女王戦終幕
遅くなってすみません!その分、頑張って長くしました。
「アザゼル!」「パンドラ!」
そう叫んだのはほぼ同時だった。僕は、まだアザゼルのステータスを見ていない。つまり、アザゼルがどんな能力持っているかが分からない状態なのだ。だから、俺はアザゼルに全てを任せる他ない。僕は、女王の、パンドラの『凍死する時間』によって動くことが出来ない。なので、実質二対一な訳だがそこはもうアザゼルを信じるしかない。
パンドラは、女王の声を聞くなり両手を前につき出して何か詠唱し始める。すると、次第にパンドラの回りにいくつもの魔方陣が浮かび上がる。数としては数十個だろうか。とにかく、沢山の魔方陣を浮かび上がらせている。一方、アザゼル。…………見えない。いや、うん。空気だって事忘れてた。
パンドラは、両手を思いっきり開く。すると、周りの魔方陣が紫色に染まっていく。次の瞬間、魔方陣から大蛇が勢い良く飛び出してきた。勿論、俺に向かって。…………精神が壊れそう。魔方陣一つに対して二匹は出ている。大きさとしてはアナコンダ位の緑色の蛇だ。それが、数十匹。今まで蛇とは無関係な生活を送ってきていることもあってか、俺にはショックが強かった。だが、その大蛇は俺にたどり着く事は無かった。大蛇の前に大きな空気の歪みができたかと思ったら既に、大蛇は動かなくなっていた。これは、もしかしてアザゼルの能力か?だとすると、空気を歪ませる能力なのかもしれないな。
「くっ!パンドラ、終わらせなさい!」
女王は、パンドラに向かって指示を飛ばす。今は、戦闘中である。あるのだが…………笑わずにはいられなかった。だって、あの言葉ってまんま死亡フラグじゃん。だが、油断大敵。慎重に行こう。
「アザゼル、女王は殺さないようにしてくれ。」
契約について聞かなければならない事があるからな。アザゼルは、まるで了解とでもいうかのように空気を歪ませる。
パンドラは、あの不思議な箱へと向かう。そして、箱に入った。何をするつもりだ!?
「なっ!?」
余りの事に俺は、動揺を隠しきれなかった。何か必殺技的なものが来るのかと思っていたら箱に入るだけだったからだ。そして、俺は、体が動かせるようになっていた。さっき驚いた時にびくんという感じで体が反応したので試しに動いたらすっかり動けるようになっていた。この状態ならば負けることはまずない。何故ならば、
「すまねぇな、理緒。」「ごめんね、理緒君。」
最高種の職業についていて、実力も俺より遥かに上を行くこの二人がいるからだ。二人に任せっきりなのも悪いけど……………僕では戦力として劣っている。
「くっ!……見なさい、これがパンドラのもう一つの能力!永久機関!」
二人が復活するのを見るなり、女王はやたらと中二病臭い名前を叫ぶ。しかし、何も起こらなかった。
「…………な、何故!?」
それに気付いた女王は、パンドラが使えないと思ったのか鞭で隆希に攻撃を始めた。だが、流石は竜騎士だ。見事にかわしている。むしろ、少しずつ近づいてる。……あれ?竜騎士関係なくない?まぁ、いっか。
「流石は、隆希君だね……。よーし、私だって!」
そう意気込むと陽は魔法の詠唱をし始めた。陽の職業は、巫女だ。その、性能は回復魔法に完全特化している。そして、訓練をして日にちがたっていない今でも、十分に普通の回復術士以上の力を持っている。そして、もう一つ。巫女特有の能力がある。それは、詠唱がたった一行なのだ。これは、全ての魔法がである。
「私の血筋を定めよ。聖域」
聖域。この魔法は、本来女王と戦うときに開始一番で使うはずだった。が、しかし色々とアクシデントが重なり使えなかった魔法だ。この魔法は、聖域と呼ばれる空間を作り出し敵意あるものの身体能力を大幅に下げるというものである。とてつもなく強力だ。しかし、その分疲労も激しい。陽は、もう魔法が使えないはずだ。
そして、陽が聖域をかけ終わった瞬間だった。女王が、一気に下がった身体能力に対応できなく膝がガクンと下がる。勿論、隆希はそれを見逃さず自身の黄金色に輝く槍を女王に向ける。
「チェックメイト」
「あ、あぁ。……どうして、私が負けなければ!」
