303 サッカー部狂想曲(その13)
「だって紳士に見えないから」
たったそれだけで小川は納得していた
それを隣で聞いていた上杉はこう思った
ちょろすぎだろ!
小川とは小学校からの付き合いだ
同じサッカー部だったんだ
中学になってからも同じ部活
いや同じクラスでもある
その小川はというとサッカー部のキャプテンと話をしている
キャプテン曰く
「井戸端会議はリリンの産んだ文化の極み」
だそうだ
・・・まったく意味がわからん
ウチの母親とか道端で近所のお母さんとよくやっているけどな
「うちの子供は勉強しなくって~」
「うちもそうなのよ、叱ると『煩い!』とか言うし・・・」
とか
「なんでもいいって言われてもね~」
「そうなのよね~、献立を決めるに困って言っているというのにね~」
とかだね
何が楽しいのかまったくわからん
そう正直に言うとキャプテンは
「そのうちわかるよ」
と苦笑いしていた
ところが小川の心には響いていたようだ
ことあるごとに聞くようになっていた
そういえば一休さん(アニメ)に居たな
『どして坊や』
なんでも「どうして?」って聞く困ったちゃん(笑)
そういえば小川は本能で動いているような所があるから何も考えなくて良いというのは性に合っているのだろう
・・・ちょっとは考えた方が良いんじゃないかな(汗)
まあ飯田については上杉も同意見だ
同じ小学校だった男子に聞いたんだが小学校でも『スカートめくり』をしていたそうだ
・・・高学年になってもやるものではないだろうに
そんなのがサッカー部に入ってきたら鬱陶しくって仕方がないだろうな
容易に想像ができる
なにせウチの部には女子が二人いるからな
だから顧問の先生からび飯田の入部を断ったキャプテンは正しいかもしれん
・・・まあ言わないけどな
なにせ昨今の風潮は
『人類皆平等』
だからな
仲間外れにするとそれだけで悪人扱いなんだよ
「意地悪しないの!」と言って『なかよし』を強制してくる
・・・大人ってクズだよな
だからキャプテンが飯田の入部を止めてくれたのには感謝しているが入部を諦めていないのが恐ろしい
サッカー部を作る時には無視しておきながら今になって図々しすぎて怒れてくる?
執着が逆に怖い?
一体何考えているんだろう?
・・・どうやら長い戦いになりそうだ




