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黒龍皇の血統  作者: 現野 イビツ
虹色の巫女と金眼の悪魔
7/26

第六話 閃雷VS火炎(前編)

7000PV突破しました。

後、今回からやっとバトルパートに入れました!

※改稿しました。

「それでは……試合開始っ!」

審判がそう叫び、真っ赤な旗を振り下ろした時にはもう、ガオンは魔法陣の展開を終えていた。

(はっ! 純人風情が俺様に“決闘”を挑んだこと、たっぷり後悔させてやるぜ!)

ガオンは、そう心の中で呟くと、先手必勝とばかりに、展開済みの魔法陣を発現・・させた。

『燃やし尽くせ! “火炎波フレイムウェーブ”!』

ガオンのその掛け声と共に、地面に展開された魔法陣から、炎で出来た大波が現れた。

それは、徐々に対戦相手のクローに迫って行き、やがて大きく飲み込んだかのように見えた。

観客席から悲鳴と歓声が上がる。

それを聞いたガオンは、会場をより盛り上がるために、目の前に広がる火の海に向かって、

「おいおい、それは手加減しまくった魔法だぜ? まさか、一発喰らっただけでノックダウンじゃねえよなー?」

と叫ぶ。

ガオンの言った通り、“火炎波フレイムウェーブ”は攻撃範囲こそ広いものの、見かけに反して威力はそんなに高くない。

だからガオンは、クローが火傷の一つや二つは追ってたとしても、戦闘不能にまでは達していないと計算していた。

しかし――、

「いや、別に当たってないんだけど」

「――っ!?」

――その考えは、計算違いも甚だしかった。

ガオンは慌てて、クローの声がした後方に目を向ける。

そこには、火傷どころか、煤一つ体に付けていないクローの姿があった。

「――お、お前、何で無事なんだっ!?」

「さぁ、何でだろ?」

混乱するガオンの問いに、クローは平然と返事をすると――、

「それよりさ――」

――余裕の表情で言った。

「時間が無いし、早く残り九つ・・の魔法、全部見せてよ?」




さて、突然だが、ここで“決闘”のルールを説明しよう。

“決闘”は徹底的に死者を出さないよう、三つの基本ルールが決められている。

まず、六十分という制限時間。

これは、選手や審判団の集中力が低下して不慮の事故が起こる可能性を、極力少なくするために設けられた物である。

もし、時間内に試合の決着が着かなかった場合、延長では無く引き分けとなる。

次に、武器。

エクシリオン魔導学園にも、少なからず剣術や槍術を使う者が在籍しており、そんな生徒には以前言ったように、学園から武器の貸し出しがされる。

この武器は、致命傷を負わないように刃の部分が潰されていると同時に、付加魔法を受け付けない特殊な金属を使用しているため、安全で公正な試合運びが出来る。

そして最後に、魔法。

魔法に関しては、試合前に使用する魔法十個をリストに纏めて審判団に提出し、危険度が基準値以下と判断されない限り、使用許可が下りない。

もし、試合中にリストに載っていない魔法を使用した場合、即刻退学処分が下る程の徹底振りだ。

これ以外にも細かいルールは多々あるが、基本はこの三つのルールによって、選手たちの安全が保障されているワケなのだが──、




「“火炎波フレイムウェーブ”って……僕じゃなかったら火傷確実な魔法なんだよ……?」

僕は小声で呟きながら、非難がましい目で審判の方を見る。

今のは間違いなく基準値スレスレの危険な魔法の筈。

一瞬、審判団の判断がおかしくなったかと思ったが、これがただ単なる性悪“風紀委員長”の意地悪(正確には、嫌がらせ)だということに気付く。

二年先輩の風紀委員長こと“貴人エルフ”のガゥェイン・綺天塚きてんづか・グリューンへクセは、中学時代から何かと僕を目障りに思っているらしく、今日のように“決闘”相手を有利にさせることなど、日常茶飯事である。

──しかし、これにはちょっと困るなぁ、と僕は心の中で呟く。

さっきは余裕ぶって、

「残り九つの魔法、全部見せてよ?」

なんて言ったはいいが、これ以上危険な魔法を使われたら、流石の僕も対応出来ない可能性がある。

何せ、僕は今回、三つ・・の魔法しか使用許可を申請してないし……。

そんな風に僕が考えていると、ガオンがまた地面に魔法陣を展開させる。

「………………」

それを見た僕は、一瞬身構え──それが“火炎波フレイムウェーブ”だと分かった瞬間、力を抜く。

あれ(・・)の攻略は、とっくに済んでいる。

『燃やし尽くせ、“火炎波フレイムウェーブ”!』

ガオンがそう叫ぶと同時、僕も小声で呟くように言う。

『“雷光靴サンダーブーツ”、スタート』

直後、僕の足元に魔法陣が展開し、そこから現れた雷が、僕の足を中心に、ブーツ状に編み上がっていく。

この“雷光靴サンダーブーツ”は、体内に電気を流し筋力を強化する力を持ちながら、それ自体にも跳躍力アップの特殊能力エクストラスキルを持つ、装備型の雷属性魔法だ。

だからこそ――、

「よいしょ……っと」

――こんな風に、“火炎波フレイムウェーブ”を軽々と飛び越えることが出来たり。

「なぁっ!?」

無事着地すると、視界の端に、驚愕のあまり顎が外れそうになる程口を開いた、ガオンの姿が目に入った。

まぁ、無理は無いか。

今のは、多少“龍人ドラグーン”ならではの運動神経を利用させて貰ったし。

しかし、ガオンはすぐに正気に戻ると、即座に右手に魔法陣を展開させる。

それなりに、実戦慣れしているようだ。

ガオンが、僕の方を見ながら叫んだ。

『燃やし尽くせ、“豪炎球ブレイズシュート”!』

魔法陣から現れるのは、直径1メートルにもなる、巨大な火炎球。

僕はそれを右に跳んで、難無く避ける。

が、左手に魔法陣を展開したガオンが、すぐに追撃をする。

『燃やし尽くせ、“ワイドフレイム”!』

今度は、扇のように横に広がる火属性魔法。

横には逃げられそうに無いので、上に跳んで逃げる。

が――、

「かかったな、バカめ!」

「え?」

――ガオンがそう言ったかと思うと、“豪炎球”の発現が終わった右手に、新たな魔法陣が展開される。

『……燃やし尽くせ、“火炎塔フレイムタワー!』

「――っ!?」

ガオンが叫ぶと同時、扇状に広がる炎の中から、僕目掛けて一本の火柱――いや、火炎の“塔”が伸びてくる。

それを見た僕は、驚きで一瞬息を呑み――すぐに魔法陣が展開された右手を下に向ける。

そして――、

『――“絶攻雷ストライクボルテクス”、スタート!』

その言葉と共に魔法陣から現れた雷が、螺旋を描くように絡まりながら巨槍ランスの形となり、“火炎の塔”を貫く。

「――なっ!?」

直後、地面にぶつかった巨槍が弾け、爆風を持ってしてガオンの作った炎を吹き飛ばした。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

バトルパート突入とか言っときながら、戦闘シーンが少なくてすいません。

次回は長くなる上に戦闘シーンも少なくなる予定です。(それじゃ、ダメじゃん……)

それでも、次回“閃雷VS火炎(中編)(仮題)”をお楽しみに!

以上、現野 イビツでした。

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