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狂科学時代  作者: アサト
10/19

口喧嘩

先生、仕事終わりましたよ。教室が汚かったんで思いのほか長かったですよ。」

職員部屋に訪れ、担任の教師兼歴史教師に振り返る。

年は30くらいの痩身の男。

顔には疲れが隠せないほどにたまっているのか、生徒の前でもかまわずタバコを嗜んでいた。

ここ最近はタバコすら吸わず唯煙たそうに授業をこなす。それでも、授業は滞りなく進むのはこの男にとって天職だからかもしれない。

「ご苦労。秋月はどうした?」

「殺しました。」

「なっ」

慌てて立ち上がる。そして胸倉に掴みかかる。

「冗談です。離してください。」

「言って良い冗談と駄目な冗談があるぞ。」

この男にとって人の生死はタブーなのだろう。そして呆れたように椅子に座りなおす。

「珍しく声を荒げるんですね。授業を聞いてなくても怒らないのに、冗談にはおこるんですね。」

もはや聞く価値も無いと空を見ている。しかし、秋人は言葉を繋げる。

「それとも、そっちが本質なんですか?教授。」

驚いたように顔を上げ、教授は秋人を見る。その焦点は間違いなく秋人を見つめている。

「本名『田代田無』。俺も含めてですが、酷い名前ですね。まるでネーミングセンスを感じない。」

「そんな事はどうでもいいだろう。お前今さっきなんていった?」

『まるでネーミングセンスを感じない。』

ボソリと呟いた。案の上田代は焦り腕を崩す。

「おそらく田無さんが『狂科学』に出会ったのは関係の無い事件の一端だ。あなたはどう思っているか知らないが、アレは違う。」

感情が沈み、言い聞かせる。俺に与えられた狂科学が葉月秋人を塗り替えていく。

「だが、不幸なのはあなたがアレを勘違いした事だ。」

田無は黙ってそれを聞く。しかし、開口一番に

「何故、あの事件が違うのか?それは簡単だ。」

言わせる訳も無く塗りつぶす。

「アレは俺が殺した。そもそもあなたには死ぬ権利すら無い。取りあえずは俺の話を聞け。」

矛先をかわし、優位に立ち説明を続ける。


まず一つ目に認識の違いだ。ここで注目すべきは4つの事件。

一つ目に起きた焼死体事件はただ単に俺が殺し、燃やしただけの事件だ。勿論これは今の状況となってから言える事だが…。

葉月秋人から言わせたらアレは完全に無駄だったわけでは無い。狂科学の実験体としでは無く葉月秋人として。

俺は詩織を助けたそれで良い筈だ。


そして、次の日『秋月詩織』がさらわれた。



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