244 練習メニュ―を決めよう(その9)
言っておきますがこの技を私はできません
まあやってないだけなんですけどね
サッカーボールを入れる大きな鉄製の籠なら入れられるから修行すればできると思いますけどね
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<ボスン>
オレが蹴ったサッカーボールがゴールに吸い込まれて網を揺らした
「「「「「おおっ」」」」」
声が上がった
もちろんオレはどや顔だ
ゴールはゴールでもバスケットボールのゴールだからな!
・・・いやまさか入るとは思わなかったというのが本当なんだがな(汗)
「すっげー、オレもやりたい!」
小川が手を挙げてすり寄ってきた
口調がどこかの海賊船の船長みたいなのは気のせいだろうか?
いえね、今サッカー部でシュートの練習をしているんだよ
ついこの間までゴールポストのバーに当てるという練習をしていた
さすがに外すと恥ずかしい
なにせ他の部活の人間も校庭にいるからな
おかげでスキルが凄い勢いで上がった
・・・やっぱり人間崖っぷちだと成長するもんだな
人間慣れとは怖いものであっという間に皆ができるようになっていた
・・・なにこれ、怖い
正直な感想だ
中学生の成長率、パないな!
たぶん純粋無垢だからできたんだろうな、と思う
大人だったら失敗を恐れて最初っから冒険しない
半分子供で半分大人だからできたんだろうな
ねえつぎは?
なにやるの?
キラキラした目で聞いてきやがりましたよ
そこは自分で考えろ、と言いたい
どこかのノートに書くだけで変身できる中学生と違ってオレの想像力はカスみたいなものだからな
ド○ムノートが欲しいくらいじゃわい
そう言う事だ
・・・ド○キで売ってないかな
サッカー部の面々からのプレッシャーによりオレの灰色の脳細胞が活性化された
チ―ン
どこかのトンチの小坊主のように閃いた
サッカーゴールがあるならバスケットのゴールがあってもいいんじゃね?
そういうこと
・・・囲碁のAIを超えたと思ったね
だから次の試練はバスケのゴールにしてみた
無茶かもしれない
無理かもしれない
でも無駄ではないからな?
多分
失敗と言う名の経験をしたというやつだ
・・・だれの名言だったっけ?
とりあえず校庭にあるバスケのゴールに向かってボールを蹴ってみた
そうしたらなぜか入ってしまった
・・・なんでだろ~(以下自粛)
これが本当の勘ちがい系というやつだ
あるいはマーフィーの法則?
入らないでくれという時に限って入るというやつだな
すっげ~
キラキラした目で見られた
内心恥ずかしくって仕方がない
外側中学生だけど中身はおじさんだからな
や、照れるね
いや~それほどでも~
どちらを選ぼうか迷ったあげく、どちらも選べなかった
どちらも人生で言ってみたい台詞トップ10圏内なのにな(涙)
だからつい「やらせて!」という小川に八つ当たりをしてしまった
校庭の反対側にあるバスケのゴールを指差して言った
「アッチ使え」
というやつだ
ツンツンですまないな
「おおおおおおっ」
小川はボールを蹴りながら反対側に走っていった
相変わらず元気だわ
っていうかオレのツンツンに全く気が付いていなかった
正直は最高の戦術とはよく言ったものだ




