第一話 侵入者! 愉遊識家に来たり!
なんだかんだで続きが書きたくてしょうがないです。
日曜。それは貴重な休日である。
「兄さん離して~」
日曜、それは英気を養う日である。
「お昼の準備をしないと~。ね~、兄さ~ん」
日曜、それは……一日寝てもいい日である。
「寝てていいから離してよーーー!!!」
「むぅ、うるさいな、寝れないじゃないか。全くみこしは仕方がないなぁ」
「仕方がないのは兄さんの方だよ! もう! 毎週毎週僕を抱き枕にして~、もう知らない!」
「あぁ~、みこし~」
心地良い枕が行ってしまった……仕方ない、起きるか。
「くぁ……えぇと、今は~、11時か。結構寝たな」
あれ、そう言えば昨日まつりにあいつが来るって言われてたっけ。しょうがない。準備するか。
「みこし~、昼飯何~?」
「あ、つり姉。おはよう。昨日の残り物でうどん作ってみたんだけど、どうかな」
「お? 味見ですかな? それは私の専売特許だね! どれどれ……ん、おいしっ」
「そう、よかった。じゃあこれでいいかな」
どうやらできたらしい。さて、じゃあ俺も可愛い弟の恩恵に与ろうかね――。
――――ピンポーーーン
…………イラッ
「はーい、新聞は間に合ってマース」
「よーっす! 一昨日ぶりだな親友!」
「なんですか? 新手の宗教勧誘ですか? お引き取りください」
「ちょっ! 待て待て待て! 俺! 俺だって!!」
「訪問オレオレ詐欺……新しいな。でも間に合ってるからお引き取りください」
「だから待てって! ほらっ、お前の親友! 弘樹だよ! 弘樹!」
「の皮をかぶった?」
「弘樹だよ!!」
「ちっ、なんだ弘樹か。それならそうと早く言いやがれよ。どんくせぇ」
「あれぇ? 今のって俺が悪いの? ねえ、俺なんかした?」
こいつは俺の高校の同級生で、名を湖上弘樹。
中学時代から一緒で、俺の姉妹共々お気に入りの遊び相手になってくれている。
「まあ、ありがとな。じゃあな」
「まだ何もしていませんが!? この暑い中片道二十分歩いてようやく来たんだからもっと何かあるだろ!?」
「一杯いっとくか? 料理酒だけど」
「いらんわ!!」
遊び相手というより体のいいおもちゃだな。家に来るたびにさい姉と妹様にいい様に弄ばれて俺に弄られて……
「……だというのにこいつは懲りずに来るんだもんな。Mか? ロリショタ熟年金髪銀髪黒髪ロングショートストレートロールメイド忍者アンドロイドお嬢様奴隷姉妹獣人エルフ大好きBLホモゲイラヴの称号にドMが加わるのか……救いようがない変態だな!!」
「おいこら、俺はMじゃねえしその前の全ての称号もお前の妄言だろうが。っていうかなんでBLだけ特出してんだよ。俺はノーマルだ!」
全く、後ろの変態がうるさ……って、
「俺の後ろに立つんじゃねえ!!」
「お前が前に行ったんだろ! ってケツを抑えるな! 俺は変態じゃねえ!!」
「ま、まさかみこしを……それだけはやらせんぞ!!」
「はぁ!? みこしってお前の弟だろ! だから俺にそんな趣味は――」
「あ、ヒロさん! お久しぶりです! 僕、みこしです。覚えていますか?」
「趣味……は…………」
「あ、そうだ。丁度お昼ご飯が出来たところなんです! 食べていきますか?」
「しゅ……み……は……」
「お、おい……? 弘樹?」
「……?(キラキラした純粋な眼差し)」
「変態……なのかもしれん」
「気をしっかり持て! 弘樹ぃいいい!!」
「…………?」
頑なに変態疑惑を否定していた親友すら堕とすとは、おそるべし我が弟! しかし気持ちは分かるぞ! 女より女している我が弟に惹かれぬ者はなし!
