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なろう公式企画

チャラ男君とオタクちゃん

作者: 柊 風水

「オタクちゃ〜ん? まーた変な絵を描いているの〜?w」


 突然今まで描いていたノートを不躾に取り上げたのはクラスの一軍でありチャラ男だ。何時も何時もこうやって私が趣味の絵を描く度に変に絡んで来る。今日だって誰もいない放課後の図書館で一人隠れていたのにこうやって絡んで来たのだ。


「へ、変な絵じゃないよ。一応今話題のゲームのキャラクターなんだから……」

「だって〜オタクちゃんが言っているのは主人公とかヒロインじゃなくて、敵側のモンスターじゃん。しかも気持ち悪いタイプのモンスターの絵ばっかじゃんww」


 そう。恥ずかしながら私は普通の女のオタクが好む美人や可愛いキャラクターとかカッコイイキャラクターとかじゃなくて、ホラーゲーに出てくる様なモンスターとか合体ロボットとかが大好きだ。何時だったかこのチャラ男に今まで色んなモンスターとかロボットが描いた絵を見られてしまって以降、何故か絡まれて私の絵を見てくるのだ。


「い、言っとくけど、気持ち悪いキャラクターじゃなくて、不動明王像と虫を素晴らしいレベルで融合したキャラクターなんだから……」

「ふ〜ん。てかオタクちゃん、SNSとか有名な絵の専用サイトやらないの?w」

「私そう言うキラキラしたのはあんまり……あのサイトも一応登録しているけど、投稿している人皆上手いのに私の様な下手な作品を投稿するのも気が引けて……」

「え〜wwオタクちゃんの自意識過剰〜!wwww 誰もオタクちゃんの事なんて気にはしないんだからドンドン投稿しなよ〜www」

「んーチャラ男君がそう言うのなら……」



 そしてチャラ男君を探して来たのであろうチャラ男君の彼女さん(ギャル、物凄い美人)とチャラ男君のお友達さん達が図書室に入室して来たので私は急いでチャラ男君からノートを奪い返すと走って帰った。こんな所を見られでもしたら私の学校生活が地獄に変貌していしまう。














 帰宅後、私は妹に頼んでSNSを作って貰った。


「珍しいー。お姉ちゃんこう言うの難しいからやらない古風なタイプだったじゃん。どう言う風の吹き回し?」

「ん……ちょっと私の絵を一度投稿してみようかなって」

「え⁉︎ マジでどう言う風の吹き回しなの⁉︎ あんなに拒否していたのに!」

「クラスの人から『自意識過剰』だって言われて、確かに私の絵なんて誰も気にしないなと思って一回だけ投稿してみようかと思って」

「ああ、例のチャラ男? だったら絵の投稿サイトにも同時に上げなよ。こう言うのは勢いが大事なんだから」


 妹からもせっつかれた勢いのままに今日描いたモンスターの絵をSNSと絵の投稿サイトに投稿してみた。


「うわぁ。本当に投稿出来た」

「お姉ちゃん言動がスマホデビューしたおばあちゃんみたいでババ臭いよ。取り敢えず暫く日常を投稿する時は私に見せてね。ちょっとした事で身バレに繋がるんだから」

「か、過保護だなー…………えっ?」


 SNSで投稿したあの絵にハートマークとリツイートが付いたのだ。しかもコメントまで!


『初めまして。あのキャラクターをこんなに素晴らしい絵をしかもアナログで描かれてとても素敵です。オリジナルのモンスターとかロボットのキャラクターとかありますか?』


「ど、どうしよう⁉︎ どうし反応したら良いの⁉︎」

「落ち着いて! 取り敢えず返事とリクエストされたお姉ちゃんのオリジナルキャラがいるなら掲載してみる!」

「え、えぇと、それじゃあ最近描いたこのキャラクターを投稿して……返信はこんな感じで大丈夫?」


 妹かららGOサインが出たので投稿。すると一分も立たぬ内に先程の人から返信が。






『オリジナルもあったんですね! オリジナルもカッコイイキャラクターで一瞬で貴女のファンとなりました! これからもドンドン素敵な絵を投稿して下さい!』





「はぎゃぁ!」


 致死量レベルの返事に私はついてにスマホを持ったまま倒れ込んでしまった。


「お礼の返事をして今日はそのまま終わりなお姉ちゃん。それ以上はお姉ちゃん気絶しちゃう」

「そ、そうね……これ以上やったらお姉ちゃん化け物になっちゃう……」


 私は震える手でお礼の返信を返すとバタリと力ついて気絶した。













『てか、この人『ロボット』て書いてあったけど、初めて投稿した絵はモンスターだし、プロフィールも一切ロボットについて記載してなかったのに何で知ってるんだろう……まさかこの人……いや、お姉ちゃんから聞かされたチャラ男って人とあんまりにも人物像が違う……でもなぁ』




