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青の大罪~最強の契約~  作者: 幽玄の奏者
第二章 才能開花編
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小川事件

土曜に出すつもりが、日曜になってしまった…………

    僕は何か変われたのだろうか

    俺は何を変えられたのだろうか


    僕は何を出来たのだろうか

    俺は何か出来たのだろうか


    僕は守れるようになれたのか

    俺は強くなれたのか


    あの頃と同じじゃないか





 「っ!?」


 夢を見ていた。ひたすら自問自答する夢。しかし、その夢には僕以外の誰かがいた。いや、声がした。頭に強烈な痛みが走る。頭がかちわれそうに痛い。僕自身、良くわかってはいないが脱獄してから、この夢を見ては頭痛がするというのが続いていた。


「記憶も曖昧だし…………」


 そう。僕の記憶は前ほど思い出せなくなっていた。『アリア』と『高校生以前』の記憶を思い出そうとすると体が拒絶反応を起こすのだ。具体的に言うと、激しい頭痛は勿論、吐き気が止まらなく、呼吸が出来なくなり、視界がぼやけてしまう。あのまま、思い出そうとするならば気絶どころでは済まない。…………死ぬかもしれない。


「ふぅ~」


 痛みが収まったので立ち上がる。少し、先にいるグランデを追いかけるようにして歩く。


 現在、僕たちは森の中にいた。側では、小川が流れている。先ほどまで僕たちは、ここで休んでいた。


「ちょっと待ってよ」

「嫌です!」


 グランデがあまりにも、早いペースで歩くので声をかけるが、拒否られる。何故、こんなことになっているのか。それは僕が夢を見たこととも関係している。色々と脱出後の話をしたいと思う。


 あの、裏口は森へと続いていた。異世界からやって来た僕は勿論、あの王都の王宮魔術師としていたグランデですら森があるとは知らなかった。いや、実際には僕は知っているのだと思う。断片的にだが、思い出した記憶と類似している森だ。だが、今は知らない。一つだけ言えることは、ここには盗賊あるいは山賊がいるということ。  

  

 だが、その事をグランデに話しても信じてはもらえない。何故なら、【召喚】を使ってもアザゼルが出てこないのだ。最初は、力を失ってたのではないかと心配もしたが【鑑定】を使ってステータスを見ても変わりはなかった。


 あ、そうそう。この【鑑定】というスキルは皆が思っているようなチートスキルでは無かった。このスキルは、自分と所有物しか鑑定出来ない。しかし、ペインのように武器等の隠れた情報も分かるので流石というべきなのだろうか。閑話休題。


 つまりは、【召喚】の事を信じていないというわけだ。そうなると、僕が魔族を手引きしたと疑われても仕方がない。記憶がないとか怪しさMAXだし。今も、グランデにはキリッとした目で睨まれてるしね。


「いつまで、疑うつもり?」

「いえ、別に疑うつもりはありませんよ。ただ…………」

「ただ?」

「人の裸を見ておいてあれはないんじゃないんですか!?」

「その説はすみませんでした!」


 僕は華麗なジャンピング土下座をかます。そう。それは、僕が夢を見ることに直結した事件もといラッキースケベでもある。それは、十分前のことだ。



   ――――――――――十分前―――――――――――


 あれは…………そう。召喚の事を説明して、アザゼルを呼び出そうとしたけれど出てこなかった。その直後だ。丁度良い、小川を見つけたのだ。


「あそこの、小川で休もうか」

「はぁ、分かりました」


 僕は少し休んだら行こうと思っていたのだが、グランデが急に


「水浴びをさせて下さい」


 と言っていきたのだ。その顔は、とても真剣だった。僕としては、もういきたかったのだが仕方なく了承した。すると、その場で脱ぎ始めたのだ。僕は、思いっきり後ろを向いて精神統一を始めた。


 しばらくすると、グランデが水から上がる音がした。ん?精神統一?一秒も続かなかったよ。その時だった。


「ッ!!」


 という、グランデの小さな悲鳴が聞こえたので、後ろを向いた。因みに言っておくと、僕は《鈍感系》ではない。大方、つまづいたのだろうと予想はしていた。そんな、僕の悪ふざけが事件となった。グランデは真っ正面に立っていたのだ。グランデは立っており、僕は座っている。すると、場所が色々とあれで……………………。


「え、と。き、綺麗ですね…………?」

「死ね!」

「ご都合主義万歳!」


 僕には、そんなことしか言えなかった。今、考えてみると、通報されるレベルのヤバさだ。でも、死ねは酷いと思う。殺す気で殴られて気を失って夢を見た、というわけだ。


「あれは、事故なんだって!」

「……………」


 グランデに冷たい目でみられる。本当に事故なんだ。…………場所は。そんな風にふざけていると(僕だけだが)いつしか、回りには屈強な男が四人囲んでいた。


「へへっ!兄ちゃん、そこをどいて女を渡せば見逃すぜ?」


 ニヤニヤと笑いながら、男は手に持つナイフをぎらつかせる。グランデの容姿はかなり良い。だから、狙ったのだろう。しかし、僕だって少しは強くなっている。こいつらごときには、やられないだろう。…………多分。それに、盗賊や山賊には良い思い出はない。これも、断片的だが。


「だが、断る!」


 ジョジョ名言出たー!僕は、ペインを構えようとナイフホルダーを探るが


「あ!壊れたんだった…………」


 やばい、どうしよう。そんなときだった。凛とした声が響き渡る。こんなだだっ広い森の中なのに、その声はやけに澄みわたって聴こえた。


「その氷は、幾人もを切り刻む。全てを凍らせ、全てを切り裂く。されど、氷は美しく舞う。【氷刃の舞】」


 その瞬間、男たちを氷の刃が襲った。その、刃は速くて、目で捕らえることは出来なかった。しかし、いくら刻まれても、裂かれても、血が出なかった。傷口を見ると凍っていた。


「…………強い」


 詠唱の間、誰も行動できなかった。その声がありにも美しく聞き入ってしまったから。

(やっぱり、僕自身はまだまだ弱い…………)


「さぁ、行きましょう。冒険者のヴィンセントが見えてきました」


 理緒の焦りは大きくなるばかりだった。早く、強くなりたいと。強くならなければいけないと。


 そんな、理緒の焦りを知らないグランデは小川の事を思い出し、穴を掘って入りたくなっていたのだった。












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