表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/10

第捌ノ巻「偽りの物語に終焉を…」

その空の明るさは、昼の明るさを十割増にしたほどで、その眩しさに思わず目をつぶってしまった。そして、雲に乗った人間が天高くから舞い降りてきた。これが…。


「…天人。」

「輝夜姫、お向かいに上がりました。穢れ多き人間界に暫くいたので、さぞ気分が悪いことでしょう。」

「…お二人共、今までありがとうございました。お二人が私のことを世話してくれたおかげで、立派な大人に成長する事ができました。そして、全ての記憶を取り戻し、こうして天界へ帰る事ができます。お二人と離れ離れになってしまうのは悲しい事ですが、運命に逆らう事は出来ません…。それでは、さようなら…。」

「…輝夜っ…!」


霊夢が引き留めようとする。でも、それは許されない。輝夜が天界に帰る、それで物語は完結する。それは運命によって決められている事だ…。だから…。


「…ダメだよ霊夢、輝夜を引き留めたら…。」

「そうだ…。それで良い…。」


僕が喋り終わると、それを聞いていたかのように、誰かが受け答えした。目の前にいる天人ではない、聞いたことのない声…。ここにはいない誰かの声…。すると…。


「引き止めるでないそこの赤いの…。輝夜は私達のものだ…。」

「…あんた誰よ?」

「…私は天界の頂点に位置する者…、即ち神だ…。」


…おかしい。物語が違う…。本来なら天人がかぐや姫を連れて行くはずで、神なんて出てこないはず…。…何だ、この嫌な予感は…。今まで物語通りに進んだことはあまり無いが、今回は何かが違う気がする…。


「ここまで輝夜を成長させてくれた貴様らには感謝する。おかげで、十分な力が備わった…。」

「力…?一体何の話をしてるのよ。」

「いいだろう。貴様らには全てを教えてやろう。私の計画の全てを…!」

「計画…?輝夜を地上に住まわせて、その後何になるっていうんだ…!」

「汚れた地上の者には分からないだろうな…。私の計画は、世界を…いや宇宙を作り変えること…!全ての記録や記憶、概念をも覆してこの宇宙を作り変え、地上なんて存在しない、全て天人の栄える世界にすることだ…!」

「そ、そんな大それたこと…。いくら神でも、到底出来得ないと思います…!」

「確かに、私一人の力では何も出来ない…。だから私は輝夜の、つまり地上での生活を経験した天人の力…いや、エネルギーを利用することにした。地上での生活を経験し、エネルギーを持った

天人二人のエネルギーを合わせれば、世界を…いや、宇宙をも作り変えるほどの力になる…!輝夜、君はエネルギーを持った天人のうちの二人目だ。」

「二人目…。じゃあ、一人目は…?」

「一人目はすでに天界にいる。彼女もまた"かぐや姫"と言ったかな?約10世紀前、そこの記憶のない少年が地上に送ったんだ。…覚えているかな…?」

「何…?僕が…?」


一体どういうことだ?僕がかぐや姫を地上に送った?そんなこと、神でもなきゃ出来ないはず…。そしてさっき神は言った。既にかぐや姫が天界にいる。10世紀前に天界に帰ったと。つまりこれは、この僕の持ってる竹取物語がもう一度起きているのではなく、この目の前にいる神によって起こされた全く別の、"2度目"の竹取物語…。


「全てを話したところで、もう貴様らには止めることはできない…!世界の再創生を、その目に焼き付けるがいい…!」


そう言った神は、輝夜をつれて空高く登っていく。…だめだ、宇宙を作り変えるなんてそんなこと、何とかして止めないと…!その時、聞こえた…!


「助けて…!世界の崩壊を止めて、皆んなを助けて!」


あの唯一覚えてる記憶。あの綺麗な声。全人類の平和を願って放った言葉。それは前に聞いた"助けて"ではなく、これが本当の、あの時の記憶だと確信した。そしてその言葉で、僕は全ての記憶を思い出した。自分がどこから来て、自分は何者なのか…。


「輝夜を離せ…!お前の思い通りにはさせない…!」


輝夜をつれて天界に帰ろうとしていた神が、どんどん下に下がっていく。


「霊夢、僕、全部思い出したよ…。自分は何者で、どこから来たのか…。」

「え…。」

「僕は、天界を追放された、神だ…。」


そう言った瞬間、少年が白銀に輝きだした。


「正確に言えば、そこにいる神に、神位を奪われたんだ…。卑怯な手を使われてな…。」

「な、何故思い出した…!」

「そこの輝夜のおかげでね。…霊夢、僕たちはこれでお別れだ…。」

「な、何よいきなり…。」

「これはそこにいる偽りの神によって起こされた、元の竹取物語とは全く別の物語、"最悪の竹取物語"なんだ。そんな偽りの物語を受け入れることはできない。そんなことをしたら、偽りの神の行動を受け入れ、宇宙は作りかえられてしまうから。だから僕…私は、宇宙を作り変える。偽りの神のような輩がいる以上、天界を存在させておくわけにはいかない。またこういくことが起きてしまうから…。だから私は、天界の存在しない世界に作り変える。だから…さよなら、霊夢…。短い間だったけど、今までありがとう…。」


瞬間、周りが強く輝き出す。私の彼を呼ぶ声は彼には届くことなく、気づくと彼や偽りの神、輝夜さえも、私の前から消えていた…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