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第四話 初バトル! これはこれでいいかもな!

なんか短く感じる……

「『スラッシュ』!」

「ぐっ……『シールドバッシュ』!!」


 俺達後衛組がぼーっとしていると、前衛二人が戦闘を終えて戻ってきた。


「調子はいいな。このまま次の層に進んでも問題はなさそうだ」

「レベルも順調に上がってるね」


 自分の体より大きい大盾タワーシールドを担ぐアレスに、二本のショートソードを振り回すアガメ。戦い方が個性的でなんの参考にもならんな。まあいいか、俺は俺の思うようにやれば。


「さて、次くらいには遊羽も行ってみるか」

「え、俺がか」

「そうそう、早く戦闘慣れしないとね」

「あ、弟さんとお姉さんもですよ。フォローは俺たちがするんで、ドーンとやってくださいよ!」

「えぇ……だ、大丈夫かなぁ」

「まあ、いいんじゃない? やらせてもらおうかしら」


自信なさげに両手で杖を支えるタタリに、不敵に、妖艶に微笑む幼女(サイ姉)


「で、そう言えばサイ姉はどういう経緯で縮んだんだ?」


 俺はちっちゃくなったサイ姉を見下ろしそう聞いた。……最姉を見下ろすのは新鮮……でもねえか。いつもソファにグデ~っとしてるサイ姉を見下ろしてたし。


「ん~? 後衛なんだから、最も警戒すべき攻撃は遠距離でしょ? なら、的は小さいほうがいいじゃない。それに、避けるにしても小さいほうが体を動かしやすいし。今までと違う体だから動かすのは大変だけど、そのうちに慣れてけばいいでしょ?」


 なんか合理的な理由だった!


「そ、そうなのか……」

「ええ、それより……はぅっ(ベシャ)」

「「「「あ……」」」」


 幼女が転ぶ。それも顔面から痛そうな音を立てて。


「……やっぱり体を縮めたのは失敗かしら(足短いくて歩幅が小さいから歩きづらいし咄嗟に手も出ないしエトセトエトセト……)」


 誰も望まないドジっ娘キャラが誕生した瞬間だった。


「そんなことより、ほら来たぞ」


 アレスがそういい指差すのは、森の奥から出てきた異形。


 小太りのおっさん体型で子供サイズ。全身は緑の肌で、髪の薄い額には一本の短い角が生えていて、身につけているのは小汚いボロ布一枚のみ。それが5体。手には剣や槍、杖、弓、棍棒など、多種多様な武器が握られており、総じて今にも壊れそうなほどボロい。

 所謂ゴブリンというやつだ。


「おーおー、レアなのに当たったな」

「ゴブリンソルジャーにゴブリンランサー、ゴブリンメイジとゴブリンアーチャー、そして最後に普通のゴブリン。たしかにレアだ」


 アレスとアガメが何か言っている。


「レア? あいつらが?」

「「ううん、ノーマルなゴブリンが」」

「はぁ!?」


 なんで変な職業持ちより普通のが珍しいんだよ。


「いや、だって……なあ」

「うん、このゲームのゴブリンは職業の数と同じ種類いるからねぇ、逆に職業持ってない方が少ないんだよ」

「なんだそれ、何考えてんだよゴブリン考えたやつ」


 逆によく作れたな……って、そんな場合じゃねえ!


