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世界の異変

 〜エリアイタリア〜

 天空都市イスカーンの西端部分に位置する場所。そこでも第6世代の悪魔の子供は存在していた。

 研究物質の保管庫として機能していた場所にそれは位置した。

 基本、空震エレベーターは各国の首都にしか設置されていない。

 しかし保管庫があっただけあり、地上からの昇り降りが頻繁にあった。それゆえ、空震エレベーターが地上イタリアの首都ローマだけでなく、イタリア各地に設置してあった。よって述べ30万人もの人口が移住に成功したのであった。

 そんなエリアイタリアの人々の暮らしもエリアジャパンの人々と似たような生活だった。テントの家に住み、超化学によって生産された食糧を配給制度で手に入れる。しかし唯一違ったのは地面だった。エリアジャパンではレンガを敷き詰めていたが、ここエリアイタリアでは大理石を敷き詰めていた。理由は単純なもの。空震エレベーターの到着地点に一番多く散らばっていたのが大理石であったからだ。

 そんなエリアイタリアにも異変が起きた。ちょうどエリアジャパンでフユとアカネがハーピーと交戦を始めた頃だ。

「Oh, questo!(何だあれ!)」

 短く切りそろえられた金髪の髪に青目が特徴的な男性が声を上げる。

 男性の視線の先には、大きな両翼をもつ半人半獣の生き物。上半身は女性の裸体に鱗が生え、下半身は鳥。ハーピーだ。

「I tipi non possono venire a qui!(奴らがここまで来れるはずがない!)」

 甲高い女性の子が轟く。

 それを嘲笑うかのようにハーピーたちはぞろぞろと現れ、奇声をあげる。

 高速旋回からの鉤爪の刺し攻撃。イタリア人たちはなす術なく虐殺されていく。

 綺麗に陽光を反していた大理石は赤の血で染まっていた。


 〜エリアUSA〜

 現・空国協会(くうこくきょうかい)オロジストで、元・天空研究本部が位置していた真下にはアメリカがあった。だからこそ、空震エレベーターがイタリアのそれを遥かに凌ぐ数、設置してあった。

 それにアメリカは2019年に戦争放棄を謳い、科学都市を目指し始めていた為人口の約6割が研究に携わる仕事をしていた。故に天空都市に600万人が移住したのだ。さらにオロジストより与えられた土地は天空都市の全領土の半分だ。

 地面は研究員の力を総動員して作り上げたアスファルトで覆ってある。

「What are you doing?(お前は何をしている?)」

 茶髪の髪を長く伸ばし、後ろで一つに束ねている男性が声をはりあげる。

 それを受ける赤髪の少年は黙ったまま下を向いている。

 そうこの土地にも悪魔の子供は存在するのだ。しかし、エリアジャパンのように軟禁されるようなことはなく、一般人と一緒に暮らしいている。

「But father, Pro Dawn came over!(でもお父さん、プロドーンがやってきたんだよ!)」

 赤髪の少年は声をはりあげた男性をお父さんと呼び、慌てた素振りを見せて告げる。

 お父さんと呼ばれた男性はプロドーンという名を聞いて顔色をなくす。

 プロドーン。それはハーピーのような半人半獣ではなく、完全怪獣。容姿は古代の空を制したプテラノドンによく似ている。しかし、目が3つ付いているのだ。

 そこが大きく異なる場所であり、後の翼や骨格などはそっくりだ。

「Can you defeat it?(倒せるか?)」

 父親は真剣な眼差しで息子に訊く。

「I do not understand it. But I think that probably it is impossible. A flying monster has too bad part.(分からない。でも、多分無理だと思う。空飛ぶ怪物なんて部が悪すぎる。)」

「Well. Then do you escape?(そうか。じゃあ、逃げるか)」

 息子の台詞を聞いた父親は深く息を吐いてから駆け出した。


 〜エリアチャイナ〜

 エリアジャパンと空海(そらうみ)を挟んですぐある他国領。空海は国と国を分け隔てるために無理矢理作った国境線。雲はあれど、踏み締める土地はない。底なしの海。そういった存在であり、そこを渡るためには国通勘(こうつうかん)といういわゆる通行手形を門警(もんけい)ーー字のごとく国と国との間にある国境線を保護する門を(まも)る警察ーーに見せることによってゲラモニウム製の船を貸してもらえ、渡るのだ。

 エリアジャパンのハーピー襲撃と時を同じくしてエリアチャイナもハーピーの餌食になっていた。

 自己欲の強かった中国人たちは我よ我よと国内に設置してある5箇所の空震エレベーター。上海、北京、チベット、広州、成都のすべてのエレベーターに人が秩序もなく押しかけた。結果、移住可能者は150万人ほどだった。世界2位の人口を誇っていた国も今では見る影もなかった。

「没理由那种化物能获得胜利!(あんな化物、勝てるわけない!)」

「缠人!(うるさいわね!) 不按!(押さないで!)」

 自分だけは逃げ切る、そう言わんばかりに人を押しながら逃げ回る姿がそこにはあった。


 〜空国協会オロジスト〜

 元研究本部と言うだけあり、全面清楚で穢れのない純白の壁がある。そこに主要エリアの代表者が集まり会議を行っていた。

「The mysterious family came to the sky at last, too(遂に怪族も天まで来ましたね)」

 エリアUKの統括者ファミリア・ルグベルが丁寧に手入れされた銀色の髪を(なび)かせて告げる。

「Yes. Time when we reduced life might come(そうだな。我々も命を削る時がきたのかもしれぬな)」

 エリアイタリアの統括者オリジナル・カラオスが闘争的な目つきで(たの)しげに言う。

「Nothing is funny. Do you start recapture operation above the ground?(何も可笑しくない。地上奪還作戦を開始するの?)」

 エリアジャパンの統括者である小郡(おごおり)海砂(みさ)が愉しげなカラオスを一蹴して訊く。

「Oh. I begin being a slightly pleasant rule(あぁ。ちょっと愉快なルールでおっぱじめてやる)」

 エリアUSAの統括者ダグラス・マッスルが不敵な笑みを浮かべ静かにそう告げた。

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