴方じゃなくて理緒って呼んでくれない?」
「分かりました。」
やっぱり、理緒って呼ばれた方がしっくりくる。…………まだ、呼ばれてないけど。
「では、第一回異世界説明会を始めます!」
あれ?グランデってこんなキャラだっけ?ていうか、第一回ってことは二回もあるのね。…………もう、わからん。
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