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黒龍皇の血統  作者: 現野 イビツ
虹色の巫女と金眼の悪魔
19/26

第十八話 蝙蝠襲来(5)

テスト期間が終了し、久々の投稿です。

今回は、やっとあの人が登場か!?

『――“絶攻雷ストライクボルテクス”、スタート!』




控え室であった武器庫に到着した途端、合成獣キメラに襲われている彩那あやなを見た僕――神刃しんじん クローは、無我夢中でそう叫んでいた。

直後、右手に展開された魔法陣から雷の大槍ランスが飛び出し、合成獣キメラを背後から打ち貫く。

そして、武器庫の奥――石壁にポッカリと空いた窓の辺りまで吹き飛ばした。

「「え………………?」」

それを見ていたガオンくんとハノンちゃんが、いきなりの展開に驚きの声を上げる。

が、僕はそれらを一切無視して、一人でを流している彩那の下まで駆け寄って行っていた。

「ふぇ………………?」

まさか、一直線で自分の下まで来るとは思っていなかったのか、彩那が少し間の抜けた声を出す。直後、彩那は一気に耳まで真っ赤にすると、涙を拭おうと手を動かすような素振りを見せて……何の動きも見せない。

いや、見せられないと言った方が正しいのか。

どうやら彩那は、硬直系の呪いに掛かっているらしい。

それが分かった僕は、一瞬だけ顔を歪めると――、




――彩那の華奢な体に、躊躇無く抱き着いた。




「おっ!」

「えっ!?」

「………………………………………………………………へ?」

それを見たガオンくん、ハノンちゃん、彩那は、三者三様の反応を示す。

と言っても、ガオンくんだけは野次馬根性丸出しで状況を楽しんでおり、後の二人はそもそも何が起こっているのか分かっていない様子だが。

しかし、時間が経ってくるに連れ、二人もちゃんと状況が分かってきたらしく、ハノンちゃんは顔を赤くしながら硬直し、彩那に至ってはパニックの余り言葉も喋れないのか、身振り手振りで僕に何かを伝えようとして……そこで、自分が動ける(・・・・・・)ことに気付いたようだ。


「………………え?」


再び彩那の口から、呆けたような声が漏れる。

そして、僕の腕の中で身じろぎ一つせず、確認するように聞いてきた。

「え? クローって、光属性使えたっけ?」

「……いや、使えないよ」

「じゃあ……何で“解呪アンチカースが使えるの?」

どうやら彩那は、自分に掛かっていた呪いが、いつの間にか解除されていたことが、不思議で仕方ないのだろう。

だって、“解呪アンチカース”は、光属性の魔法だし。

けど僕は、ゆっくりと彩那から体を離すと、悪戯が成功した時のような気持ちで言った。

「ひ、み、つ!」

「――――――」

……あまりの答えに拍子抜けしたのか、彩那の顔から表情が消える。

それを見た僕は、少し失敗したかなー、と心の中で呟きながらも、断じて本当のことを話しはしない。

だって、知られたくなかったから。


――他人の魔力を支配コントロールする異常な技が、僕の十八番オハコだということを。


僕は、何故か残念そうな表情をする彩那から離れると、ちょうどよく手元に会った投げナイフを後方に放ると、ガオンくん達の方を振り向きながら言った。

「……よかった。皆無事で」

「し、神刃くん! それより――!!」

「う、後ろを見――――――って、えぇ!?」


――ズドォォン!


