251 11番目の適格者(その6)
「だが断る!」
今度の土曜にサッカーの試合があるから上杉(兄)を野球部に借りに行ったら監督に断られた
野球部も土曜に試合がある
貴重な戦力を持って行くな
実に正当な理由だった
しまった、上杉(兄)を強化しすぎたか(汗)
こちとら10人ギリギリでサッカー部として終わっているんだ
助っ人がいないと練習試合もできやしない
・・・本当に昭和はサッカーにとって冬の時代だ
ここで木下は閃いた
だから言ってやった
選手を1歩前に進ませてノックしろ
いや真面目な話だ
野球の守備というのはどこかの魔法師のように1秒以下で発動させなければならないんだ
バウンドした球を獲る
真っ直ぐに自分に向かってくる球を獲る
自分の真横を通り過ぎる球をジャンピングキャッチする
本当に大変なスポーツだ
・・・それなのにエラーすると罵声が飛んでくるんだ
それも監督から
そんなんだから選手の性格が歪むんだよ
下級生を奴隷にするとか
飲酒するとか
イジメするとけ
ケツバットするとか
グランド整備を押しつけるとか
絶対に紳士のスポーツとは認めない
すまん
ついトラウマが出てしまった
一度目の昭和の時代の人生は酷かったからな
主に野球関係と学校のイジメ関係で
だからつい愚痴が出るのも仕方ない(と思う)
話を元に戻す
人間の反応速度というのは馬鹿にならないんだよ
なにせ慣れてくると脳からの指令がなくても身体が動くからな
条件反射というやつだ
戦闘機のパイロットの話をしよう
敵機を見た途端身体が勝手に回避行動したという逸話は数多くある
人間極限に置かれるととんでもない力を発揮するとう実例だ
おかげで
ミサイル避けの魔術を使う
後ろにも目が付いている
といったレベルの化け物ができるんだよな
そんな潜在能力を磨くには練習が必要だ
だが長時間続けてやれば良いというものではないんだよ
1000本ノックなんて論外だ
ソレで何とかなっているなら日本の野球のレベルはとっくにメジャーを追い越している
一日の練習が短くても集中することが大事なんだよ
全集中!とか言うだろ
だから
右上、右横、右下
真上、正面、真下
左上、左横、左下
の9か所に順にノックをするようにアドバイスをした
それも一歩前に出させて、だ
もちろん慣れたら二歩三歩前に出てね
という楽しい未来図も教えておいた
野球部の面々は喜びのあまり踊っていたな
いやそこまで喜ばれるとこちらも言った甲斐があったというものだ
ああ、これはサッカーのGKの練習の応用だから皆もやってみようか?
そうサッカー部のメンツに言ったところこちらもで大歓迎だった
野球部同様に奇妙な踊りをしていた
いや~喜んでもらえて嬉しいよ
良い事をした後は気持ちがいいな




