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青の大罪~最強の契約~  作者: 幽玄の奏者
第一章 王都脱出編
16/44

我が主

「…………」


 パンドラが、開幕速攻で魔法を撃ってきた。それは、紫色の球で速度はあまり早くはなかった。油断せず、当たらないようにしっかりとその魔法弾を見ながら横に避ける。しかし、その魔法弾は背中に直撃した。


「ーーーーッ!」


 それは、思ったよりも、痛かった。後ろから、鈍器で殴られたような痛みだ。あまりの、痛さに目の前に相手がいることも忘れてうずくまる。


「避けたのにもかかわらず、当たった。……まさかホーミング弾?」

「ホ、ホーミング弾って何?」


 そういうことには、詳しくない陽が隆希に聞いていた。立ち上がって見ると、二人の回りは透明な壁で覆われていた。何をしたのかは分からないがきっと安全だろう。


「……………簡単に言うとホーミングってのは自動追尾みたいなもん……………かな」


 そう。つまり、避けるのでは意味がない。むしろ、逆効果だ。追い詰められていくだけ。


「仕方がない…………。アザゼル、あの魔法弾が来たら全て防いでくれ!」

 

 アザゼルの空間・空気支配エアードミネーションのスキルがあれば大抵のものは防げるはずだ。現にあの大蛇を防いだ時の空間の歪みはこのスキルだろう。

 

 しかし、そう簡単にはいかなかった。パンドラの上空に何十もの魔法弾が浮かび上がっていた。


「………………嘘だ」

 

 流石に何十もの魔法弾は防ぎようがない。僕は諦め、地に手をつく。その時に、ペインが手から外れた。……………ペイン?あった。起死回生の方法が!防ぐんじゃない…………。そうか、そうすれば良かったのか!希望が垣間見えた僕は、立ち上がる。


「来い!」

 

 その声に反応するかのように、パンドラが魔法弾を撃ってきた。しかし、それを避けずにペインを構える。そして、弾が当たる直前


「【霜月】!」

 

 武器スキルを発動させた。たちまち紫色の霧が辺りに蔓延する。このスキルは、全てを反射する霧だ。つまり、ホーミングの魔法弾は全てパンドラへと返っていくはずだ。これが、起死回生の一撃。


「ど、どうだ?」


 中々の手応えに思わず言ってしまった。フラグを立ててしまった。当然、フラグを立てたら……。霧が晴れ見えたのは傷ひとつついていないパンドラだった。


「さ、流石に傷の一つはついててもいいんじゃない?」

 

 あまりの、強さに愚痴をこぼす。更には……。

ピキピキーー。ペインと鎧がが粉々に砕け散った。まさか、あの魔法弾に耐えきれなかった?でも、威力は…………高いわけではないのに?分からない。


 この時、理緒は気付いていないが、いや知る由もないが、この魔法弾は、相手の魔力を奪い取る魔法なのだ。だから、魔法を使えない理緒は気付かない。そして、ペインや鎧は魔力を大量に持つ幻獣の素材だ。だから、こそ耐久値を無視して壊れたのだ。


「……………幻魔級ファンタジスタの武器が…………」


 これで、パンドラに勝つことは不可能に近くなった。僕が唯一対抗できる最大の切り札だった。最大限の強みがなくなったのだ。


「終わったな………。アザゼルは使えな、いし?……………え?」

 

 僕が見たのは、白い燕尾服を来て背中に細長く下に垂れ下がっている翼がある9頭身でやけに白い肌の男だった。


「やっと…………やっと真の姿を見せられました。改めて、私はアザゼルと申します。マイロード、あの少女……私に任せてもらえませんか?」

「あ、あぁ。うん、た、のむよ?」


 アザゼルと名乗った男は、膝を付き頭を下げながら懇願してきた。困惑しながらも、返事をすると、


「承知しました。」


 とだけ、言いパンドラへと物凄い勢いで飛び出した。先程まであった、十メートルの距離をたったの一歩で縮めると、


「ご退場願います。」

 

その言葉と共に手をかざしパンドラを消し去った。……え?もう、終わり?さっきまでの苦労は?シリアスな雰囲気は?そんな僕の気持ちを知らずに戻ってきたアザゼルは


「任務達成……ですかね?」

 

 爽やかな笑顔をみせるのだった。


………………ごめん、誰?




ーーーーーーーーーーーリュウキside


「リオ……このままじゃやべぇぞ………………。」

 

 俺は、リオが魔法弾に攻められているのをみて呟いた。その瞬間だった。

ドサリーーーー。

 何かが落ちる音がしたのでその方向を見るとハルが倒れていた。


「な!?どういうことだ?」


  俺は、慌ててテスカトリポカに確認しようとするが、


「お前……お前がやったのか?」

「そう悪く思うな。少々お主と話がしたかったのじゃ。」

「話ならハルがいてもできるだろ……!」

 

 のじゃ喋りをするテスカトリポカにイラつきを覚えていた。


「いや、秘密の話じゃからのう。その子は駄目じゃ。」

「……そうかよ。で?何だ?話って?」

「はぁ、何でそんなに急かすのじゃ?全く……。まぁよい。……お主、力が欲しいと思ったことはないかの?」


 そう言ったテスカトリポカの顔は笑みを浮かべていた。


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