薄倖な第2話:不幸の始まり(2)
「まこちゃ〜ん。そこにヒトみたいな、外面は木製みたいのが見えるでしょ? それがこっくりさんだよ」
深雪の声に周りを見回すと、たしかに人のように見えなくもないモノがそこにはあった。ご丁寧に赤く‘こっくりさん’と書かれた名札まで付けてある。先程まで掛けてあったのか、赤いシートも近くに落ちている。眞人はそのシートについて少し気になった。今することを思い、忘れることにして前を見る。全身を見渡すと、小さな子供が見たら泣き出しそうな雰囲気が漂っていた。
「一応、あったみたいだけど、これからどうするんだ?」
「うん。こっくりさんの前に楽な姿勢で座って。胡座でも何でも。あ、でも正座はダメだよ? 正座はこっくりさんが身体が緊張してるって判断しちゃうみたいだからね。わかった?」
眞人は返事をせず、指示のとおり動く。謎の人形の前まで行くと、背を向け胡座をかく。
「これの前に座ったぞ。次は何するんだ?」
「もういいよ。そのまま楽にしてて」
嬉しそうな声色で、深雪は言う。よほど嬉しいのか、言葉にまで笑みが流れ込んでいるように聞こえる。後ろのほうでは知己までもが笑っているようだ。
「深雪? 何かあったのか、笑っているみたいだけど」
「いっくよー。せーのっ」
「おい、深雪……」
深雪は彼の問いには答えず、スイッチを入れた。
眞人に聞こえたのは、機械音。そして、金属の弾ける音だった。
目の前には白煙が広がった。