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ハルイチバン  作者: 柳瀬
二年生冬
101/125

不安な作戦

 色紙さんに自宅に呼び出された。ただ、いつもと違うのはめぐにゃんも一緒にいることだ。

 色紙さんからめぐにゃんも呼んだから一緒に来てと話があり、最寄駅から歩いている。

 制服ではないめぐにゃんは久しぶりだ。

 厚手のコートにマフラー、帽子も被って完全防寒だ。

 「色紙さんから何か聞いてる?」

 「何も聞いてません。」

 やはりそうか。

 「寒い中無理して来なくて良いのに。」

 「色紙さん呼ばれたからには行かないと。」

 何故か意気込んでいる。

 最近は曇りがちな空模様だったが、今日は快晴だ。しかし、天気が良いほど刺すような寒さを感じる。陽の光を浴びないと、芯から凍えてしまう。

 ポケットに手を入れて息を吐く。


 色紙さんの家は玄関からあったかく気が緩む。

 リビングへ通され、荷物を置かせてもらい、コートを預けるとハンガーで長押に似せた部屋の装飾にかけてくれる。

 「お茶、コーヒー、カフェオレ、ミルクティーとか何が良い?」

 選択肢がたくさんある。

 「あったかいお茶で頼む。」

 「カフェイン少なめの何かあります?」

 「カプチーノとチョコチーノがある。」

 「え、チョコチーノ?美味しそう。」

 「それね。」

 そう言ってキッチンへ向かい、直ぐにトレイにカップを載せて戻り、それぞれの前に置いてくれる。

 熱いのが苦手なため、冷めるまで口を付けない。それはもう色紙さんも分かっているはずだ。めぐにゃんは早速一口啜り、熱いと言ってから美味しいと溢している。

 「今日集まってもらったのは、次の作戦を2人に協力してもらおうと思ってて、その話をしたい。」

 カップをソーサーに置き、めぐにゃんは色紙さんを見つめる。

 「どんな作戦?」

 率直に尋ねる。

 「簡単に言うと見据の進会の残党狩り。」

 「夏の作戦で逃げたやつがいるのか。」

 「そうだね。構成員の中であの作戦で居なかった人達がいる事は分かってた。足取りが掴めなかったんだけど、最近向こうから現れた。」

 「どういうことですか?」

 「最近ずっと私を付け回してる奴らが居たから、もしやと思って小菅君に聞いてみたらやっぱり見据の進会の構成員だった。」

 色紙さんは呆れたよな声を出す。

 あの夏の作戦以降の色紙さん達PPの動きは詳しく聞いていない。

 「そいつらを探そうとしてた?」

 「夏はね。それからはどの時代に逃げたかも分からないから諦めてた。」

 「今更何をしにきたんでしょう?」

 見据の進会は俺達の作戦で武力によって解体された。半年程で成員を取り戻し復活したとは思えない。

 「十中八九リベンジね。CTTではあるけど組織的な行動ではない実行主義だからね。」

 「見据の進会を壊滅させられた復讐で、色紙先輩を殺そうとしてるってことですか?」

 「ざっくりと言うとね。」

 「それでどんな事をすれば良い?夏の小菅君を捕まえたみたいなこととか?」

 「それの逆パターンにしようと思う。」

 「と言うのは?」

 「三城君とめぐにゃんを残党に追わせて、私はそれを後ろから挟み込む。」

 理解しようとしたが、やはり手持ちの情報だけでは作戦が成り立たない。

 「残党が俺とめぐにゃんを追いかける理由がない。」

 夏の壊滅作戦で俺達が参加してた事がバレてたとも考えた。しかし、それなら既に残党が俺らを尾行なり素行を見られてる事になる。今のところその気配は感じない。

 「その通り。だから、私のフリをしてもらう。」

 「変装が上手くいって騙せたとして、本人じゃ無い意味は?別に色紙さん本人を追わせて俺らがそれを挟むでも良いんじゃない?」

 「もし、私を追わせて三城君達が二重尾行の形にすると、三城君達が見据の進会を殺す事になる。私から手を出そうとしても、気付かれたら逃げられる。その退路を三城君達が止める。そうでしょ?」

 「たしかに。」

 「それに、三城君達が勝てないとか信じてないとかじゃなくて、私が闘った方が都合が良い。PPが見据の進会の死体なり身柄を回収する際に、私が手を出してた方が説明が簡単。」

 「攻撃痕とかあるんですか?」

 「誤魔化せるけどね。それでも殴る蹴るをした時に、私によるものだと分かれば2人との関係もバレないし。」

 めぐにゃんはなるほどと呟いてカップに手を伸ばす。

 「大体分かった。めぐにゃんが色紙さんのフリをして隣に俺が居ればCTTの信条から一緒に攻撃されるはずがない。その隙に色紙さんが後ろから接近なり、誘い込み、罠で身柄を拘束する。そのそれでも色紙さんの手によるものだと判断できた方が良いってことか。」

 色紙さんは目線を外し、それなんだけどと歯切れが悪くなる。

 「私のフリをするのは三城君。」

 「は?」

 「え?」

 めぐにゃんと目を合わせるが、同じように目を丸くしている。

 「だって、身長的にめぐにゃんは少し小さいから見た目でバレる。三城君ならあまり差はないから大丈夫。」

 「身長の前に性別違うんですけど。」

 「何とかなるから。」

 「それに、本当にもし、仮にだけど不意打ちがあっても対応できるでしょ?」

 「まあ、そうですけど。俺じゃなくても鹿折さんとか。」

 「同じPPじゃだめ。」

 それは言いながら分かっていた。

 「花露辺さん。」

 「戦闘能力がない人を危険には晒せないし、そもそもこっち側に積極的にかかわらせたくない。」

 「小菅君。」

 「背が足りない。戦闘能力がない。見据の進会と接点がある人を使えない。」

 「早坂さん。」

 「背が大きいしPP。」

 「保呂羽さん。」

 「PP。わざわざ来てもらうほどじゃない。ってもう投げやりね。」

 「本当にやんなきゃだめ?」

 「申し訳ないけど、それが最善。気持ち悪いけど。」

 おい。

 「良いじゃないですか。」

 他人事だと思って。いや、女装の隣を歩く事になるのを分かってないのか?

 「念のため、美夜にも協力してもらおうとは思ってる。」

 「具体的にはどんな作戦の予定ですか?」

 「三城君とめぐにゃんが一緒に行動して、見据の進会の残党を尾行させる。その道中に私と美夜が潜伏、待ち伏せる形で奇襲を掛ける。」

 「上手くいくか?」

 「大丈夫大丈夫。」

 本当に大丈夫か?

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