あなたへ
ねぇ、お盆の季節が終わったよ。
何処かのお家のお線香の匂いが、鼻孔を掠めて。
貴方の名前を呼んだら、堪らなく泣きたくなった。
ねぇ、じいちゃん。
私、高校生になったよ。
勉強も頑張ってるよ。
皆に優しく出来る子になりたいな。
ねぇ、じいちゃん。
少しずつだけど、私、皆と仲良くなれてるよ。
だけど、ねぇ、じいちゃん。
皆と同じに笑えないんだ。
面白いことが解らないの。
楽しいことが解らないの。
皆が頑張ってた体育祭、私のせいで駄目になっちゃったの。
ねぇ、じいちゃん。
その度に、私、聴こえない声が聴こえるの。
「お前のせいだ」って。
「この役立たず」って。
聴こえない声が、ただ、私を責め立てるの。
ねぇ、じいちゃん。
だけど、私、ちゃんと笑ってるよ。
皆に心配かけちゃうから。皆に嫌な思いをさせちゃうから。
よく解らない皆の話。ちゃんと、聴いて笑ってるよ。
ねぇ、じいちゃん。
どうして、先に逝っちゃったの?
ママやパパに怒られるから言わなかったけど。
それでも、それでも……。