惑星軌道の結束点③
真白さんはリビングの暖房を付けていてくれたようで、暖かさに気が緩む。
「あ、おはようございます。」
「おはようございます。」
「おはよう。」
大きなテーブルには食器が並べられ、湯気が立っている物もある。真白さんはかなり早くここまで来てくれたらようだ。
「朝ごはん、良かったら食べて下さい。」
「ありがとう。」
手短な椅子を弾き、腰掛ける。
空の皿に、スープの入ったカップ、サラダが盛られたボウルがある。
「お待たせしました。」
と、真白さんはトーストを乗せた皿を持って来る。
「助かります。」
そう言ってめぐにゃんはトーストに手を伸ばす。
「マーガリンもあるので。」
そういえば、未来に来てから何も食べていなかった。良い加減空腹だ。ご好意に甘えて、スープを一口啜る。
「よく眠れましたか?」
そう言われて、めぐにゃんは咽せる。
「よく寝れたよ。ありがとう。」
「なら良かったですけど。」
目線はめぐにゃんに向く。
「それで、今日はどうします?」
露骨に話題を逸らす。
「正直、私は四季の居場所の検討も付いていないので、お二人にお任せしたいと思います。」
2人の目線が俺に向く。
「そうだな。正直、俺も色紙さんの居場所に検討が付いてる訳じゃない。」
なるほどと呟いて、真白さんはサクリとトーストを齧る。
「それに、この街の地理も良く分かってない。悪いけど、まずこの街を一望できる高い所に行きたい。」
「そこから、どこに行けば四季に会えるか考えるんですね。」
サラダを自分の皿へとよそい、ドレッシングをかける。見たことがないもので、どんな味か分からない。
「そう。間違いなく、色紙さんはこの街にいる。」
真白さんは席を立ち、キッチンへと向かう。
「…一緒に行動するで良いんですね?」
「仕方ない。」
一宿一飯の礼がある。失礼はできない。
「牛乳、飲みます?」
奥から声が響く。
めぐにゃんが小声で頂きましょうと言う。
「飲むよ。2人とも。」
そう言うと、グラスと牛乳の入った容器を抱えて持って来る。
「そう言えば、お二人は先輩と後輩なんですか?」
「はい、私が16歳で先輩は一つ上です。」
「じゃあ私が最年少ですね。」
注いでくれた牛乳を受け取る。
サラダを一口頂く。やはり、食べたことのない味だが、癖になる味だ。酸味は強いが、嫌な酸味じゃない。さっぱりとして朝にちょうど良い。
「それじゃあ、センスカ行きましょう。」
そう言われて、めぐにゃんと目を合わせる。
センスカとはなんだろうか。
しかし、ここは話に乗った方が良いだろう。
「あんまり詳しくないけど、それがベストだと思うなら頼む。」
「よっし、じゃあまずご飯食べましょう。」




