第漆ノ巻「輝夜姫と最初で最後の宴」
最近輝夜が、月を見るたび何か考え事をしてるような、悲しい顔をしている。いままでほとんど物語通りに進んだことはない。まぁそれは環境が違うからしょうがないことなんだが、こう言うところだけ物語通り進んでしまうのは、何と言うか皮肉なものである…。そして、分かってはいるが、信じたくない霊夢が小さな希望を抱いて、物思いにふけている輝夜に聞いてみる。
「…輝夜、どうしたの?最近何か悲しそうだけど…。」
「…私、思い出したんです。私、本当は月の世界の人間なんです…。」
「…えぇ、知ってるわ…。全部あの少年から聞いたわ…。」
「え?な、なんで知ってるのですか?!」
「それはね…。」
☆少年説明中☆
「…まさか、そんな事が…。」
「そう、輝夜はこの物語の主人公そのものなんだ。この物語が、現代でまた起きてるんだよ。」
「だから、あなたが月の世界の人間って知ってたのよ。そして、もうすぐあなたが帰ってしまうことも…。」
「…そうだったのですね…。」
「だからね、最後にみんなで、この神社で宴会を開くことにしたの!たくさんの妖怪や妖精達が、あなたの最後をお祝いしてくれるわよ!」
「…ありがとうございます。」
「それじゃ早速準備しましょうか!」
そうして僕たちは宴会の準備を始めた。宴会開始予定は明日の夜。早く準備しようと張り切るも、輝夜のことを思うと、あまり手が進まない。宴会が終われば、輝夜は帰ってしまう。…なら宴会をやらなければ、輝夜は帰らないのではないか…!
…そんな馬鹿げた考えが、脳を過ぎる。霊夢も、張り切っているようで、少し悲しげな表情をしてる。彼女にとって輝夜はもう、家族同然の存在になったから、無理はないが…。そして、翌晩、博麗神社で宴会が開かれた。沢山の妖精や山の妖怪、紅魔館の面々や白玉楼の妖夢と幽々子、永遠亭の住人など、神社に入りきらないほどの人数が集まった。みんな輝夜のことを思ってくれてる。その事がとても嬉しかった。でも、心の底から楽しめない、心に突っかかりがあった。霊夢もやはりどこか悲しそう。だが、輝夜の顔を見たときに気づいた。…一番悲しいのは輝夜だと言うことに…。
「宴会は楽しかった?」
宴会を終え、その片付けの最中、霊夢が輝夜にそう尋ねた。
「はい。皆さん沢山話しかけてきてくれて、とても楽しかったです。…あの、私にはもうすぐ迎えがきてしまいます。でも、その時まで、短い時間だけど、一緒にいさせてください…。」
「もちろん!なんなら、もう一回宴会開いてやるわよ!」
「ありがとう…。」
その瞬間、空が恐ろしい程に輝いた。
「な、なんだ…。」
終わりの時は、近い…。




