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ハルイチバン  作者: 柳瀬
二年生秋
95/125

ふざけるな

 「ふざけんな!!」

 喉から叫び声でた。

 久地道が腕を引くと、三城君の腹部から血が溢れる。三城は傷口を抑えながら後ろに倒れる。

 「三城君!!」

 後ろに退避させていた女子高生が三城に駆け寄る。

 「そうすると思ったよ。」

 三城にそう呟く。

 久地道は袖にナイフを隠し持っていた。それは血で濡れている。三城君は久地道が打撃を繰り出すと思い、筋肉で受け返し技をするつもりだったらしい。

 「三城の傷口を抑えて!」

 兎に角死なせない。急いで応急処置をする必要があるため、そう叫ぶ。

 それを聞いた男子高校生は、駆け寄りポケットからハンカチを取り出して三城の傷口に押し当てる。

 スッと短く息を吸う。

 判断を間違えるな。

 久地道に駆け寄り、全力で相手をする。一撃を与えなくても良い。三城が動けるようになる時間を、撤退する時間を稼げ。

 このままでは、三城は失血死する。

 顔面を狙い、拳を放っている間、久地道は動こうとしない。拳が顔に向かっている最中もずっと、久地道から電気信号は届かない。

 ああ、ダメだな。

 未来予知が出来ない私も、ほんの少し先の未来が分かった。私の攻撃は当たらず、久地道の返し技が当たる。

 もう少しで届くというところで、電気信号が届く。顔面の防御は捨て、私の攻撃を受ける。そして、攻撃に徹して無防備になった私の鳩尾に久地道の拳が入る。

 ここに拳がくると分かっていたが、速さに追い付けなかった。久地道は、私の火力の無さを知っている。それなら、わざわざ攻撃をかわしたり防いだりせず、あえて1発受けて、その隙により火力のある一撃を与えた方が良い。久地道自身は後で回復すれば良いだけだ。

 考えれば分かる事だった。冷静でいられなかったのはいつぶりだろうか。

 三城と2人でなければ、勝負はすぐに着いていたのか。それとも、久永の殺害まで時間を稼いでいたのか、私たちを殺した方が断然楽なのに何故…?

 吹き飛ばされ、地に伏せ、喉を逆流する胃液と吐瀉物をぶち撒ける。

 息が苦しい。吸う事も吐く事も叶わないが、身体の奥から胃液と血が上り口から溢れてくる。肋も数本、折れ、ヒビが入ったようだ。

 もう終わりだなと覚悟を決めた時、声が聞こえた。

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