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蒼空トレイル-Aozora Trail-  作者: ふらっとん
2章 レギュラー選抜試験

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幕間02 風咲② 黄色いリボン

Aces' Trailを始めた私は、

トレーニングモードを一通り終えたあと、

すぐに対人戦の世界に飛び込んだ。


16機対16機。

空を埋め尽くすような戦闘機の数々。

それらが描く飛行機雲。

その間を縫うように這い回る空対空ミサイルの航跡。


全てが圧巻だった。


もちろん最初は負け続けだった。


チームとしては勝ったのかもしれないが、

私はいいように撃墜されていった。


最初はそれでも楽しかったが、

元来負けず嫌いな私は、

自分の手で敵を落とすことに興味が湧いていった。


そこで、

動画サイトで初心者向け動画や解説動画を見漁り、

アシストAIに攻略や戦い方を聞いたり、

勝つための飛び方を学び、実践し続けた。


今にして思えば、このとき英単語の1つでも代わりに覚えていれば、

受験間近にあんなに苦労することもなかったのに……。


とにかく、

そのときの私は異常なまでに夢中だった。


母は快く思わなかったが、

父はそんな母をなだめ、見逃してくれた。



いつからか、HUDから情報を読めばいいことを見出した。

そして、バスケ時代のようなフェイントも技として使えることを学んだ。


敵を観察し、いざというときはトリックプレーで翻弄し、仕留める。

負けたら振り返り、改善し、再度トライ。

それを繰り返していくうちに、

少しずつ私のゲーム内ランクは上がり続けていた。



その日のマッチでは、味方のボイスチャットが聞こえていた。

「ついてねえ。あっちに黄色いリボンがいる」

「どういうこと?」

普段はボイスチャットなど使わないのだが、気になってつい尋ねていた。


「最近噂になっている、やべーヤツだよ」

「リボンが何だよ。俺がやってやる。行くぜ!」

味方機が飛び出し、そしてあえなく撃墜された。


その後は敵の集団と揉み合いが始まった。


乱戦の中で、私も確かに確認した。

斜めに飛び出た尾翼に描かれた、黄色いマーク。

リボンというよりは、8の字を横にしたような。


それが無限大を表すマークであることは、後に知った。


「あいつに構うな!他の敵でポイントを取るぞ!」

「でも、こいつ速い!」


あの1機に、味方が総崩れだった。


「私が行きます!」

私はその機体に挑んだ。

「待て!構うなって!」


互いの航跡が絡み、空に複雑な模様を描いて、

最終的には私は落とされた。


「ほら見ろ!」

やっぱりなー、という落胆の声が聞こえた。



同じランク帯なら当然かもしれないけど、

その機体とは何度か戦う機会があった。


その度に、良いように落とされたけど……。


同じチームになることもあって、

そのときには少しでも動きを盗もうと、

すぐ後ろを飛んでしっかり観察することにした。


自由奔放に飛び回るその機体には、

付いていくのがやっとだった。



『黄色いリボンとは戦いを避ける』

のが暗黙の了解みたいになってたけど、

その日は8機くらいが同時に襲ってきた。


リボンの機体は、それらを鋭い機動でかわしながら、反撃していく。


『鬼神のごとき』という言葉は、

まさに目の前で繰り広げられているこの光景にピッタリだ。


……でも、そんな鬼神も完璧ではない。隙はある。

5時方向から接近する敵機に気づいてない。


咄嗟に機首を5時方向に向け、私は戦闘を仕掛けた。


鬼神のように華麗には戦えないけど……


敵の情報を読みながら、ときにフェイントでかわしながら、

何とか食らいつく。

私の放ったミサイルが敵機を粉砕した頃には、

黄色いリボンの周りの敵機は全滅していた。


私の助けなんていらなかったかな。

でも、この人の助けになれたことが少しだけ誇らしかった。



マッチ終了後、1通のメッセージが届いていた。

『さっきはありがとう!君、強いね!

 良かったらフレンドにならない?』


プレイヤー名は「nayuta」と書かれている。

黄色いリボンの機体に表示されていた名だ。

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