「んじゃ、俺が前衛でいいんだな」


 そう言い俺は腰の剣を抜く。へえ、重さも感触もちゃんと伝わる。よくできてるなこれ。


『ゴガァ? ギャギャ!』


 ゴブリンどもが気付いたらしい。んじゃ……


「行くk「『序章1項目第1魔法・ファイアバレット』」え、ちょ、あぶねぇえええ!!」


 頭上を手の平サイズの火の玉が掠めていった。


「サイ姉! どこ狙ってんだよ!!」

「あら、生きてた」

「生きてて悪い……うぉお! こっちもか!」


 怪しげな本を開いてニヤニヤ笑うサイ姉に文句を言うと、後ろからゴブリンが攻撃を仕掛けてきた。


「えーと、『ガードエンチャント』と『アタックエンチャント』……『ヒール』!」


 ウィンドウを開きながら魔法をかけていくタタリ。初々しいな。でも、まだ傷はついてないからヒールはいらないんだぞー。


「やるしかねえか! 『スラッシュ』!」


 俺の繰り出した剣はアーツ発動を意味する、仄かに輝く緑の閃光を放ち目の前のゴブリンソルジャーを切りつける。


 アーツとは、SPと呼ばれるMPのようなものを消費し発動する技で、普通の攻撃よりも強くなっている。ちなみにスラッシュは剣術スキルを持ってれば使える初期スキルで、

消費SPは5。


『ギャギイ!!』

「もう一発!」


 今度は普通に攻撃し、ゴブリンのHPを削る。


『ギャギャ』

『グガァ!』

「ちぃ、そういやまだいるんだったな」


 三割程HPの削れたゴブリンソルジャーに追撃しようとすると、その後ろには槍を突き出し俺の進行を止めるゴブリンがいた。

 さらにその後方で弓を番えるゴブリンと、杖を掲げるゴブリン。


「まずい! 魔法を使う気か!」


 流石に弓の速さの投擲物を避ける自信はない。ここは一旦引くか。


「任せなさい『序章1項目第1魔法・ファイアバレット』」


 後方から聞こえる声と同時に、俺の顔スレスレを熱が通り過ぎた。その熱の源は真っ直ぐゴブリンメイジに飛んでいき、顔面を焼いた。


『グガギィイイ!?』

『グゲ!』


 そして、いきなりの高熱に驚き暴れるゴブリンメイジの拳が弓持ちのゴブリンに当たり、反動で射出された矢は、普通のゴブリンの脳天を貫いた。ゴブリンは目を見開いたまま、青い粒子となって消えた。


「一匹脱落ね。計画通り☆ ふふふ」


 ……天才って恐ろしい。


「っと、今のうちに、隙有り!!」

『ギャ!!』


 ゴブリンソルジャーの首を飛ばし、こちらも消えたことも確認すると、俺はゴブリンランサーに肉薄した。


「もう一発『詠唱破棄・ファイアバレット』」

「え。ええと、『マジックエール』!!」

『ギャァアアア!!!』


 どうやら魔法使いもやられたようだ。なら……。


「こっちもすぐ終わらせる! 『スラッシュ』、さらに一撃、二撃!!」

『グ、ググ……』


 俺の連続攻撃を槍で受け止めるゴブリン、だが、そんなボロボロの棒で正面からぶつかったら……


 バキンッ!!


『グガッ!?』

「トドメェ!!」


 俺はゴブリンの胴体を縦に切り裂き、HPをが0になるゴブリンを見下ろした。


『グ……ガ……』


 パキンと、ガラスが割れる音と共に消えるゴブリンを見届けて、最後のアーチャーに目を向ける。

 いつの間にかサイ姉が魔法で攻撃していたようで、もう虫の息だ。


「眠れ」


 俺は静かに剣を振り下ろした。



「いや、もう合格点間違いなしだな」

「うんうん、初戦であれだけ戦えたんなら十分だよ」

「一人裏切り者がいたがな」

「あら? 怖いわね。誰よ裏切り者って」

「うぅ、僕あんまり役に立ててませんでしたよね……」

「いやいや、そんなことはないぞ。ナイスフォローだ」

「そうよ、賢弟のエンチャントがなかったら愚弟なんてただの木偶同然なのよ?」

「おい、やる気かサイ姉」

「なによ愚弟」


 カオスな反省会の後、これならもう平気だろうとアレスが告げ、このパーティは一旦お開きとなった。

 これからしばらくは別々にレベル上げをして、またいずれ皆で集まろうという話らしい。


「私たちには前にいたギルドの仲間がいるから、いつも一緒ってわけにもいかないの。それに、兄弟だからってずっと一緒にいたらただ家でゲームしてるのと一緒でしょ?(全くもってその通りなのだが)何のためのMMOなんだって話になっちゃうから、たまに会って、その時にお互いがどれだけ強くなったのかを知っておぉ~。とかなるのがいいと思うのよ。だから一旦お別れ! どこかのパーティーに混ぜてもらうでもいいしソロで活動するでもオーケー! ちなみに祟は私のギルドが貰うわ「えぇ!?」じゃあね~」


