338 グランド占拠編(その2)
「ユー ドント プレイ ディス グランド、OK?」
お巡りさんが必死になって英語で話しかけている
だが少年少女は口々に
「ナウン セイ」
と言って笑うばかり
お巡りさんは困り果てて天を仰いでいた
・・・日本もとうとう多言語国家になったんだね
しみじみ思った
いや今は昭和なんだよね
令和の頃ならいざしらず昭和の時代でここまでだとは思ってもみなかったよ
後で知ったんだけどサッカーをしてた子供達はブラジルから出稼ぎにきた人達の子供だった
ほらこの辺は自動車産業が盛んじゃん?
3Kの仕事なんて日本人は見向きもしなくなったせいで外国の日系人の子孫が日本に出戻ってきたとのことらしい
なんでも国の方で法律の規制の緩和があったとかなんとか
親は仕事をする関係で日本語を必死になって覚える
ところが子供は友達どおしで通じるからとポルトガル語しか話さない
・・・日本語はひらがな、カタカナ、漢字と難しいからね
勢い言語の壁があって孤立することも日本語の習得をしないことに歯止めがかかる、いやかからない?
結果として外征星人だけで、ではなく同国人だけでコミュニティが形成される
そして集団になれば薄れるのだモラル
空いているグランドとサッカーボールとゴールがあって誰も使っていないならつかっちゃえ!
そういうことらいい
もっともそれが判ったのは大分たってから
お巡りさんの応援が来て
ポルトガル語が判るお巡りさんが呼ばれて
辞書片手にやりとりをして
時間を食っていると帰りが遅くなって心配した外国人の親が突撃してきて
子供を返せと大騒ぎになって
その日の午後の練習が出来なくなったどころか精神的に参っている監督が引きずり出されて
最後にはゾンビのような顔色になった夜中頃にようやく判った
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額に汗して働く苦労をすべきだと個人的に思います
人口の減少に伴い他の先進国のように衰退する未来しか見えないです