「? どうかしたの、二人共?」

「どうかしたのって……神刃くん」

「お前……自分が何したか分かってるか?」

「何って……合成獣キメラが後ろから飛んで来てたから、迎撃をしただけじゃない?」

「………………俺の気のせいじゃなきゃ、お前はナイフを適当に投げたくせに、的確に急所(目)に突き立てているように見えたんだが?」

「ナイフの扱いは、まぁまぁ慣れてるからね」

「そんなレベルの話じゃないと思う……」

僕の言葉を聞いたハノンちゃんが、控え目ながらも、しっかりとそう言ってくる。

……ムゥ。

どうやら、少しやり過ぎてしまったらしい。

アパに聞かれたら、また怒られそうだ。

まぁ、そこは非常事態だったということで許して貰うとして。

まずは、目先の問題を解決しなければ。

僕は、未だに残念そうな表情をしている彩那の方に向き直りながら、急いで口を開いた。

「彩那! ガオンくんの呪いを早く解除して、三人ですぐに部屋から逃げて! 多分、すぐに風紀委員が来るから、そこで待機を!」

「え!? それじゃあ、クローはどうするの?」

「彩那たちが逃げるまでの足止め」

「んなっ……!? 何バカなこと言ってやがる、クロー! 三対一でも敵わない相手なんだぞ、相手は!」

「そ、そうだよっ!? 明らかに危険過ぎるよっ!」

僕の言葉を聞いたガオンくんとハノンちゃんが、叫ぶようにそう言ってくる。

しかし僕は、それを無視して、足元に転がっていた剣を拾う。

……抗魔こうま刻印が解除されてるってことは、ガオンくんが使ってたのかな?

……まぁ、何にせよ、都合が良いことに変わりはない。


『……“迅雷剣ドンナー・シュヴェールト”、スタート!』


僕はそう詠唱しながら後ろを向くと、雷光を纏って刀身が2m程の長さになった剣で、不意打ち・・・・で放たれた翼撃ガストを真正面から切り裂いた。

「ギャオッッッ!?」

『“絶攻雷ストライクボルテクス”、スタート!』

まさか失敗するとは思っていなかったのか、その醜い顔に驚愕の表情を浮かべる合成獣キメラに、僕は再び雷の大槍ランスを叩き込む。

「ッグ、ギャァァァアアッッッ!!!」

「「「………………」」」

雷に打たれ、絶叫する合成獣キメラ

それを見たお三方は、どうやら言葉を失ってしまったようだ。

僕は、そんな三人の方に向き直ると、皆を心配させないようにわざと恰好をつけながら言ってみた。


「僕だって、伊達で“閃雷ライトニング”なんて呼ばれてるワケじゃないんだよ?」


「………………」

そんな僕を見た彩那は、少しの間だけ考え込むような素振りをした後、ゆっくりとガオンくんに手を伸ばして、詠唱を開始した。

『響き渡れ、“解呪アンチカース”!』

彩那の右手に展開された魔法陣から、淡い光が溢れ出て、ガオンくんの体を包み込む。

直後、ガオンくんの体が動くようになったのか、ゆっくりと体を起こし始めた。

それを見た彩那は、顔を上げてまっすぐと僕の顔を見つめてくる。

僕は、その視線を真っ向から受け止めると、不安そうな表情を見せる彩那に言った。

「安心してよ、彩那。僕は大丈夫だから」

「……無事に帰ってこなかったら、本気で怒るからね?」

「りょーかい」

僕の、少し気の抜けたその答えを聞いた彩那は、思わず笑みを零してから、ようやく立ち上がる。

そして、すぐにガオンくんとハノンちゃんを連れて、武器庫から避難した。

「………………さて、と」

それを見届けたは、迅雷剣ドンナー・シュヴェールトを肩に担いで振り向きながら、合成獣キメラに言った。


「ここからは、本気の勝負だ!」


皆さん、お久しぶりです!

テスト期間があったために、中々更新出来ず、申し訳ありませんでした。

それもこれも、古典や英語文法というモノが存在するせいです!

あんなのなくたって、日本人は生きていける……っ!

………………申し訳ありません。

少々取り乱してしまいました。

それでは、次回予告ですが……次回が合成獣キメラ編最終回です。

なので、次回“蝙蝠襲来(6)をお楽しみに!

以上、現野 イビツでした。

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