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封死、解始。 「壱ノ裏」
アナハイムが封呪の儀を行っている頃、別の場所で一つの悪意が暗躍していた。
「さて、これで準備も整ったわけだが……」
顔も確認できないような薄暗い部屋にいる男は、静かに呟いた。
その言葉に反応し、薄ら笑いを浮かべる女が一人。
「世界が本来の姿に戻るまで……あと少しですわね」
その声は少し震えていたが、それは恐怖というよりかは歓喜に満ち足りていて、それを抑えているような、そんな声だった。
数秒の沈黙の後、男は一人で語り出す。 それは宣言であり、遺言であり、進言。
「人は本来の姿を取り戻し、内に秘めた人格を剥き出しにする。 我々はそれに協力し、解放するだけ。 望む望まないは関係ない。 私の意思こそが人類の総意であり、この意思こそが神が求めた答え。 ヒエラルキーは本来の形を取り戻し、世界は安寧の姿を取り戻す……」
「そう」
「これこそが」
男と女が交互に言い放ち、そして同じ言葉を発言する。
『血の雨計画』