 自分の部屋で倒れ込んだ姉を叩き起こしながらふと思った妹であった。






























「おい、どうしたその馬鹿」


 トイレに行っていた男の一人がカラオケのソファから頭を出して倒れ込み、手は拝む様に合わせている異様な姿の友人にドン引いていた。



「例のオタクちゃんがSNSを始めたみたい」


 男の疑問に答えたのは呆れ顔の友人の彼女だ。他の友人達はソイツがいないかの様に楽しくカラオケをして



「例のオタクちゃんてコイツが最近絡んでいるあの大人しい見た目の子? 何か絵がコイツのドンピシャ好みの」

「そう。この馬鹿にせっつかれて今さっき投稿したみたい。しかもこの馬鹿がオリジナル絵をリクエスしたら叶えてくれてからずっとこう」

「マジかよ……へーあの子オリキャラも描けるんだ。結構カッコイイしフォロワー増えるんじゃね?」

「その最初のフォローをこの馬鹿は瞬時になったわよ。SNSと例の投稿サイト両方に」

「…………ストーカー?」

「そうならない様に締めるわよ。ただでさえオタクちゃんに今でもツンデレかまして迷惑かけてばかりなんだから。本当にこの馬鹿は」


 呆れて溜め息を吐く彼女に男は苦笑いが溢れる。

 うっかり落としたノートに描かれていたモンスターの絵に一目惚れして、新規絵を見る為に毎回オタクちゃんに絡みノートの絵を見ていた。

 そしてオタクちゃんがいない場所ーーー仲が良い自分達の前で限界オタクになっている友人はもう見慣れてしまった光景だ。だから他の友人達も気にならなくなってああやって勝手にカラオケをする始末。




「もう好きっ……最高……神絵師……」


 ブツブツと何時もの語彙力が無くなった限界オタクの頭を彼女は叩いて正気に戻す。


「もう! だったら普段からその姿を見せれば良かったでしょうが! アンタが下手にイジメッ子ムーブでやるから可哀想にオタクちゃん怯えちゃているでしょ!」

「……オレ、本人に認知されるのが嫌いなタイプ……」

「めんどくさい男ね。兎も角! SNSでは現実みたいなノリで接するのは禁止だからね! オタクちゃんみたいなのは直ぐに筆を折る繊細な子なんだから」

「オタクちゃんの筆を折らせる馬鹿がいたら即殺す……」

「だからそんな言葉がオタクちゃんをビビらせるの!」




 母親の様に叱る彼女と何時ものチャラ男ムーブが見る影もなくしゅんと子供の様に落ち込む友人の姿を見て、男は腹を抱えて笑うしかなかった。
















 こうしてチャラ男とオタクちゃんが現実ではちょっかいをかけられ、SNSでは仲の良いファンと絵師と言う奇妙な友情の様なそうではない様な関係を築いたのであった。二人の関係がお互い(正確に言えばオタクちゃんに)バレるのはそう長くない話。

 そしてバレた時のオタクちゃんの驚きとチャラ男の限界オタクムーブの姿を見て、妹と彼女・友人達は大爆笑したのは言うまでもない。


オタクちゃん

普通の良く言えば大人しい見た目悪く言えば地味な容姿。三つ編み眼鏡。両親が共働き、妹の出産等(未熟児で産まれた)で従兄弟の家で暫くお世話になっていた。男ばかりの従兄弟達の影響でモンスターやロボット物が大好き以外は普通の女の子。

チャラ男君は見た目は怖いしちょっかい掛けられるからちょっと苦手。ただしフォロワーの時のチャラ男君は礼儀正しいし褒めてくれるので好き。(恋愛感情なし)

元から絵に対しての才能があり、フォロワーのチャラ男君に褒められてちょっと調子に乗ってどんどん絵を投稿、その内何かのアプリゲームか映画でデザインを依頼される様になる。


チャラ男君

ガン黒で脱色した髪でピアスを滅茶苦茶開けているイケメン。

モンスターとかロボット等の少年の心を何時までも持っているタイプのチャラ男。気にもしなかったオタクちゃんが偶々落としたノートを拾い、偶然見た絵が彼のハートにドンピシャだった。以降オタクちゃんのファンに。

某サイトやSNSを張り付いて探してもオタクちゃんのアカウントを見つけられず、仕方がなくオタクちゃんに絡んだりちょっかい掛けて新作を見るしかなかった。

本人は推しに認知されたくないタイプのめんどくさい信者。推し絵師を世間に認知する為の努力を怠らないファンの鑑である。

彼女とはラブラブな関係。将来結婚するし、子沢山の予定。


オタクちゃんの妹

普通の流行り物と可愛い物が好きな女子中学生。今時のファッションとメイクをしている以外オタクちゃんと顔が似ている。仲は良好。

姉の趣味について良く分からないが、普通に絵が上手いのでSNSに投稿する様に進めていたが、本人がSNSに疎かった為に今まで投稿しなかった。

世間に姉の才能が認められている事に後方彼氏面でドヤている。偶にチャラ男と何方が一番のファンがレスバする事がある。


チャラ男君の彼女とその友達。

彼女は可愛いギャル。男女の友達もチャラ男系やギャル系ファッション。

チャラ男君がオタクちゃんに絡み出した当初はオタクちゃんを虐めていると思って正座で説教したが(オタクちゃんがチャラ男君のタイプではないので浮気は全く疑ってなかった)事情を説明して虐めの疑いは晴れたが、あまりにも男子小学生脳に頭を抱えた。

実はちょっかいが度が過ぎない様に陰で監視していた。

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