情報収集2
「ここか……」
俺は今、村長の家と思われる村のなかでも大層大きな家の前にいた。
素材は周りの家と同じ赤レンガのようだが、庭のようなものや簡単な門がある為か立派に見える。
「なんか入りづらいなぁ……」
普通、全く見ず知らの人の家に訪問するなんて事はなかなか無いため、思わず躊躇してしまうが。
「何か用事ですかな?」
気がつくと隣に杖をついたおじいさんがいた。
服装は麻のような生地のもの……この村ではこのような服が一般的なのかもしれない。
「村長さんにお話したいことがありまして……」
「それはちょうど良かった。いかにもわしが村長じゃ」
お、ラッキーだ。ここであったなら、気を使う訪問イベントをせずにすむ。俺は村長さんの家の中に招かれ、そこで話をすることになった。
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外から見ると二階建ての様にも見えるが、室内は天井高の高い1回建ての様だ。段差も最小限にされていて老後の生活にはもってこいのバリアフリーな家だ。
「老後にはもってこいの室内じゃろ?」
なんだこのじいさんエスパーなんじゃないか?
そんな事を考えながらリビングと思われるところに向かう。
「お前さんの用事っていうのは、昨日この村に来た幼子のことかな?」
またしても聞きたいことを見抜かれてしまったが、わかっているなら話は速い。しかし、幼子とは?疑問に思いつつも、とりあえず話を続けることにしよう。
「そうなのですが、実は自分にもわからない事がおきてまして……」
俺は村長に自分の身に起きたことを話した。
「ほう……そのようなことが……それでなにか手がかりがないかとこの村に訪れ、そこでケニーの奴から昨日の幼子の事を聞いて来られたのですな……」
村長は少しの間 「んーー……」 と悩んでから話を続けた。
「確かに、あなたの事について何か知っている可能性もかなり高いですが、まともに話せるかどうか……」
(何故まともに話せない?子供だからか?いや、子供が1人でこの村まで来たのか?)
少し不可解な事が多すぎる。村長にはもっと聞き込みしなくては。俺は疑問に思っていることを全て聞いて見た。
「村長……色々とお聞きしたいことがあるのですが、幼子とは?それなら親は?」
「幼子と言っても恐らく我々とは種族の違う者達ですので……ですので、親がいなくてもおかしくはないのです」
「へっ!?人間じゃないんすかっ!?」
「いえいえ、人間ですよ(笑)種族が違うだけですよ(笑)」
(急に馬鹿にしてきやがったぞこのじじい)
しわしわな顔を更にしわしわにして馬鹿にしてくるじじいは置いといて、その後の村長の説明によると、この世界では能力の特徴によって種族が分かれているらしい。
例えば、魔法を使う人間は魔法族。角が生えていたら魔人族などだ。因みにほとんどの人間は人間族、すなわち無能力らしい。また、種族が違えば文化も違うらしく、悲しい話だが、出来の良くない子供が産まれると平気で捨てるような種族もいるそうだ。村長によると今回の幼子も捨てられたのではないかとのことらしい。
「まぁ、記憶喪失したようじゃし忘れとってもしかたないかのう」
村長は呑気そうにそんな事を言っているがそれは違うはずだ。
俺は今まで人との関わりや名前、住んでいた場所は記憶喪失で無くしたが、世間の常識のようなものは何ひとつわすれていないはずだ。
ということは、俺が元いた場所は魔法なんてないところだったんじゃないか?
まぁ、ほんとに記憶喪失で無くしただけかもしれないが……
その前に、では幼子の種族は人間族以外なのだろう。ではなんだ?俺は村長に聞いて見ることにしよう。
「では、その幼子の種族はなんなのですか?」
「それがわしにもよく分からんのじゃ」
村長の表情はさっきまでのにやけ顔とは打って変わって本当に困った顔をしている。
「わしは今まで長いこと生きていたが、わからん種族には出会ったことないのじゃよ……我々と同じ人間族かとも考えたのだが、マナの量が多すぎるのじゃよ」
村長によると、どの種族でもマナは持っているらしいがその幼子は人間族に比べれば遥かに多いらしい。
「まぁ、何はどうあれ1回会ってみてはどうじゃろう?」
俺は村長の提案通り、その幼子のいる部屋に向かうことにした。
今回で幼女を出す予定でしたが次回になりました。次回もよろしくお願い致します。




