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六章のあらすじ

 エンゲラズから水に流され、勇一がたどり着いたのは黄金同盟の土地だった。それを知った勇一は、負傷した蟲人の女性ガルーダル・ウォレンズからダラン・ウェイキンの名を聞くと、彼女と共にヴァパを目指すことを決める。


 ヴァパへ向かう二人。ガルーダルは勇一の名乗ったフォーナー姓に覚えがありつつ、それを思い出せなかった。勇一が説明しようとした瞬間、彼の頭を矢が掠める。戦闘態勢に入った二人の前に現れたのは、ヴェイロン、エドゥ、ハニガンのリザードマンたちだった。形勢不利と見たユウらはその場から辛くも逃走する。そして襲撃者たちの追撃が始まった。


 逃走する勇一とガルーダルをエドゥが追いかけてきた。彼は報酬を独り占めすべく抜け駆けを行う。その剛腕から放たれる魔法に一度は意表を突かれたユウたちだったが、ガルーダルの作戦によってエドゥは首を切り裂かれ地に伏した。


 尚も逃走を続ける二人は、日暮れと同時に農村へと入った。親切な獣人アリーナと、その息子のフィーニィは彼らを温かく迎え入れる。そこでガルーダルは勇一に、彼と会う前に仲間を失っていることを話す。さらにヴァパにいるガルク・フォーナーへ書状を届けるため、何としても彼と合わなければならないと伝えた。彼は竜人の村で別れたガルクが生きていることに、驚きを隠せなかった。


 勇一らのいる村へ二人目の襲撃者ハニガンの魔の手が忍び寄る。彼女は村へ逃げ込んだ二人をあぶり出そうと、毒ガスを使って村を壊滅に追いやった。村人は全滅し、辛うじて脱出に成功したガルーダルも自責の念に押しつぶされそうになる。

 遺体となったフィーニィを置き、ユウは怒りのままにハニガンへ迫った。彼の発現させた「女神の腕」により、魂を引き抜かれるハニガン。彼女の魂は大気を流れるマナに攫われ、永遠に地表を漂うことになった。


 最後の一人だ。そう言い聞かせてユウたちは疲労を押して前に進む。

 二人を待ち構えていたのはヴァパへつながる唯一の橋と、そこを封鎖したヴェイロン。橋の上には封鎖の為に殺された人々と破壊された馬車。そしてヴェイロンは恐ろしい事を口走った。

 彼はガルーダルが仲間を失ったのは彼女自身の責任だというのだ。否定しないガルーダルに混乱する勇一。その隙をついたヴェイロンの放った火球が二人を襲う。突き飛ばされた衝撃で昏倒した彼は、ガルーダルの記憶を垣間見た。

 目を覚ました勇一は、ガルーダルに事情を話す。戸惑っていた彼女は勇一の不思議な力だと無理やり納得すると、二人は満身創痍になりながらもヴェイロンを倒すことに成功する。その後勇一は、実は既にガルーダルが死んでいることを彼女に告白する。代償によって消えた自らの左腕を見せ、自分が女神魔法の使い手で、最初に出会ったときに死んでしまったガルーダルを蘇らせたのだと説明した。最初は驚いていたガルーダルだったが、幾度となく見せた彼の奇跡に事実を飲み込むことができた……。

 これで終わった。あとはヴァパでガルクに会うだけだ。二人は支え合い、足を速めた。


 ヴァパへ到着するなり連れ去られた二人は、ガルーダルの上司であるナミルの屋敷で目を覚ます。ガルーダルはナミルの態度に不信を抱き、目を覚ましてから姿を見ていない勇一をどこへやったのか問いただす。

 その時、屋敷中に喧騒が響いた。

 地下で殺処分されるはずだった勇一が、彼女のいる部屋へ飛び込んできた。彼は地下室で見つけた他種族の子どもの一部をガルーダルに見せると、ナミルを糾弾する。ナミルは自らの野望の為に貧民たちを殺したと認め、秘密を知った二人を消そうと襲い掛かる。


 かつての上司の凋落に落胆したガルーダル。ナミルは勇一の女神の腕によって家畜に魂を移され、屠殺された。勇一によって暖炉から飛ばされた火が室内に広がる。ガルーダルはナミルの机から、彼女がリザードマンたちと通じていた証拠を探しあてた。それによってヴェイロンらが所属している犯罪組織「夜の手」に、勇一が追っているゴルガリアが関連していることも明らかとなった。

 証拠を手に、火災が広がる部屋から脱出しようとする二人。しかしそれを、死んだはずのナミルが阻む。彼女はその体に宿る人格の片割れにすぎず、それが消えたことで第二の人格であるパンテラが現れたのだ。パンテラはガルーダルから書状を奪うと、炎の中に投げ込んでしまう。

 絶望するガルーダル。しかし勇一の決死の攻撃に苦しむパンテラの叫びに冷静さを取り戻すと、一瞬の隙をついてその喉を食い破り、辛くも勝利を収めた。

 火に包まれた屋敷を負傷した勇一と共に脱出したガルーダルは、ヴァパの娼館から送られたノラに助けられる。ガルクたちはヴァパからカパル平原へ移動していた。ノラは彼女に馬を提供し、気を失った勇一を連れて出発する姿を見送った。


 勇一は平原の同盟軍陣地で目を覚ました。そこには友人であるガルクの姿があった。彼の話からガルーダルは女神魔法の時間切れによって塵と消えてしまったことを察し、項垂れる。しかしそこへやってきたダランらは、ガルーダルの任務は正しく終了していたことを告げた。彼女の持っていた筒に細工がされており、パンテラが燃やしたのは偽の書状だったのだ。そして書状によって正式に地位を得たガルクは、勇一の復讐を後回しにするよう告げる。

 激昂する勇一。ガルクは彼の罵倒を背に受け、その場を去っていった。


 ダランの手引きにより、ゴルガリアへ復讐する手立てを得た勇一。族長たちの集まる場で、ダランはゴルガリアを糾弾する。勇一が復讐の機会を得たと思われたその時、異変が起こった。同盟軍が命令もなしにヴィヴァルニアへ前進を始めたのだ。

 混乱する族長たち。その中でゴルガリアは、失った右腕へ装着された隠し弩を構える。狙いはガルク。それを察した勇一は咄嗟に射線へ飛び込む。

 放たれる矢。

 倒れ込む勇一。

 それに気づいたガルクは勇一を抱き起すが、彼は動かなくなっていた。

「やめてくれ、待ってくれ! ああ女神様、どうしてオレの大切な……人たちを…………奪って……………………」

 ガルクは、徐々に冷たくなっていく友の身体を、抱きしめることしかできなかった。




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