番外編5 ウルトラは3分で帰るがシリアスは2話しか続かない。 ~悪ふざけ、真面目にやっても悪ふざけ~
光の戦士
「ねえ」
「………………」
「ねえっ」
「………………」
「ねえ、光の紳士」
「その呼び名はやめろ」
「聞こえてんじゃん。光の紳士(仮)」
「後ろに(仮)をつけるな」
「(仮)光の紳士」
「そういうことじゃねえよ。株式会社みたいになってるじゃないか。聞くのか? 『前仮ですか? 後仮ですか?』って誰か聞くのか? どんな状況で! 誰が!!」
「領収書切ってください。光の紳士(仮)で。ええ、はい、建設業です。フラグを立てたり折ったりしてます」
「立てねえよ! いや、使い方はあってるけども。そもそも、光の紳士(仮)じゃね~し。建設業でもないし!」
「もしくは、仮免中」
「第一段階終盤!?」
「交差点でエンストしたりね」
「実話じゃねえか!? なんで知ってるんだ?!」
「そんなことどうでも良いんだよ。僕が言いたいのはね、今の世の中、どこにでも実名をさらけ出すって、かなりリスキーなことだと思うんだ。だから僕は君のことを思って、あえて、別の名前で呼んでるんだよ。言うなれば、魂の名っ! ソウルネームだよ!!」
「勝手に人の魂の名を光の紳士(仮)にするなよ。その名には悪意があり過ぎる」
「遠慮するなよ。光の紳士ぃ~(笑)」
「悪意だけ?!」
「ところで、この前のツッコミ、FFのキャラって言ったけどあれ、わかりづらくない?」
「ばっさり来た?! まさかのダメだしっ!?」
「わかりやすさを求めるなら、ウルトラマンの方がらしくない?」
「あ、ああ。言わんとしてる事はわかるが、アレは戦士じゃなくて光の巨人ってイメージなんだよ。俺にとって」
「そうだとしても、光の戦士なんてフレーズ、探せばどこにでもありそうじゃん。なんでFF?」
「俺の中ではFFが一番心に残ってるんだよ。ライトオブウォーリアとかまんまだろ。俺としてはFFⅤが一番だな」
「ああ、ガラフとエクスデスの一騎打ちとか、涙なしには見られないよね」
「ほう、わかってるじゃないか」
「なんか知り合って一、二を争う食いつき具合だね。近いよ。詰め寄って来ないで。………ほかにも、Ⅴは切ないシーン多いんだよね。シルドラが瀕死のボスに巻き込まれて渦に消えたり、ウォルスの塔から命がけで助けてくれたり、魂となって召喚獣になったり…………何回泣かせるつもりだよ!」
「全部シルドラじゃないか。おまえがシルドラ好きなのはわかったよ!」
「だってさ、同じペット枠の飛竜はフェニックスになったり、2匹も出てきたりしてるのに両方とも名無しなんだよ。感情移入しにくいんだよ。2匹いるって気がつかないプレイヤーもいたんじゃない?」
「あいつら、ペット枠だったの?!」
「そう思うと主要キャラはみんなペット飼ってるんだよね。ボコにシルドラ、飛竜2匹…………。やっぱり飛竜だけ不遇じゃない?」
「なあ………。FFの話題で盛り上がるのは楽しいからいいんだけど…………。この話題、あまりにメタ過ぎないか?」
「いやいや、FF出してきたのはサトーの方だよ。僕に責任はないね。そんなことより、ギルガメッシュのかっこよさについて語り合わない?」
「確かにギルガメッシュは生き様から全てがかっこよくて語るだけで一夜過ごせそうだが、そろそろ本当にやめにしたいんだが…………。あと、俺に責任を押しつけるな」
「むうぅぅ」
なにその反応、かわいい。いきなりどうした。今までそんな反応しなかったじゃん。
けど、いい加減にしないといろいろやばい。メタ過ぎるメタはメタじゃない。ただの悪ふざけだ。メタは時々やるからいいんだ。
「今更でしょ、もう手遅れだよ。責任取ってよサトー」
「なんで俺が?」
「責任取るのは男の仕事って誰かが言ってたよ」
「違う。責任取るのは責任者の仕事だ」
