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戦い要素や、人外的な要素は少し先の予定です。<(_ _)>
八代さんを送った後、僕は自分の住んでいるマンションに到着した。時計に目をやるとすでに7時を回っていた。いつものように郵便ボックスを確認してから、エレベーターで5階まで上がり自宅のインターホンを押す。すると、トットッと軽快な足音がして、姉が「おかえり。」と言い、ドアを開けて迎えてくれた。僕が玄関に入るとすぐに姉はドアをガチャリと閉める。
「姉ちゃん、ただい――ね、ねーちゃん!?」
姉が急に抱き着いてきて僕は驚いた。
「おーい、姉ちゃん?」
姉は僕に返事をせず、ただぎゅっと抱きしめてくる。
「…歩子さん?」
試しに名前を呼んでみると、姉はううと唸った。
「姉ちゃん、心配させてごめん。」
僕がそう言うと、姉はいよいよ泣き初めてしまった。
「姉ちゃん、…その、リビングにいこう?」
僕の提案に姉は抱き着いたままコクリと頷いた。リビングのソワァにいる間も姉は僕の胸に顔をうずめてすすり泣いていた。よほど心配だったのだろう。僕は申し訳ないという気持ちとともに、心配してくれたありがたさを感じた。
「姉ちゃん、ごめんね。」
しばらくして姉が泣き止んだ後、僕がそう言うと姉はさっきよりも強く抱きしめてきた。
「…心配したんだよ。すっごく。」
「ごめん。」
僕が再び謝ると姉はクスリと笑った。
「でも、無事でよかった…。」
姉の身体は温かった。僕が「姉ちゃん。」と、いうと姉は身体を起こして上目遣いで僕を見た。
「その、姉ちゃんを心配させちゃったからさ、お詫びに何かしようか?」
すると、姉はふふっと、優しく微笑んだ。
「…じゃあ弟クン、私を心配させた侘びとして頭をなでなでしなさい。」
「っえ?」
僕は後日、姉にお茶をごちそうさせてあげようとか、姉ちゃんが普段は役割分担の洗濯でもしてあげようかと思ったが、姉の予想外のお願いに驚いてしまった。ここまであまえてくる姉は珍しい。
「ほら、はやくはやく。」
姉はそう言って飼い鳥が撫でてとねだるように、僕に頭を近づける。恐るおそる僕は、姉の長い髪をそっと撫でた。
「ふふ♪」
姉は嬉しそうに顔をほころばせる。そして、僕の太ももに姉は左手をグーにしておいてきた。
「…どう?姉ちゃん。」
「うん、なんだかくすぐったいけど気持ちいいよ。…あ、そういえば夕ご飯まだだったね、もう作ってあるからね。」
「ありがとう、姉ちゃん。」
「どういたしまして。でも、もうちょっとなでてくれるとうれしいな。」
「はいはい。」
「ふふっ♪ありがとう。」
この後20分ほどテレビを見ながら撫でさせられたのだった。