 誘拐犯よろしくタタリの首根っこを引っ掴み、アガメはどこかへ走り去った。


「というわけだ。俺もそろそろ行くぜ」


 そしてアレスも消え、残るはサイ姉と俺。


「そういやサイ姉、その本ってなんだ? 魔法使いって言ったら杖じゃないのか?」

「ああ、これ? これは『魔道書グリモワール』よ。ページ数と同じ数の種類、魔法を収納することができるの。しかも、収納した魔法は発動にMPを消費しないのよ」

「なにそれ、すげえ便利じゃん」

「その代わり、収納時に通常消費MPの2倍MPを消費しないといけないのよ。一応今は『ファイアバレット』を10回分、一番最初のページに入れてるわ」

「へぇ、でも戦闘前に入れておけば、後は回復して、MP全開のまま戦えるってことだろ? それって最大いくつまで入るんだ?」

「そうね、これは10ページだから10種類を10回ずつよ。同じ魔法もページと同じ数しか入らないの。それに、デメリットがもう一つあって、ページ名を詠唱しないと威力が0.7倍になっちゃうのよ」


 序章とか言ってたのはそれか。

 魔道書か、面白そうだな。まあ、俺はMP回復なんてことはできないから、倍消費の魔道書なんて俺にとってはデメリットしかないか。


「ありがと。それでサイ姉はこれからどうするんだ?」

「私? そうねぇ、全種類のモンスターと戦って、一番効率のいい戦い方を見つけてそれに徹するとしますか」


 出た、天才特有の効率重視!!


「このゲームは意外と面白かったし、色々知りたいのよ。ふふふ」


 この怠け者がここまで積極的になったのはいつ以来だろうか……。それだけこのゲームが面白いということか?


「じゃあ、サイ姉はソロってことだな。俺もそうするか」


 正確な計算のためにサイ姉は人を寄せ付けないだろうし、俺もサイ姉程ではないが自分の力量くらいは正確に測っておきたい。しばらくはパーティーとは無縁だな。


「ええ、それじゃ、またいつか会いましょ」

「いや、夕飯には帰ってこいよ」

「そう言えばそうだったわね。ふふふ」


 ゆっくりと去っていくサイ姉を見ながら、俺は立ち上がる。


「……さて、ゴブリンでも斬ってきますか」


 あれ、俺はいつからこんな戦闘思考になったんだろう。まあ、面白いしいっか。




名前

 遊羽Lv6


 性別

 


 種族

 偽人ホムンクルス


 職業 メイン:遊人Lv2

     サブ:職人Lv1


 所持金:832エン


 ステータス


 HP:100/100

 MP:87

 SP:45/45

 攻撃:21(+1)

 防御:23(+5)

 知力:20

 精神:20

 敏捷:19(+1)

 器用:16

 運:12


 SB残り:50


 装備


 頭:『バンダナ:防御+1』

 胴:『ボロ皮の鎧:防御+1』

 腕 右:『ただのミサンガ:防御+1』 

左:『ただのミサンガ:防御+1』

 腰:『麻のズボン:防御+1』

 靴:『ボロの靴:敏捷+1』

 武器 右:『ショートソード(粗悪品):攻撃+1』

    左:なし


 ギフトスキル


 ???:開示されていません


 スキル


 『武器:剣術Lv2』『魔法:土属性Lv1』『錬金Lv1』『調律Lv1』『賭博Lv1』『ステップLv2』『全能力上昇Lv1』




 ……さて、色々ツッコミどころがあるステータスな訳だが……っていうかやべ、魔石集めないと。

 俺は足を早めた。


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