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作中死を迎える登場人物が好き

作者: まめめめ
掲載日:2026/07/19

 好きなキャラクターはいる?

 アニメ好き、漫画好き、あるいはラノベ好きの人と会話が弾むと、高確率出ててくる話題だ。

 あまりにも頻出過ぎて、私の中ではだいたい答えが決まってしまっている。


 ○○という作品の、△△というキャラクターとか、××という作品の……

 この場で具体的な名前を出すのは控えることにするのだが、実は私の好きなキャラには一つの特徴がある。


 それは……もちろん、作品自体のことを私が好きという前提もある。

 そのうえで私は、あまり主人公を好きになることはない。

 主人公やヒロインよりも、作中で死を迎えるキャラクターのことを、好きになることが多い。

 より正確に表現するなら、作中死を迎え、その後主人公達に多大な影響を与えるキャラクターが、好きだ。


 今まではなんとなくそう感じていただけなのだが、改めてその理由を考えてみた。


 まず前提として、重要人物が死ぬシーンは劇的に描かれる。

 だから、そのシーン自体が作中の名シーンになることが多く、印象に残りやすいというのも事実だ。

 だが私の場合、もちろんそのキャラクターが命を燃やす場面は好きなのだが……

 それ以上に、その後、主人公達がふとした拍子にその死者を念うことに、感動する。

 つまりどちらかというと、死んだことそのものよりも、死後にまで影響を残しているという事実に感動する。


 具体的に例えるなら……

 奥義を使うシーンで、その技を伝授してくれたその人の影が浮かぶとか。

 生前に受けた、呪いとも言うべき想いや願いが、誰かの原動力になるとか。


 そんな。

 今はもう居ないのに、それでもなお世界に影響を与え続ける何かが、好きだ。

 だが、なぜなのか。一つ仮説を立ててみた。

 もしかしたらそれは、それがフィクションだから。なのかもしれない。


 当たり前の事ではあるが……どんなに素晴らしい作品だとしても、読者が作中に真の意味で入り込むことは出来ない。

 ファンタジー世界に憧れたとしても、読者が実際に魔法を使えるようになることはない。

 どんなに可愛く、美しいヒロインだとしても、読者には触れることも抱きしめることも出来はしない。

 どんなに強く、格好良く、優しいヒーローだとしても、読者の分際ではその隣に立つことすら叶わない。


 この作品はフィクションです。


 その前置きが、いつも私達を阻む。

 キャラクターが魅力的であるほどに、現実ではないという事実が立ち塞がるのだ。

 作中では「存在する」彼等、彼女等は、悲しいことに読者世界には「存在しない」。

 だからなのか、どうしても私はそんな光景を見て、どこか他人事に感じてしまう。

 もちろん、何か文句があるわけじゃない。というか、文句を言っても仕方がない。

 どれだけ深く没頭しても、夢が覚めれば現実が広がっているのだから。


 そういう意味で読者は、作中キャラクターに『共感』することは出来ない。

 主人公達にとっては自分事で、読者にとってはあくまでも他人事なのだから。

 どれだけドキドキハラハラしても、読者が実際に命を落とすことはあり得ない。

 主人公がヒロインを愛する気持ちと、読者がヒロインを好きになる気持ちは、似ているようで違う。

 前者は純愛で、後者は偏愛だ。


 だが、誰かが命を失ったとき。

 読者は同じ視点に立つことが出来る。

 作中で誰かがそこにいない誰かを悼むとき、私達も同じくそこにいない誰かを偲んでいる。

 存在している世界は違っても、失った悲しみだけは同じだから。

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