進む計画
あれから、1週間がたった。その間、僕が危惧していた魔人との戦争は、起きなかった。不思議に思った俺は、【召喚】をしてたまたま情報の神と呼ばれているケツアルコアトルを呼び出したので、情報を集めた。ケツアルコアトルは、閑古鳥の姿で情報を集めるには最適だった。
そして、集めた情報には気になる情報が二つあった。まず、一つ。これほ、戦争に関することで、どうやら僕達の所にはまだ、攻めてきていないらしい。だが、いつ攻めてきてもおかしくない状況下にあるそうだ。そして、もう一つ。この国の王達が俺達を奴隷化しようとしているらしい。つまり、完全な道具として扱おうと言うわけである。そして、それにはあの可憐なお姫様も関わっているらしい。
(いやー、人間ってのは良くわかんないもんだね。)
この事を皆に知らせたとしても、きっと信じてくれないだろう。僕のステータス確認は、無職として定着している。ならば、この国の姫や王がしているように裏で動くしかない。それに、この力は僕自身良くわかっていないとこがある。誰かに知られたらヤバイかもしれない。
今は、自由時間だ。とりあえず、ケツアルコアトルにはこのまま情報収集をしてもらいその間に僕は、城下町に行くとしよう。これから、することを考えるならば今の内にやっておいた方がいいだろう。さて、どっちが早く事を起こすかな?
僕は、城から出て町へと来ていた。町へと行くときに、メイドさんなの何処へ行くのか執拗に質問された。まさかグルで計画が失敗するのを危惧しているってことはないよな?その時は、観光ということで押し通したが二回目は無いかもしれないな。というより、もしメイドが関わっているのならば王国全体が関わっているかもしれない。となると、少し厄介だ。クルト団長達が来たらセト辺りを出さないと勝てないかもしれない。
そんなことを考えていると目的の場所へとたどり着いた。古びた家のドアに看板が掛かっている。普通に見るのでは民家と間違えるほどの家だ。看板には、盾と剣が描かれている。そう、武器屋だ。この前は、色々な事があってクルト団長から色々と貰うことが出来たが、今回はやめておいた方がいい。
そんなこんなでこの武器屋へと来ていた。この武器屋は、ケツアルコアトルが見つけてきてくれた。今の俺にはぴったりである。俺は、今にも壊れそうなドアを開ける。キィィィと高い音がする。中に入るといくつもの剣や盾、鎧がおいてある。カウンターと思われる場所には、亜人であるドワーフの爺さんがいる。ドワーフというだけあって、背は低く、横に広い。髪と髭は、赤毛で筋肉が半端なくある。
「何の用じゃ!?貴様らにやる金など持ち合わせてないわ!」
ドワーフの爺さんは、物凄い勢いでまくし立てる。このドワーフの爺さんは、色々と問題を抱えているらしい。
「……む?お主は、客か?………うむ、何年ぶりだろうな。」
最後の方は、小声であまり聞こえなかったが、まぁ俺は、オタクである。こんなテンプレは慣れたもんである。最も、ラノベを読んでいるだけだが。この、爺さんは短気そうだ。まぁ、ドワーフなんてそんなものか。話がそれたが、爺さんを怒らせないためにも僕の要件を一気に伝えてしまおう。うん、それがいい。……別に怖い訳じゃないよ?さっきの勢いでび、びびったとかそんなんじゃないよ?
「お爺さん、あなたの抱えている問題を解決する。だから一番良い武器と鎧をくれ。」
僕は、緊張しながらも要件を言う。少し、偉そうか?ま、まぁ、大丈夫だろう。これを聞いたドワーフの爺さんは、驚きの顔で声を発する。
「…………どこまで知っておる!?………本当にお、お前さんが解決してくれるのならばそうしてもらいたいが……正直に言って無理だ。気持ちは有り難い。有り難いが、相手は…… 」
「全て知っている。まぁ、とりあえず話を聞いて。」
動揺を隠しきれないドワーフの爺さんに、言葉を重ねて言う。さぁ、どうする?
