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黒龍皇の血統  作者: 現野 イビツ
虹色の巫女と金眼の悪魔
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第二十三話 メイデン・カフェでの日常会話?

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「え、えーと……。あ、白鏡さん?」

「? どうかしたの、ハノンちゃん?」

「どうかしたって……、お店に入ると同時に、何故か神刃くんが連行されたんだけど」

「あー……、気にしないで、ハノンちゃん」

「……流石に、それは無理かも」

所変わって、ここは先程話題に上がっていたメイデン・カフェの店内。

つい数分程前にこの店に入ってきた私・ハノンちゃん・ガオンくんみたいな何かの三人?は、それぞれショートケーキ・苺のタルト・コーヒーを食べながら(飲みながら)、雑談をしていたのだが。

話題の内容がどうしても、今この場にいない私の幼馴染のモノになってしまうのだ。

ムゥ……サプライズのつもりなのに。

「いや、サプライズって何よ、風紀委員ちゃん? 確かに店に入った途端に、クローが店員に拉致されたのにはビビったが……それがサプライズってワケじゃないだろ?」

「うん、それはそうなんだけどね。まぁ、それは後でのお楽しみってことで」

コーヒーを飲んでいたガオンくんの問いに、私は少し曖昧に答える。

今バラしたら、サプライズの意味がなくなるから。

ガオンくんもそれが分かっているのか、少し憮然とした表情をしながらも、コーヒーを一口飲んだ後、話題を変えてきた。

「まぁ、クローのコトは今は置いとくとして……。実はさっきから気になっていたことがあるんだか……」

「ん? 何かな、ガオンくん?」

「いや、その、なんだ。……なんでこの店は、修道女シスターがウェイトレスをやっているんだ?」

そう言って、私の少し後方を見遣るガオンくん。

その視線の先には、白と黒のコントラストが印象的な下地の上に、金と銀のラインが走った服を着た亜人の少女がいた。

その姿は、紛うことなく龍神信仰のシスター服のそれである。

私は、あぁと小さく頷いてから、ガオンくんの問いに答えた。

「言ってなかったけ、ガオンくん? この店の名であるメイデンって、巫女さんやシスターのことを指してるんだよ」

「巫女って……確か風紀委員ちゃんもそうだったよな?」

「あ、いや、確かに私は自然信仰の巫女なんだけど。ここにいる巫女や修道女さんは服装はそうだけど、別に神社や教会に所属しているワケではなくてね」

「……? それってどういうこと、白鏡さん?」

「……ほら、巫女服とか修道服って、結構可愛いじゃない?」

「あぁ……、ナルホド。つまり、ここはそういう服装を好むヤツが集まる店ってワケか」

「まぁ……、そういう客集めをしてるのは確かなんだけどね」

ガオンくんのあまりの言い様に、私は思わず苦笑してしまう。

確かに、この店の内装は中々に少女趣味なファンシーなものだが、自然信仰の巫女・龍神信仰の修道女シスター・六神信仰のスールの衣装に惹かれた男性客が席の約四割を埋めているのも事実だが。

