305 サッカー部狂想曲(その15)
「敵は飯田だけではない」
斉藤がそう言うと上杉は真剣な顔になった
あれだね
同じ参謀タイプだと話が早くて楽だわ
ちなみに参謀うんぬんはキャプテンの受け売りだ
勧められて三国志とか読んだら参謀にハマってしまったんだ
参謀はいいね
リリンの産んだ文化の極みだよ
・・・キャプテンが何を言っているのかわからなかったけどなんとなく判ったような気がする
ボクの名前は斉藤
中学一年生だ
今回サッカー部に入部希望者が来た
「ようやくフルメンバーか!」
と喜んだらキャプテンが断った
部員が10人しかいないせいで、試合のたびに上杉(兄)を野球部から借りているというのに!
思わす怒ったね
上杉(兄)もようやく二軍のピッチャーになれたのでサッカー部の助っ人を嫌がるようになってきていたんだ
こんなチャンスを逃すなんてありえないだろう
ド素人でも案山子でもいいから立っていればいいんだよ!
そう思っていた時もありました
立っていれば誰でもいい?
飯田は例外だ!
・・・キャプテンに弄られる未来しか見えない
ニヤニヤして言葉責めされることだろう(涙)
いや、まさか6年生にもなって女子のスカートを『めくる』なんてことをするとは思わなかった
だって高学年だと結構身体が大きいぞ?
一年生の倍くらいになっていると言って過言ではない
そんな相手のスカートをめくる?
・・・ちょっと見てみたい気持ちで一杯だ、ではなくてダメだろうに
小学生高学年にもなればそれなりに成長する
そう思うのは当然だ
ところがやっているバカがいた
それに気が付かない斉藤
キャプテンの笑顔が想像できる
バカなの?
アホなの?
愚かなの?
言葉まで聞こえてきそうだ
いや楽しそうな声が聞こえてきた気がする
後悔とは
『後で悔やむ』
と書く
そりゃそうだ
思わず自分で自分につっこんだ
とまあココまでが過去のターンだ
失敗してもいいんだよ
そこから学べば
キャプテンがよく言っている
たった一回の試合の勝敗で善悪が決まる訳ではないのでござる
・・・ござるってなに?、ってツッコミいたい気持ちで一杯だがつっこまないぞ?
つっこんだらキャプテンが嬉しがるんだ
絶対にしたくないぜ!
話を戻そう
失敗したら終わり
ボロクソ言われ続けて一生負け犬
そういうものだと思っていた
いや実際にそうなんだよ
失敗を許さない風潮というのはいかがなものかと思う
これもキャプテンの受け売りなんだけどな
でも至言だね
納得したよ
・・・キャプテンには一生かなわないと思ったのは秘密だ
絶対にキャプテンだけには言いたくないけどな
とまあちょっと失敗したけどスル―してみた
そうすると見えてくるものがある
飯田が調子に乗っているのは友達がいるからだ、と
いえね飯田の周りには何人かの友達がいる
いわゆる『つるんでいる』ってやつだ
『数は力だ』
キャプテンの言葉は本当だと思ったな
もともと斉藤は
『正しければ一人でも大丈夫』
だと思っていた
実際には勘違いだった
人は群れる生き物
そして群れの大小で勝敗が決まる
そんな簡単なことも判らなかった以前のボクを殴ってやりたい
とまあ過去を語るのはここまでにしておこう
未来の話をしよう
飯田がヤンチャをできているのは友達がいるからだ
木村とか3名ほどだな
4人対スカートめくりをされた女子1名
まさに数の暴力だ
大体大人しい女子を選んでスカートめくりをしているところが厭らしい
気の強い女子なら集団で文句を言ってくるだろう
それだと負ける
だから自分が勝てる気の弱い真面目な女子を狙う
・・・クズだな
そんなクズが見ただけで判るキャプテンはある意味凄い
実は背中にチャックがあって大人が入っているとかしていたりして(笑)
まあ三国志の参謀を目指しているんだ
キャプテンには負けていられない
とりあえず追いつくために飯田のとりまきを同じ参謀の上杉と共闘して潰してみよう




