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狂科学時代  作者: アサト
12/19

夢終わり

これは夢だ。夢の中に居るはずの自分がその事に気付いてしまう程にこの夢は何もかもが甘ったるかった。

夢の中の夢から覚める。部屋は明るく朝光(あさひかり)が部屋の中をカーテンの色に染める。樹の部屋の色は薄い青色。

階段を降り、洗面所まで辿り着く。鏡に映ったのは葉月秋人で源樹ではなかった。

『やっぱりか…』

夢の中はどこかがおかしい。その世界では樹は樹では無く、秋人だった。

『おはよう。朝早かったね』

顔を洗っていると横から、タオルが差し出される。タオルで顔を拭き、見上げる。『源葵(みなもと あおい)』。自分は秋人なのに居たのは樹の母である源葵であった。

『朝ご飯はパンとご飯どっちが良い?』

聞かれ、パンと答え。母はせわしなく台所へと帰っていく。

顔を洗い終え、歯を洗ってから朝食を食べに移動する。

家族での団欒。失われた日常と自分では無い自分。樹にはこの世界が自分の嫉妬を体現しているか分かっていた。朝食を食べ終わると、学校に向かう。

舗装された道を何も考えずに走るのが楽しかった。夢の中は風も熱さも何も無くて現実味なんてこれっぽっちも無かったが、それでも十分楽しかった。

学校に着くと詩織が朝一番に『おはよう』と返してくれる。

チャイムが鳴って、少し遅れて先生が教壇に上がりホームルームが始まる。

『転校生が居ます。』

先生…ええと確か田無先生だったけが、転校生を紹介してクラス中にどよめきが走る。

それもそうだろう、だって転校生は源樹で、葉月秋人はココに座っているんだから。そして、空いていた詩織の席の隣に源樹は座った。

夢の中の葉月秋人は俺なのに現実の葉月秋人は俺じゃない。


自分の理想の姿が嫉妬という形で浮かんでいるんだろうか…。

夢の終わりが近いのか、思考が可能になる。結局夢の中ですらアイツの事をずっと考えてる。


『俺が守りたかったのは国ではなくて…唯一人だったのかもな。』

それにしても本当に嫌な夢だな。いやココまで来ると笑えるレベルだ。

『だって、本当の俺は気付いてるんだろう?…が本当の…じゃないって。』


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