そんな客達を見た私は、持ってきた鞄を漁りながら、溜め息混じりに呟く。

「本当に、男の人って下心丸見えの人が多いよねー」

「……と言いながら、オイ! 鞄から何を出してるんだよ、風紀委員ちゃんは!?」

「何って……映像記録用の魔導球スフィアだけど?」

「いや、それは見れば分かるが……」

「白鏡さん、一体何を撮影するの……?」

魔法陣を展開して魔導球スフィアの起動の準備を終えた私は、角度と位置を調整しながらハノンちゃんの問いに答える。

「いやー、もうそろそろだと思うんだけど……っと、やっと来た!」

「「え?」」

私がそう呟いた直後、厨房の近くにある従業員控え室の扉から、修道女シスターの恰好をした、黒い猫耳と焔のような赤毛が特徴の美女が現れた。

この店で一番人気の店員にして、この店の店主の娘──猫妖精ケット・シーのリオン・ラウネイロさんである。

彼女は、控え室から出てきてすぐに辺りを見渡し、私を見つけると見事なサムズアップを私にしてきた。

私も、魔導球スフィアを構えながら、サムズアップを返す。

ハノンちゃんとガオンくんは、そんな私達の様子をスプーンを咥えたりカップに口を付けたまま呆然と見ていたが、私達はそんなことは気にしない。

リオンさんは、店の中央まで歩いていくと、手を叩いてウェイトレス(巫女・修道女・スール)達を集める。

その様子に気付いた客達が不思議そうに見詰める中、リオンさんがウェイトレス達に指示を出した。

「さぁ、くぅちゃんがまだ駄々捏ねてるから、皆で連れてきちゃって下さい!」

「「「はーいっ!!!」」」

リオンさんの言葉に勢い良く返事をしたウェイトレス達は、一斉に控え室に入っていく。

「「「………………」」」

ハノンちゃんやガオンくんを始めとする客達は、彼女達のそんな様子を見て一瞬唖然とするが、次の瞬間には別の意味で息を呑むことになる。

「「「なっ………………!?」」」

「ほら、くぅちゃん!」

「お客様達に挨拶をしてあげて!」

「後で、お姉さん達がご褒美あげるから!」

そう言いながら、ウェイトレス達が控え室から連れ出してきたのは、自然信仰の巫女服を着た、側頭部と腰辺りでその長い黒髪を纏めるのに使われている紅白のリボンが特徴の美少女だった。

その漆黒の瞳を涙で潤わせながら、ニヤニヤとし続けるリオンさんを見上げるその姿を見た客達は、男女問わず一斉に惚けてしまう。

それ程可憐で美しかったのだ、その少女は。

が、しかし──、

「う、うぅ……うわーん! やっぱり嫌ですよ、こんなのっ!!」

「あ、逃げた!」

「「「──って、待ちなさい、くぅちゃん!!」」」

その少女は、とても巫女装束を着ているとは思えない程の俊敏さで、ウェイトレス達の包囲網を突破して店内から抜け出そうと駆け出した。

リオンを始めとするウェイトレスや、何故か数人の客達が急いで少女を追いかけ始める。

「くぅちゃん、逃げないでー!」

「お姉さん、頑張ってご褒美あげるからー!」

「私も、何でも言うコト聞いてあげるしー!」

「キミー、是非、我輩と結婚をボゲェ!」

口々に声を掛けながら少女を追いかけるウェイトレス&客達。

……最後に叫んでいた客の顔面には、何故か巨大な氷塊がぶつかっていたが。

そして、ハノンちゃんとガオンくんは、それぞれ紅茶・コーヒーに口を付けた状態で呆然としたまま、その様子を目で追っていたのだが──、


「──バイト代弾むから、待ってよ、クローくん!」

「「ぶっ!?」」


──少女を追っていたリオンさんの言葉を聞き、二人とも思わず口に含んでいた液体を噴き出してしまう。

見ると、店内の他の席でもちらほらと似たような現象が確認されている。

ゴホゴホと咳き込んだガオンくんとハノンちゃんは、一人だけ平然としながら魔導球スフィアで撮影を続けていた私をジト目で見ながら質問をして来た。

「………………あのね、白鏡さん?」

「……もしかしてだが、サプライズって、コレのことか?」

「うん、そうだよ! 二人とも、驚いたでしょ?」

私は、特に悪びれもせずに、撮影を続けながら二人の問いに答える。

そんな私を見た二人は、数分の間黙っていたが、同時に口を開いて私に言った。

「「風紀委員ちゃん(白鏡さん)、その映像記録を後で売って(くれ)!!」」

「そうじゃないでしょ!」

メイデン・カフェの広い店内に、クローの心からのその叫びが、しかし虚しさ抜群で響き渡った……。

……はい、そういうワケで、初のクローの女装回です。

出来れば、夏休み中にまた女装系の短編を日常の方に投稿したいなー、なんて思ってたり。

……自分、バカ〇ス好きですから。

と言うワケで、次回“薔薇色の蝶”をお楽しみに!

以上、現野 イビツでした!

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