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KEYAKI の恋  作者: 玲於奈
1/13

出会い

なし

昔から

なぜかなと思うけど

わたしには

わからない


だけど

やみくもに

とつぜんに

急に電車に乗りたくなる時がある


このあたりは

JRも西武も京王も小田急も

いろいろあるのに

なぜかこの乗り物


そうわたしは

こののりものがすき


この路線は始発駅から

終点の駅まで乗っても

1時間もかからない


大学入学の手続きで

こちらに来て

初めて乗って

運がよかったのか

富士山が車窓から見えた


すごく驚いた


わたしの中には

富士山は都内からしか見えない

そういうイメージがあったから

雪の帽子をかぶった

富士山をみて

ほんとうにおどろいた


この乗り物は

高いところをはしる

いいところは

季節ごとに移りかわる

まちの様子がながめられる


桜がピンクになって

街中が新緑になり

そして

秋になって

赤や黄色に街が変わるのが

たまらない

そして、それが

この乗り物の

すきな理由なのかもしれない。



けやき


わたしと同じ名前


この街は、

この木を大事にしている


そういえば

なんで私ってけやきって名前を

つけてもらったんだっけ



暮れもちかづいた25日



私は終着駅にある

パルテノンを見あげていた


おなじ

広い空

モノレールの時もそう

なっとくする


乗っているとき

本当にそう思う


そしてここも

電柱のない

ただっひろい風景


空が広がる光景。


やっぱり

わたしはそれが好きなのだ


駅の連絡通路には

正月イベントのポスターが

これでもかと貼られている


去年のお正月を思い出す

父さんの酔っぱらいに

つきあいながら

見た駅伝


父さんの相手をしながら

ふと思いたって

イケメンさがし


まぶしいくらいの

美少年多数


軽い気持ちで

はじめたのに

こちらが

夢中になってしまった


中・高時代の

ジャニヲタメモリーが

よみがえる

家族に嫌がられながらも

どんだけHDDの扱いに

詳しくなったことやら



父さんは

終始

機嫌がよかった。

とにかく笑って

お酒をのんでた


その明るさは

わたしに

きっと言いたいことが

あるんだろう

その裏返しに

思われた


みんな

知っているだろうけど

いろいろあって

やめてしまった

Yピアノスクールの講師


父さんは

結局明るく

私の近況にはいっさい触れず

そして

2日間とも

ゴールに着く前に寝てしまった


大晦日に

私が帰省してから

まったくふれられなかった話題


とにかく

話題から

逃げるように


わたしは

じっとテレビから

目がはなせなかった

ふりをしていたのか



そんな去年の年始を

思い出しながら

これから

今年はどうしようかと

ベネッセの方を

ぼんやり

ながめた



とつぜん

突き飛ばされた。


はく息の酒臭い


すぐそばの行列している

宝くじ売り場から出てきたようだ


ぶつかったのは

男だった


「なんだ、あぶねえなあ」


ポケットからウイスキーの瓶が

神殿前に続く

白い道路に転げる


ぶつかった手前

ころがる瓶を

ひろうとしながら

ふとその顔に

どこかであった気が


「なんだ、倉じゃないか。

 おまえ、こんなとこに

 住んでんのか?」


かつて同じ学部の

金さんだった。

なし

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