「………………分かった。奥で聞こう」
ドワーフの爺さんは、そう言うと奥の部屋へと案内をする。奥の部屋は、武器屋とは違い一般的な民家だった。勿論、日本のではなく異世界のだが。俺は、椅子に座りドワーフの爺さんとあいむかいになる。
「では、聞かせてもらおう。」
「あぁ。」
爺さんの言葉に短く返事をして、内容を話す。まず、この爺さんは武器屋の資金を王家に根こそぎ取られたのだ。しかも、つい最近。これから、推測できるのは奴隷関連である。その事も交えて話した。ついでに、召喚士ということも。人は簡単には信じられないが、この爺さんに至っては俺を裏切っても良いことが何一つない。なので、話した。……異世界人というこは、言ってないが。全てを聞いた爺さんは、驚いていたが直ぐに真剣な顔になった。そして、頭を下げて叫んだ。
「頼む!資金を……取り戻してくれ!変わりに代々受け継がれてきた剣とこの武器屋一番の
鎧を渡す!」
「はい。」
必死に頼んでいる爺さんに、目的の資金を渡す。中々にシュールな光景である。実は、ケツアルコアトルの情報である程度知っていたのでケツアルコアトルに頼んで見つけてきて貰ったのだ。僕?僕は、何もしてない。
顔を上げた爺さんを見ると顔は涙と鼻水でぐっちゃぐちゃになっていた。
「ありがとう!ありがとう!儂は、儂は………!」
「あ、あぁ。……え、と。そうだ、武器は!?」
あまりにも凄い勢いで来るので少し怖くなり、催促してしまった。まぁ、いっか。
「……うむ。確か、ここに……。あった!これじゃ!」
爺さんは、棚を開け、その中の一番奥にある短剣と鎧を差し出して来た。短剣は、うっすら青く光輝いている。鎧は、胸当てと具足それに籠手だけの所謂軽装だった。素材は革のように見える。………一応、鑑定をかけておくか。俺は、ばれないように【鑑定】を発動させる。
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ペイン (短剣) 幻魔級
レートSSSの神獣である白虎の牙と同じくレートSSSの神獣、青龍の鱗で作られている。この、短剣は山を穿ち、海を断つと言われている。この短剣で切った相手の魔力・魔法を吸収する。手入れがいらない。
武器固有スキル
【麒麟】【霜月】
魔界の軽装鎧一式 幻魔級
レートSSSの魔獣であるケロベロスの毛皮とレートSSの神獣、ユニコーンの角を混ぜ合わせて作られている。この鎧は、防御力が凄いのに羽毛の様に軽いとされている。重量を感じなくなる。魔法適正に補正がかかる。
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「は!?」
「む?どうかしたのか?」
「い、いや何でもない………」
鑑定の結果が凄すぎて思わず、声を出してしまった。……どれくらい凄いのかを説明したいと思う。そのためにも、色々と用語の説明をしなければならない。
武器と鎧の隣に幻魔級と書かれている。この、階級は武器や鎧のレアリティを示すものだ。階級は、全部で五つある。上から……
神具級 神話上の武器。神の武器。この世界には存在しない。
幻魔級 存在自体があり得ない神獣や魔獣の素材で作った武器。
宝珠級 聖剣や魔剣などの超すごい武器。
希少級 良い武器。
一般級 普通の武器。
となっている。これだけでもすごいのがわかると思う。レートというのは、魔物などの強さのことを言う。ドラゴンでもレートAAAである。SSS というのは、世界を滅ぼせるレベルだ。
最後に武器固有スキルについてだ。これは、宝珠級以上の武器のみにあるスキルで武器固有のものである。なので、ついてないものもある。そして、このスキルは、便利なものや強力な物が多い。
………予想以上のものが貰えたので良かった。これならば、俺の計画は失敗しないだろう。
「ありがとう。何か困ったことがあったら来てくれ。絶対に助ける。」
「あぁ。ありがとう。……また、来るよ。」
僕は、爺さんと挨拶を交わしてから城へと戻った。城に入るなり、自分の部屋へと入った。………危なかった。もし、この武器と鎧が知られたら計画は全てをオジャンになってしまう。
「ふ~。疲れたな……。【召喚】ケツアルコアトル」
「キュイー」
呼び掛けに答えて閑古鳥が出てくる。ケツアルコアトルは、話すことができないが頭に情報が流れてくるのだ。
「……そうか。明日の昼に……会議があるんだな?あいつらの計画の。……よし、ハルとリュウキには話しておこう。きっと信じてくれるはずだ。」
僕は、メイドに言って二人を部屋に呼び出した。
「どうした?話ってなんだよ?」
「………今から話すことは絶対に口外するなよ?」
「う、うん。」
強調して言った僕の言葉に、神妙な顔をしてうなずくハル。リュウキも、いつものおちゃらけた風囲気ではなく、真面目な顔をしている。……よし、覚悟は決まった。
「……実はな………………」
ーーそして、僕は今までの事を全部話した。ーー
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???
「 ふふっ……貴方には期待していますよ? 」
「 さぁ、勝負しましょう?望月リオ。無職の筈がいつの間にか契約をした……青の人? 」
「私は、白。貴方は、青。混じりあったらどうなるのでしょうね?」
ふふふっと笑う声が部屋の中に木霊する。
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望月 理緒 17歳 男 運命に逆らいし者
職業 青の契約者
スキル 召喚 契約 受託 武術の心得 鑑定
守りし運命 【麒麟】【霜月】
契約中 ケツアルコアトル ??歳 情報の鳥神
スキル 探索 情報収集 念話 隠密
麒麟 周囲に強力な電磁波を流し発生したプラズマ内を高速で移動する。
霜月 吸収した魔力・魔法を霧に変える。その霧は、絶対反射。物理的な攻撃、魔法どちらも跳ね返す。吸収量によって、霧の持続時間と範囲が変わる。
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出すのが遅くなりすみません!




