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癖になる

よくわからん話。

「…血が足りない…」



ある男が夜道を歩いていた。仕事帰りのサラリーマン…

帰宅途中だった。くたびれた目をこすりながら、疲れて歩いている。


その時だった。男の目の前に逆さの女の顔が現れた。


「うわああああああっ!?」


もちろん驚愕した。そしたらそのまま女の首は向きを正した。視界に入っていなかっただけで、女にも体はあった。

目を疑った。当たり前のように空を飛んできたのだ。


「はっ、え!?」


女が口を開く。


「血が足りない…ふふふ…」


妖艶な笑みを浮かべる。

女には鋭い歯が生えていて、赤い瞳。純白のように透き通った肌と、すらっとしたシルエットで、普通にその辺を歩いているような服装だった。


「私ね、吸血鬼。」


「き、吸血鬼…!?何…!?」


男は必死に逃げようとするが、体が思うように動かない。


「私の血に触れたから、あなたの体は私の支配下にあるわ。もう…逃げられないのよ…」


「た、助け…ングっ!」


口まで動かなくなった。本格的に終わりだ。


「あら、逃げないの?ふふ…じゃあそろそろ…」


女が寄ってくる。首に息が当たるくらいに近づく。

舌を出して、吐息を当ててくる。


「れー…」


吐息が当たったところの感覚がなくなっていく。


「いただきまーす…ぇあー…むっ」


大きく口を開いて、首に思いっきり歯を食い込ませる。



しかし、すぐに異変に気づく。


「え…?」


女が違和感を覚えて口を離すと、舌と首をつながって唾液と血が混じっている。そこまではいつも通りだが…


「んむ…?んぐ…ないほえ(なにこれ)…?」


明らかに口の中に物体がある。血の味がするはずなのに、液体じゃない。


「んぐ、んぐ、むぐ…」


咀嚼する。そしてすぐに理解する。


「固体の血…?しかもなんか…味が…」


普通の人間からはしない、独特な味わい…というか、病みつきになるような感じがする。



そう、男はただの人間ではなかった。

男は、凝固者(シビルカル)という種族だった。

人間と魔物のハーフで、特徴は「血液が個体である」こと。知名度は非常に低く血液以外には人間と変わりない。その血液は、身を追われるほど高価であり、恐ろしいくらい清潔。

そんな種族だった。


「あぐ…か…」


男はどうにか動こうとするが、筋肉が硬直して機能しない。


「ふ…はあ…えあ…うう…」


女の様子が変わってくる。余裕がないように見える。


「な、なんか、あれ?顔が…熱い…?」


離した口をもう一度男の首につけて歯を立てる。

やはり、最初は液体が口に流れ込んでくるが、そのあとすぐにやわらかい、マシュマロのような舌触りに変わる。


「むぐ…っむ…ぷはっ」


もう一度口を離して噛んで飲み込んで、また口をつける。何度も繰り返すうちに、そのペースは早くなっていき…


「が…」


ついに男は倒れてしまう。筋肉の硬直すら維持できないほど長い時間血を摂取していたようだ。

なにを思ったか、女はフラフラとした足取りで男に近寄って肩を担ぎ、公園まで飛んでいく。


ベンチに男を座らせて、目覚めるのを待つ。自分の顔の火照りが治るのを感じながら、汗を拭う。


「…んん…?」


男が目を覚ます。


「あら、起きた。」


「ひっ…!まだいる…!」


男が逃げようとする。


「待って、もうしない。たっぷり頂いたから、ね。」


自分の唇を軽く撫でる。


「あなた、何者…?血が、固まったの。」


「し、知らない知らない…!うわああっ!」


隙を見て男は走って行ってしまった。


「あ、待って…」




それから二日ほど経った夜…



『足りなあああああああああああああい!!うわああああああああああん!!』


女は泣きじゃくっていた。あれからというもの、血を吸っても吸っても満たされないのだ。もちろん、魔力は復活するし、腹も膨れる。それなのに、大きな穴が空いたかのように、何かが足りない。


「だめ、血を吸い上げると、喉に流れていっちゃう…なんで…なにが足りないの…?」


道端の石を咥えてみる。


「あが…全然違う…」


草を抜いて食べてみる。


「全然違う…」


廃棄自転車のタイヤ、土、トタン板、その他色々咥えて噛んでみるけれど、全く満足しない。


「…探さないと…あの人を…」

とんでもない文章…なんだこれ…


読んでくれてありがとうございますね。多分いつかは続き書きますよ

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