女王は、泣き叫ぶ。最初に、ルシフェルが言っていた。俺は、死んでしまった、死なさせてしまった陽を守れなかったからもう他のものは何も失わないように守りたいという気持ちが契約に繋がった。ならば、女王にだってそれ相応の理由があるはずなのだ。それならば、負けてここまで錯乱するのも分かる。…………負けたら全てを失ってしまうからな。
女王は、再び泣き叫ぶ。
「何で、何でパンドラは能力が発動しなかったの!?」
「……………分からない」
僕が答えると女王は、それ以降言葉を発することなく、うつむくだけだった。そして、誰一人として、言葉を発することが無いままだった。僕が意を決して本題に入ろうとしたときだった。僕の右手にある青の紋章が光り始めたのだ。そして、少し遅れて女王の右手にある紋章が白く光る。
「な、何だ!?紋章が……」「どうなってんだ!?」「ど、どういうこと?」「これは……?」
僕たちは、全員揃って驚きの声をあげる。紋章をよくみると段々と光が増えている。しかし、女王は段々と光が消えている。そして、光がおさまる。僕は、紋章をみる。すると、前と少し模様が変わっていた。前は、盾が描かれていて、中にはハートが描かれていた。今は、それプラス左斜め上に大きい翼がはえていた。
「これってもしかして、契約の渡譲なんじゃ……」
「……………そうだろうな。」
僕の推測にリュウキは同意する。やはり、そうなのだろうか。だとすると、女王は契約の解除ということだろうか。そう思い、女王の方を見ると女王は宙に浮いていた。それは、明らかに女王の行動ではなかった。まるで、神のように手を広げ悠々とこちらを眺めているのだ。僕は、急いで二人にも知らせる。
「ふむ。よくぞ、妾の契約者を倒したの。」
「……!あ、あんたは?あんたは、何なんだ。」
「妾は神じゃ。テスカトリポカという。よろしくじゃ。」
あ、何だろう。…………何となくだが嫌な予感がする。陽の告白の時もそうだが、僕は、危機察知能力が高いらしい。まぁ、察知しても回避出来ないんだけどね。
「お主には、試練を受けてもらう。クリアしたら二つご褒美をやろうではないか。」
「あ、あのー、それって一人?」
「無論、そうじゃ。」
成る程ね。こういうことか。試練を受けてもらうといっている時点で拒否権が無いという。まだ、対して力をつけていない俺にとっては超絶ハードモードだ。
「当たり前じゃが、アザゼルは使うのじゃぞ?」
あ、使っていいんだ。まぁ、それならいけるかな。やっぱり無理だわ。
「あ、あのー。それで、試練って?」
今まで黙っていた隆希が恐る恐る聞く。テスカトリポカは、お、そうじゃった。といい、その、試練の内容を話した。
「試練は、簡単じゃ。己の意思を持ったパンドラと戦って勝つのじゃ。」
簡単じゃねえよ!己の意思とか無理だわ。無理ゲーだよ。終わった。
「そこの二人は、少し離れておれ。妾がまもってあげるからのう。……さて、準備はいいかの?」
「ちょ!ちょっと待ってください!」
「うむ。別に慌てなくもよいぞ。」
戦闘の前にもう一度アザゼルのステータスを見ておこう。一応、体が動かせるようになったとき一度確認してるのだが、見間違いかもしれない。もしかしたら、直接的な攻撃があるかもしれない。俺は、そんな一握りの希望にすがりながらステータスを見た。
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アザゼル ?歳 ?? 霧の王・不可視の堕天使
スキル
歪 空間・空気支配 透明化 天候変化
歪 空間の一部を歪ませて認識阻害や窒息させる。
空間・空気支配 空間の一部を固まらせたり、温度の調整、圧縮、放射などができる。
透明化 自身のみ透明になれる。
天候操作 天候を操作することができる。但し、この技を使ってる最中は無防備になり、行動ができない。そして、使うまでに1分かかる。
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強いのか弱いのかどっちかにしてくれ!何だよ、自身のみ透明とか。あぁー、これは、無理だわ。
「あ、もう大丈夫です。」
「ふむ。いくぞ、ほれ。」
こうして、無理ゲーが始まった。
そろそろ、期末テストです。極力出すように努力しますが短くなってしまうと思います。すみません。どうぞ、ご理解いただけたら幸いです。