黄金色のお菓子
昨日はお休みしてしまい、申し訳ありませんでした。
ローソンに迅鯨を迎えに行く準備で早く寝てました。
就職面接も最終盤。なかなか粒ぞろいな学生たちが残ってくれている。
多分、誰を選んでもそこそこ使える人たちになるだろう。後は、実務を通じて鍛える。まぁ、それは4月以降の仕事だから未来の俺頑張れ。
「中田か。ちょっと愚痴をきいてくれないか?」
「社長が喫煙室なんて珍しいですね。どうしたんですか?」
弊社の社長は大学の大先輩に当たる。俺の書いた卒業論文を持参したところ、「こういう発想ができる人間がほしい」と言われその場で内定。その後も、時々様子を見ていただいている。
「……最終選考に残った花岡っていう子なんだけど、『地元の銘菓です』って言ってお菓子持ってきてくれたんだよ」
「……? まぁ、良いんじゃないですか? お菓子くらいなら別に収賄にもならないでしょう」
「営業で客先を回っているときなら良いのかもしれないけど、社長面接の場だからね。場合によっては『賄賂』と言わなければならないかもしれない。下手に受け取ると、君が今言った収賄になってしまうかもしれない」
もし収賄に当たるのであれば、会社の存続が危ぶまれる場合が出てくる。
下手をすると、全国ニュースで会社の名前が出てしまうことだろう。
「あ、先輩お疲れ様です……。社長、いらしたんですね。お疲れ様です」
岸部君が喫煙室に入ってくる。俺が頼んでおいた資料のまとめが終わった報告兼、タバコ休憩だろう。
「岸部君、今この中にいる人物の中で一番大学生に近いから聞いても良いかな?」
「社長、何でしょうか?」
「面接の場でお菓子を持ってくるのってどう思う?」
社長が岸部君に質問をする。
「ん~、俺の時はそんなこと言われなかったですけど……。ただ、最近大学の後輩に面接練習をしてほしいって頼まれて、お土産を持ってきたので『賄賂か?』ってのは聞きました。きょとんとしてましたね」
「……で、その後輩君はなんて?」
俺の質問に岸部君が答える。
「大学の『社会人マナー講座』で教わったって言ってました。中田先輩の言葉を借りて、『それ嘘だと思う』って指導しておきました」
「……なんだその『社会人マナー講座』って?」
「社長、私の時もあったんですけど、最低限の社会人マナーを大学の講義の一環で教えると言うものです」
俺の時は名刺交換や、基本的な敬語の使い方。電話対応の基本などを教わった。
結局は社会に出てから実践を通して学んだので、どこまで生きているかは分からないがエッセンスを入れるだけでも役に立ったのでは……、と思う。
「……つまり、その『社会人マナー講座』ってので、『お土産を渡しましょう』って教えてるんじゃないって事か? やめてほしいな。価格が安いからまだセーフだけど、時代劇みたいに二重底になってたら会社終わっちゃうから」
社長の仕事は会社を守ることと、会社を大きくすること。
そのための障害となるものは、感情論を無視してでも排除しなければならない。それができない会社は……危ない。
「部長面接の場ではもってこなかったので、社長だから持って行ったってとこじゃないですか? 俺も面接はしましたが、人格的にも能力的にも優秀だとは思いました。必要ならば、連絡をする際にそれとなく注意すれば良いのではないのでしょうか」
「……部長にもお土産を渡すようにってか?」
「……社長、会社なくなりますよ?」
個人的には面接の時にお土産は必要ないと思う。社会人になってから、プライベートで旅行したときにだけ買ってくれば良いと思うぞ。
迅鯨の件は冗談です。
本当はDIYで6号砕石を200㎏程撒いたら、書く気力がなくなっただけです。