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狂科学時代  作者: アサト
14/19

夜駆ける秋人

夜を駆ける、建物から建物へ数メートルの跳躍を続ける。

最もこの動作も狂科学によって改造された秋人の足でなければほぼ常人には不可能なまでに美しい弧を描いた跳躍だった。


行き先は決まっていた。だからという訳でもないが、秋人は『思体置場(デッドスペース)』で遊んでいた。

自身の狂科学である無限思考。文字通り無限に近い時間を思考する事ができる狂科学。秋人がソレを使う中で感覚的にいる世界、つまり秋人自身が居ると感じる世界が『思体置場(デッドスペース)』だ。そこは崩れかかったごみ山のように空想にふけった思考が雑多に積み上げられている。

出ている結論を何度もまたなぞり直す。本来、起こりえる筈の無いノイズがかかる。

「コレが終わったらココを離れる事に心配しているのか?」

普通ならどう考えるのだろうか?-エラー

自分の能力では他者の事は予想できても、思考が辿り着いたとしても予測の範疇を超えて完全な予測に辿り着く事はできない。

『過去108293件実験回数中の成功例は10891。正答率は小数点第十一位までを除く確立でクリア。』

本来起こるはずの無い個人的な現象。コレを解き明かす事が自分という実験体の完成につながる。

そう信じる事で秋人はこの旧国で生きてきたつもりだった。

けど、それは樹と詩織との生活が変えていって結局実験体『葉月秋人』は…。

樹や詩織がこの世界で秋人の目から離れ一人ひとりの生活をしていく。それはきっとこれから秋人と過ごす時間よりも濃密で楽しい時間だろう。

そんな未来を予想し、現実にする為に戦う。


「守る為に戦うか…。安っぽい実験体には丁度良いな。」

今の秋人には完全など無いという事に気付いていた。

それは秋人が失敗作である事を示している。

それでも秋人は自分が人間だという証明ができた事の方が嬉しかった。

そんな気がして秋人は飛んだ。


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