そして、そんなことを公言するやつは、ろくなやつじゃない。
「ええ? サトーは責任取らないの?」
「待てぃ、責任の意味合いが変わってきた。その言い方には語弊がある」
「五平にもあるの? 責任」
「五平にはねえよ!! 誰だ! 五平って。どっから連れてきた。今時見ねえよ、五平なんて名前!」
「もう、あるって言ったりないって言ったり。いるって言ったりいないって言ったり。認知するの?! しないの?! どっちなの?!」
「やっぱりか! やっぱり、そう言う話題にして俺を陥れようってんだな。ふざけんなよ。おい!」
「何のことかわからないなぁ。メタい事言って注目を浴びてから、騒ぎを起こして楽しもうなんて一切思ってないよ」
「全部説明した。今、計画の全貌を全部自白した。ほら、俺悪くない。みなさ~ん、違いますよ~。こいつの自作自演ですよ~~!」
『すみません。警察なんですが…………。このあたりで小さい子に暴言を吐いて脅している男がいると通報があったんですが…………。ちょっと、お話聞いてもよろしいですか。ええ。座れるところで……………行きましょうか』
「えっ。ちょ、まっ。エ、エル?」
「あ~あ~」
『とりあえず、お名前と職業を』
「……………光の紳士(仮)…………。建設業です…………。はい。魂の名です…………」
(完)
だんじり
「断じてってだんじりって読めるよね」
「前も言ってたなそれ」
「だんじり祭。すごい言葉だよね」
「なにが? 俺としては異世界の一地方の祭りをおまえが知ってることが驚きなんだが」
「だって、だんじりだよ。男尻祭」
「まて、今、変換おかしくなかったか」
「老若男子、ありとあらゆる漢の尻の祭り。男尻祭」
「やな祭りだな」
「経験から来る自信を感じさせる中尻。体は衰えようとも年季の入った風格が薫る老尻。若さあふれる次代の担い手、若尻。未だ芽吹かぬ青き果実、子尻。
神聖な祭りを取り仕切る多種様々な男尻たち。
そして、乗りに乗った男尻たちが取り回すやりまわし。おいおい。これ以上僕をどうしようって言うんだいっ!!」
「すでにどうかしてるぞ、頭が」
「女性参加もいないではないが、サポートに回るのが圧倒的多数。それはそうだろう。中心で参加しているより少し離れたところの方がじっくり男尻を後方支援出来るだろうしね」
「後方支援を卑猥なもののように言うのはよせ」
「何言ってるのさ。やらしいな。見守ってるだけだよ。そう、じっくりとね。ぐへへ」
「本心出てるぞ。変態め。お前がやっているのは後方視姦だ」
「僕を変態というのはよしてもらおうか」
「悪かったよ。淑女」
「淑女=変態みたいに言わないでもらおうか。それに尻に魅力を感じて何が悪いんだよ。男だっておっぱいやおしりに夢中じゃないか。ガン見じゃないか。
女がたくましいお尻や腹筋に魅力を感じて何がいけないのさっ!」
「語るに落ちたな。男だっておっぱい大好きなんて大声で公言したら、すぐさま変態認定だ。つまりお前は自ら変態を認めたようなものだ。
そもそも、だんじりの意味から間違えているぞ。だんじりは山車みたいなもんで人の尻のことじゃないぞ。それにやりまわしもスピードに乗ったままのだんじりをうまく方向転換させるための技術のことだ。けっして卑猥な意味じゃない。わかったか? 変態淑女」
「わかってるよ! あくまで暇つぶしのための小粋なジョークってやつじゃないか。あと僕を変態淑女と呼ぶな!」
「わかったわかった。変態痴女」
「論外だよっ!!」
「はいはい」
「はぁ~。もう、いいよ。行ってみたいな~オオサカ」
「男尻はないぞ」
「わ、わかってるよ………。でも、ふんどし姿くらいは…………」
「おまえ…………」
(完)
次回投稿は24日(日)予定です。
あと2話ほど番外編を投稿してから第二部に入りたいと思います。