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永遠に
新しき時代の幕開けを告げる鐘の音は、春の終わりとともに鳴り響いた。
曇り空の間から差し込む太陽の光。
高らかに歌われる、王国軍の勝利の歌。
反乱からしばらくして、ディファクター公爵ヘンリー・スチュアンティックが永眠した。
反乱の主犯格である彼だが、その行動力を評価し、レオンハルト王はヘンリーに「大公位」を贈った。
スチュアンティック家の直系男子は絶え、名実ともに王位戦争はラン=シュバーウェン王家の勝利となった。
二大家の争う時代は終わったのだ。
しかし、レオンハルト王はディファクター公爵家の存続を決め、ジョージ・スチュアンティックの長女でヘンリー・スチュアンティックの養女、アメリア・スチュアンティックが公爵位を継いだ。
王妃兼女公爵となる彼女は、イザリエ王国初の女性公爵位継承者である。
(略)
また、のちの人々はこの時代を「赤と白の王政時代」と呼び、王位戦争を終わらせ、新しき時代となったレオンハルト王の政治を「薔薇王の賢政」と言う。
(イザリエ王国史1巻より)