「……一人分追加でいいのかな?」
地に伏せ「俺はノーマルだ俺はノーマルだ」と呪詛のように呟き続ける男と天を見上げ何かを誇るようなドヤ顔の男に苦笑いし、女神(男)は小首を傾げた。
「さて。で、何しに来た」
「酷いな。昨日妹から聞いてなかったのかよ。SWOについて色々話し合うんだろ? とは言え、初期スキルとか職業を決めたりするくらいしか出来ないが……」
昼食も終えて今は俺の部屋。何故か弘樹含め全員がここに集まっている。
「ちょっと待て、俺はそのスキルとか職業について何も知らないんだが」
「お、そういやそうだったな。んじゃあ、その辺の説明から入るか」
~セブンスワールドの世界観~
世界は七つの大陸で隔てられている。この大陸は一つ一つが独立した文化を持っている。大陸間の交流はほとんどない。
そんな世界の一つの大陸、東部のファストに前触れもなく現れた英雄たち……冒険者。
君たちは冒険者となり何をなすのか……繁栄と破滅。君の選ぶ道は……どっちだ。
「的な感じがこのゲームの大まかなあらすじだな。ファストの魔王を倒し、次の大陸に渡り、また魔王を倒し、たまに神とかと戦って……とりあえず世界がとてつもなくでかい。なんと魔王側について戦うこともできる。どころか自分が魔王になることも可能だ。ダンジョンと呼ばれる迷宮を作る職業もあるし。やることなんて見つからない方が珍しい位の自由性、オリジナルの技とか武器も作り放題で、既存のものでも結構な量の種類のスキルがある」
へぇ、選択肢が多い方が楽しいしな。このゲームには期待しても良さそうだ。
「で、あれだ。システムの説明に移るが、まず職業。これはまあ、自分の役目のことだな。剣士とか魔法使いとか。種類は千以上あるって話だが……実際に見てみないとわからないよな。とりあえず大きく分けるとして、『戦士職』『魔法職』『生産職』『その他』ってかんじだ。基本はひとつだけなんだが、成長を遅らせるという条件で、2つまで取ることができる」
職業か。俺は生産系でもいいんだが……折角現実から離れるんだ。剣とか持ってみたいよな。
「次は種族。これは自分の人種だ。『普人族』『エルフ族』『獣人族』。代表的なのはこのあたりだが、もちろんもっといる。で、種族にはその種族特有の能力を持っている奴もいる。あとから変えたりできないから、種族は慎重に選んだほうがいいな」
種族か。普通に人間、普人族だっけか? それでいいんだが、他の人種も興味はあるな。まあ、見て決めるか。
「で、あとはスキルか。スキルは常時発動型のパッシブスキルと任意発動型のアクティブスキル、そして条件を満たせば自動発動するオートスキルの三つに分かれる。
その中でも武器を装備するのに必要な『剣術』や『槍術』と言ったものは才能を表す『心スキル』と言い、
『ジャンプ』や『回避』と言ったアクションを起こすスキルは技術を表す『技スキル』という。
そして、『体力上昇』『クリティカル率上昇』と言ったステータス底上げ系のパッシブスキルは身体を表す『体スキル』と呼ばれている。
魔法もスキルに分類される、これは心スキルに当てはまるな。
他にもユニークスキルとかエクストラスキルとかあるんだが、そこまで細かく説明するのは面倒だから向こうで覚えてから聞きに来い。ちなみに初期に覚えられるスキルは7つまでだ」
スキルか。その構成でこれからのゲーム生活を左右しそうだな。俺なら適当に選んでしまいそうだから気を付けないとな。
「そして次に、固有能力。『ギフト』の説明だ。ギフトは、セブンスワールドの世界に渡るときに神から授かる己だけの能力って設定で、一人一つ特殊な力が貰える」
「へぇ、一人一つはすごいな。どんなのがあるんだよ」
「それはもう多種多様さ。戦闘用から生産用。お遊びもあれば自爆ものまである。変なのに当たった奴はご愁傷様だな。えーと、β時代の友達には体からいい匂いを出すとか、腐った食材アイテムを食べても腹を壊さないとか、指一本で逆立ちできる『だけ』のスキルとか、使えるのか使えないのか微妙なものがあったな」
なんだそれ、ハズレを引くのはいやだな。
「まあ、ギフトを貰う前に職業とかスキルを選ぶんだが、それに沿ったギフトが出ることが多いらしい。剣士になったのに戦えなくなるギフトが出るとかはないらしいからそこは安心しろ」
それは良かった。そんなことになったら大変だしな。
「で……っと、あとは何かあったっけ? もういいか。んじゃあ、次はお互いのプレイスタイルを確認するとして……俺は重戦士で、種族もスキルも防御特化にする予定だ。所謂壁役だな」
へぇ、タンクって用語は初耳だが、要するにドM職か。
「……なんか今馬鹿にされた気がするんだ「気のせいだ」……そうか」
「ふう、ようやく私のセリフだよ。私は軽戦士。ヒロ君とは真逆のスピード特化の紙装甲で、手数で攻める感じ」
スピード特化ねぇ、コイツには怪力g「何か言った?」なんでもないですはい。
「僕は戦うのとか苦手だから、後ろでみんなの補助をしたり回復したりする神官がいいかな」
流石みこしだ! なんて優しい子なんだ!! 兄さんが全力を持ってみこしを守るとしよう!
「私は魔法使いね~。現実にはない力って興味深いもの。それに、このメンツじゃ火力も足りないようだし」
ふむ、皆もう決めているのか。じゃあ俺も今決めた方がいいな。
「どんな職業があるかわからんが、この場合はショートレンジとロングレンジで2:2か。じゃあ俺は場合によってポジションを変えられるミドルレンジでいいのか? 遊撃って感じでなるべく威力のあるものにしよう。でいいか?」
「いいと思うよ。その場の空気に合わせるのはお兄ちゃんの得意分野だしね!」
うるせえやい。
「おう! バランスの取れた構成だな! 何で英語に直したかは知らんが!」
「これでいつでも一緒にパーティ組めるよ!」
「基本的には全員ソロでよろね~」
「えぇ!? ソロって、聞いてないよ~」
「殴れる神官目指せば~?」
「本末転倒だよ!!」
本当に面白くなりそうだな。このゲームは……
そして、セブンスワールドのサービス開始はもう迫っていた。
さて、誤字、脱字、この設定おかしくない? などがあったら遠慮なく意見を下さい。




