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初のクエスト

「くろんおはよー」


 俺はいつものようにアシュの声で目を覚ました。


「おう、おはよう。アシュは早起きさんだなぁ」


 えへへ、とアシュが嬉しそうに笑った。

 ……幼い子供は起きる時間が早いと聞くが本当にそうなのかもしれない。


「きょうは、ペイルにあわないといけないんだよ」


 そう言えばそうだった、ペイルにビジネスの話を考えてこいって言われていたんだった。まあ、ビジネスと言っても、狩りというかなり野性的なものだが……


(ペイルの話にでも、乗ってみるか……)


 本音を言うと、ケンターキーの恐ろしさを知った今では、狩りなんて以ての外だ。しかし、ケニーから貰った10パーンはこのままでは後5日もったらいいところだ。居候する宛もクラッドさんの元しかないが……あの人と関わるのはもっと情報が集まるまでやめておいた方がいいだろう。そうなると、今後2人で生活していくには、金は自分の手で手に入れる必要がある。


(よし……せっかく冒険者になった事だし、いっちょやってみるか!)


 俺は冒険者応援パックを身につけ、アシュと共に冒険者ギルドに向かった。


----


「おう、クロン! 待ってたぜ!」


 冒険者ギルドに入ると、入り口でペイルが待っていた。


「おっ? そのカッコってことは話に乗ってくれるのか?」


「まあな、俺だって金がいるからな」


「そうか、それは良かった。ちょうど良さそうなクエストがあったから早速申し込んでくるぜ!」


「頼むな」


 そう言うと、ペイルはにやにやしながら、オーダー表の様な紙を受付に渡しに行った。ペイルにとっては自らクエストを申し込むことは新鮮なのかもしれない。


「あしゅもいっしょにいっていいの?」


 しまった何も考えてなかった……アシュの治癒魔法? は確かに強力だが、アシュを危険に晒すわけにはいかない。どうしたものか……


「アシュちゃんは私が面倒見て置いてやるよ」


 ふと振り返ると、受付にユバさんがいた。


「でも、ユバさん仕事が大変ではないですか?」


「馬鹿言うんじゃないよ! わたしゃ何年この受付してると思ってんだい? こんな小さい子の面倒くらいで仕事に支障はでんわい! それよりもアシュちゃんが危ないとこいってる方が仕事に集中できんわい」


「じゃアシュ、ユバさんと一緒に待っててくれるか?」


「うん……いいよ!」


 アシュは一瞬悲しそうな表情を見せたが、俺に悟られないようにか直ぐに笑顔で答えてくれた。


「うっ……アシュ……ごめんな。すぐ帰ってくるからなっ!」


 俺は涙ながらにアシュに抱きついた。


 この娘はなんて優しいいい子なんだ……


「ケッ、これじゃどっちが大人やら……まあ、安心しな。私がついてたらこの娘に手を出す輩なんぞおりゃせんわ」


 確かにこの人なら安心だろう。なんか凄い説得力がある。


「では、アシュの事を宜しくお願いします」


「おい、クロン。クエストの受付してきたからとっとと出発しようぜ」


 そう言うと、丁度ペイルが戻ってきた。


 俺はユバさんに一礼してペイルと共にギルドを出た。アシュがギルドの外まで出て、手を振ってくれている。俺もアシュに最高に自然な笑顔で手を振り返す。


「そういえば、あの娘のこと何かわかったのか?」


 不意に思ったのか、ペイルが聞いてきた。


「少しな。アシュはボニタスとか言う種族らしいが……ペイルは聞いたことないか?」


「聞いたことないなー……でも、なにかわかったら伝えるよ」


 そんな会話をしながら歩いていると、街の門が見えてきた。


「おお、ペイルじゃないか。今日はそんな装備をして……隣の彼と共に狩るのか?」


 門番と思わしき人物がペイルに話しかけた。


「まあな。俺もたまには自分からクエスト受けたかったんだよ。まあ、戦闘はこいつに任せるけどな」


「なんとなくそうかなーって思ってたけど、やっぱりそうなんだなぁ……」


「最初に言っただろ。俺は回収専門だ。援護はするがメインの戦闘は任せたぞ!」


「まあお前達、怪我はしないようにな。では、幸運を」


----


門を出てから15分くらい歩いただろうか? 地面にあった馬車道は見受けられなくなり、街も霞むくらいになった。しかし、依然街の全貌は見渡すことが出来ない。


「こうやってみたらべネヴァの街ってでかいんだなぁ」


「まあな。ゲイルシュタット王国の中でも主要商業都市らしいからな。それはともかく、もうすぐ森に着くぞ。森の辺りからモンスターが増えるから気をつけろよ」


----


 ペイルの言った通り、しばらくすると森が見えてきた。だが、ステップ気候の場合森はないはずだが……


「なあペイル、この辺りでは森もあるのか?」


「そりゃ森くらいどこでもあるだろぉ?」


 まあ、そんな土地もないことはないが……実はこの辺りはステップ気候ではないのかもしれない。それにしても急に草原から森になるもんだな……


「そういや、俺達は何を狩るんだ?」


 俺はまだ、ペイルに肝心な事を聞いてなかった。


「お前にはまだ言ってなかったな。知ってるかもしれんがビックフロッピーだ。初めてのクエストにはもってこいだろ?」


「知ってる事には知ってるが……まだ見たことは無いぞ」


 ビックフロッピーと言ったら村長の家で振舞ってもらった事がある。味は鶏肉のような気がしたから、鶏なのか? ケンターキーみたいに凶暴で無かったら良いのだが……


「まあ、森に入ると直ぐに見つかると思うさ」


 そう言うと、ペイルは森に入っていく。俺もペイルを見失わない様に、駆け足で森へ入った。










 やっと冒険者らしい事をする事になったクロンですが、次回は無事にビックフロッピーを狩れるのか? 次回も宜しくお願いします!

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