表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
R・D   作者: 紅い赤
2/5

2: 事件

 目が覚めると時計は7時で止まっていた。

「・・・・・・・・・」

 改めて目覚まし時計を確認する。まず全体がひび割れている。スイッチは完全に潰されて出てこない。

「・・・殺っちゃったか」

 枕元にある携帯を掴み時刻を確認する。

 10時38分。誰がなんと言おうと遅刻である。携帯の画面には着信履歴が5件、メールは10通も着ている。いちいちメールを確認するのも面倒になり、 朝食も食べずに着替えて出勤する。

 警察署内は朝からほどほどに騒がしかった。

 何食わぬ顔で入るとどこに潜んでいたのか課長が現れた。

「お前、こんな時間まで何やってたんだ!?のんびりしてる暇なんか無いんだぞ!」

「すいません。目覚まし時計が壊れてしまって起きれませんでした。」

「・・・また壊したのか。」

「いやー、朝起きたら見るも無残な形に」

 手を合わせて合掌。

「まあいい。それより仕事だ。内容はメールでも送ったが詳しくはお前の相方から聞け。」

 アレは相方とは違うのだが、と説明しそうになるが他人から見ればそう見えるのかもしれないし無理に否定しないでおこう。疲れるし

「分かりました。課長はこれからどちらに?」

 普段なら一日中デスクで部下を叱っているか寝ているかのどちらかなのに入り口近くで会うのは珍しい。まさか帰るわけでもあるまい。

 課長は言いづらそうに頭を掻く。

「ん?俺か?ちょっと面倒な事件が起きてな。上からの命令じゃ断る方が事件を解決するより面倒だからよ。」

 なんかこの人すごいこと言ってない?

 まあ、どんな事件か知らないがとりあえず心配はしない。この人がもし死ぬのなら 是非ともその場面を見てみたい。



 上司を見送って自分のデスクに着いた瞬間に霧本が現れた。

「おはようございます。今日はどうしたんですか?こんな中途半端な時間に出勤して」

 ワンパンチ。しかも顔面

「うおっ!結構痛い・・・もしかして怒ってます?」

「当然です。早朝に迷惑メールを送っておいてその態度。袋に入れてサンドバックにしてあげようか?」

「それは勘弁してください。ところで仕事の話に入りますけど課長から何か聞いてます?」

 変なタイミングで真面目になるのが霧本の特徴。良く言えば公私の切り替えが早い。悪く言えば馬鹿。

「いえ。メールはもらったけど貴方からのメールごと消しちゃったから、説明して」

「まぁ、簡単に言えば行方不明者がかなり出ているんです。」

 なんでも二日前から行方不明者の捜索願いが相次いで来ているという。

 そのほとんどが20代半ばの男性であり、しかも判っているだけで同日ほぼ同時刻に一斉に行方が分からなくなっているらしい。

 今朝も行方不明者の家族が捜索願いを出しに来て話を聞いたところ、行方が分からなくなったのは他の行方不明者と同じ日にちだったという。

「もっと詳しい資料は無いの?どこかに出かけたとか」

「何人かの家族や友人関係に話を聞いてます。」

 その話によると最初の一人は会社員の男性で家族には仕事に出かけると言って家を出てそのまま行方不明。同じ会社に勤める同僚が出勤してこないのを心配して携帯や家に連絡をしたが携帯はつながらず、家にも帰って来なかった。

 二人目はフリーターの男性でデパートに恋人と買い物の最中、トイレに行ってくると言って恋人から離れたきり戻らず行方不明。不審に思った恋人が係りの人に頼んでデパート内を探してもらうが見つからず夜になっても戻らないため警察に連絡。

 そしてもっとも不可解なのが三人目の男性。大学生4年生で講義を受けている最中、隣に座っていた友人が一瞬、ノートに視線を移した間に鞄などの荷物を残して消えた。もちろん家にも帰ってはいない。


「ふーん・・・で?それってマジなの?」

「マジです。・・・うん、マジのはずです。」

そんな嘘みたいな事件をどうしろと言うのか。

「他には?その行方不明の人たちに共通点とか無い?昔にバカやって誰かに目をつけられたとか」

 こわーい人達に下手に関わるとたまにこういう事件が起こる。学生時代に上級生になって浮かれ、自分たちが一番だと勘違いする輩がよく事件を起こすケースが多い。もしかしたら拉致されてコンクリと一緒に海底にいるかもしれない。

「それは今、西木が調べてます。今朝に来た捜索願ですが、その人達と同じ年齢でしたね。一人暮らしだったようで詳しい状況はわかりません。」

「そう。それじゃあ、時間もあるし現場を回ってみますか」

 ここにいても何も解決には進まない。部下に頼りすぎるのも良くないし、自分で調べるのが私にとっての確実な方法。

それが今、私が出来ること。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