274 掛川学院との練習試合(その18)~三田剛~
「三田は体が大きいからGKな」
体育でサッカーのたびに先生から言われた
皆がボールを蹴って楽しそうにしているのをゴールから眺めるだけ
「ぼくだってボールを蹴りたい」
そう言うと先生から
「わがまま言うな!」
と言われる
理不尽なんだが小学生の三田剛にはどうすることもできなかった
そんなときに先生に文句を言ってくれたのが吉田茂だ
「三田だってサッカーしたっていいだろう!」
そう言って先生に喰ってかかっていた
先生に文句を言う吉田
自分にはできないことだった
まあ先生が自分の意見を取り下げることはなかったですけどね
そんな吉田から中学に入ってすぐに
「一緒にサッカー部をやろう」
と誘われた
三田は身体が大きいけど家でTVや本を読んでいるのが好きだ
べつに一日中家にいても全然苦にならない
一方、幼馴染の吉田は朝から晩まで外で遊ぶのが好きだった
野球にサッカー、縄跳び、蝉取り、キャッチボール、バトミントン、竹馬
家に居ると誘われて付き合わされた
特にキャッチボールとかは二人じゃないとできないしね
まあ大きくなってからはいい思い出になるのかもしれない
そんな恩人でもある幼馴染から誘われたんだからやらないという選択肢はなかった
やりたくない70%
やってもよい30%
ってところかな?
だったらやりたい時だけ出ればいいよね
というキャプテン兼監督の言葉
中学校の部活なのに本当にそれでいいのか?
と思ったのは内緒
野球部なんて平日の毎日どころか土日もあるから
「そんあの許されるはずがない」
と思わず呟いたら
「は?誰が許さないんだ?」
と逆に聞かれた
キャプテン曰く
「そういうのは『同調圧力』といって聞かなくても好い」
清々しまでにばっさり言い切られた
吉田茂と同じくらい竹を割ったような性格をしていた
「大体最大戦力をゴール前に押し込めて使わないって頭がおかしいだろう」
小学校での出来事もありGKやらされるのか?と聞いた答えがソレだった
竹を割るどころか地面まで割ってそうな切り口だった
攻撃でも防御でも威圧感満載の使える人材だよ?
気がきくのでMFで状況を見ながら自分で動けるのはいいね
思いっきり褒められた
あ~あ~、うちのチームはGKが男子のローテーションだから当番が回ったきたら諦めてGKしような
あ~、あと何かあったっけ?
まあ思いついたら言うわ
だから三田も言ってね
・・・一体どう言えばよいのかな?
今までにあったことがない種類の人間だと言えば判る?
言葉で説明できないのがもどかしい
-------------------------------------------------------------------------------------
もしも逆行転生することがあったらGKしかやらせなかった先生に仕返ししたい




