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ハルイチバン  作者: 柳瀬
二年生冬
110/125

惑星軌道の結束点③

真白さんはリビングの暖房を付けていてくれたようで、暖かさに気が緩む。

 「あ、おはようございます。」

 「おはようございます。」

 「おはよう。」

 大きなテーブルには食器が並べられ、湯気が立っている物もある。真白さんはかなり早くここまで来てくれたらようだ。

 「朝ごはん、良かったら食べて下さい。」

 「ありがとう。」

 手短な椅子を弾き、腰掛ける。

 空の皿に、スープの入ったカップ、サラダが盛られたボウルがある。

 「お待たせしました。」

 と、真白さんはトーストを乗せた皿を持って来る。

 「助かります。」

 そう言ってめぐにゃんはトーストに手を伸ばす。

 「マーガリンもあるので。」

 そういえば、未来に来てから何も食べていなかった。良い加減空腹だ。ご好意に甘えて、スープを一口啜る。

 「よく眠れましたか?」

 そう言われて、めぐにゃんは咽せる。

 「よく寝れたよ。ありがとう。」

 「なら良かったですけど。」

 目線はめぐにゃんに向く。

 「それで、今日はどうします?」

 露骨に話題を逸らす。

 「正直、私は四季の居場所の検討も付いていないので、お二人にお任せしたいと思います。」

 2人の目線が俺に向く。

 「そうだな。正直、俺も色紙さんの居場所に検討が付いてる訳じゃない。」

 なるほどと呟いて、真白さんはサクリとトーストを齧る。

 「それに、この街の地理も良く分かってない。悪いけど、まずこの街を一望できる高い所に行きたい。」

 「そこから、どこに行けば四季に会えるか考えるんですね。」

 サラダを自分の皿へとよそい、ドレッシングをかける。見たことがないもので、どんな味か分からない。

 「そう。間違いなく、色紙さんはこの街にいる。」

 真白さんは席を立ち、キッチンへと向かう。

 「…一緒に行動するで良いんですね?」

 「仕方ない。」

 一宿一飯の礼がある。失礼はできない。

 「牛乳、飲みます?」

 奥から声が響く。

 めぐにゃんが小声で頂きましょうと言う。

 「飲むよ。2人とも。」

 そう言うと、グラスと牛乳の入った容器を抱えて持って来る。

 「そう言えば、お二人は先輩と後輩なんですか?」

 「はい、私が16歳で先輩は一つ上です。」

 「じゃあ私が最年少ですね。」

 注いでくれた牛乳を受け取る。

 サラダを一口頂く。やはり、食べたことのない味だが、癖になる味だ。酸味は強いが、嫌な酸味じゃない。さっぱりとして朝にちょうど良い。

 「それじゃあ、センスカ行きましょう。」

  そう言われて、めぐにゃんと目を合わせる。

 センスカとはなんだろうか。

 しかし、ここは話に乗った方が良いだろう。

 「あんまり詳しくないけど、それがベストだと思うなら頼む。」

 「よっし、じゃあまずご飯食べましょう。」

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