表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼空トレイル-Aozora Trail-  作者: ふらっとん
4章 春季大会

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/34

19話 クロウラー

2回戦の相手が、ステージ裏にいた。


「今日はよろしくお願いします」

さっきのレッドパイソンとは打って変わって、礼儀正しい。


「潮見野高校アーモリー。お噂はかねがね聞いています。

 旭ヶ浜高校2年、キャプテンの渚です」


オレンジ色のポロシャツで統一した4人のうち、ショートの子が私たちに挨拶をした。

「チーム名クロウラー。コールサインはリザードです」

月子に手を差し出し、握手を求める。


「2年生なんですね。一緒だ〜」

月子はその手を取り、嬉しそうに上下に揺らした。


「新設のチームなんです。入ったばかりの1年生もいます」

1年生という言葉を聞いて一瞬、鼓動が跳ね上がった。

確かに、やや後ろに引っ込み気味の2人がいる。

今ここにいるということは『1回戦目は勝利した』ということ。

でも彼女たちは緊張の面持ちを隠せていない。


その様子で直感した。残念だけど、この子たちは那由多じゃない。

声しか知らないけど、あの明るい声の持ち主は、こんな風に緊張はしないだろう。


肩を落としかけたところへ。

「あなたがジャベリン?1年生なんですよね」

「え?あ、はい!」

渚さんが私に向けて声をかけた。


こういうときは月子や蘭花が前に出ることが多く

私に話が振られるとは思ってなくて、反応が遅れてしまった。


「先程のあなた達の試合、撃墜数は18。1回戦の全試合の中で最多でした。

 さすが撃墜女王のチーム、圧倒的です。でも」


さすが月子だなあ、と。

それを聞いて私も誇らしい気持ちだった。


「そのうちの8は、撃墜女王ではない。ジャベリン、あなたの記録です」

「え……」


さっきの1回戦の試合を振り返ってみる。


ヒュドラで4機。ひばりを助けるときに2機。

それ以外にも、たしかに2機は撃墜したかも。


あれ、そうかも……。


「いやいやいや!さっきのはたまたまで!

 マルチロックが全部当たっちゃっただけで!」

「謙虚なところが素敵ですね。

 脅威のニューフェイス。警戒させてもらいますよ」

渚さんが爽やかな笑顔を見せる一方で、

私は急に冷や汗が出てきた。


蘭花が言ってた「気をつけな」って、このことか。


* * *


2回戦のスタート。最初のデモムービーで機体を見る。

「AX-18、AX-16、RF-29、TX-04……確認しました」

「小型機が多いね~。リザードはAX-18『サンダースピア』だ」

「遠距離持ちはそいつだけか。まずは敵のヒュドラに警戒だ。

 2機ずつ分かれて様子を見るぞ」

「りょ、了解です!」


空域を飛んで敵を探す。

敵の2機編成を先に見つけた。

敵からの被ロックはない。

ならば、先制だ。

「牽制します。FOX3!」


ヒュドラを2発射出。

敵の2機は回避行動に入る。高度を下げた。

片方はRF-29『ブラックマンバ』。

平べったい流線型に、背中に2つの垂直尾翼、コクピットの前に突起物が見えた。


もう1機は、ダガーと同じTX-04『ブルーコメット』。

丸っこいシルエットが見えた。


「ジャベリン、追います!ダガー、着いてきて」

「了解だよ!」


「セイバーです。こっちも交戦開始」

「サンダースピアとブレイズ・レイブンの2機だ。こっちは任せな」


少し離れた場所で先輩たちが戦っている。

こちらは私たちだけで対処をする。


2機とも、どこまで下がるんだろう。


私たちも高度を下げながら接近するが、高度はぐんぐん下がり

海面と、港湾に並ぶビル群が見えてきた。


そして2機が、並み居るビルの間に吸い込まれた。


「うそ!あんなとこ飛べるの!」

「無理して追わなくていいよ。上から狙おう」


でも、うまく狙えない。


「ビルが障害物になって、ロックが遮られちゃいます!これだと狙えない!」

セイバーたちへ状況を伝えた。


「こっちもだよ~。地形利用が上手。すごいね~」

「地を這うように飛ぶ。

 クロウラーって、こういう意味かよ」

「ど、どうしましょう!」


ビルの合間に突っ込んで後ろを取るしかない。


建物が、地面が、近い。

心臓がドクンと跳ねるようだ。


キャンペーンモードでの地上ターゲットへの攻撃……。

もっと練習しておくんだった。


今悔やんでも仕方ない。

行かなければ、落とせない。


呼吸を整えてから、短く息を吐いて、止める。

進路をビルとビルの合間へ。

高度を下げて突入する。


敵の姿は捉えている。

スピードも私の方が上だ。


すぐに、TX-04の後ろを捉えた。

射程内。ロックオン。

ヴァイパーを……

撃とうとしたそのとき、目の前に青い煙が広がった。

「スモーク!こんなところで!?」

「ジャベリン、どこー!」


敵を見失った。

ダガーも私を見失ってるみたい。


なんとかしなきゃ。

一度上昇して煙の外へ……。


機首を上に向け加速しようとしたとき。

目の前に、ビルの壁面があった。


「ジャベリンが落ちた!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