あっけない初恋。
―――中学3年の夏の出来事。
雲一つない、晴れた空はグラデーション。太陽は細やかに輝いていた。
そんな細やかな初恋をした。
僕は、クラスの美人でしっかりした生徒会長に恋をした。
夏休み前に告白を決めた。
「僕は、ずっと君の事が好きだった。こんな奴でよければ、付き合ってくれないか?」
「ちょっと、考えてみるわ」
きっぱり振られるよりはマシだった。
返事に少し期待する。
今まで彼女の出来たことのない僕に、こんな美人が彼女になったら――――
相当嬉しいであろう。
だけど、その日の放課後。
「ごめんね。貴方は私の理想より遠いから・・・・」
きっぱり言われてしまった。
少しでも期待した自分が馬鹿なように感じる。
あの時、彼女は何を考えてたのだろう?
理想と僕を比べていたのだろうか。
やっぱりこんなメガネで控えめな奴だと、女子の理想は手の届かないところにあるのだろうか。
バレンタインにはチョコ一つもらったことのない、告白されたこともない。
かといって嫌われてもいない。微妙な地味な立場だった。まぁ、いじめられるよりはいいけど。
振られてから、一週間後。
僕の気分も少し軽くなったけれど・・・。
登校中、彼女と、その隣に生徒会副会長が、並んで歩いていた。
生徒会副会長、竹内雅之は、イケメンで、爽やかで、裏表の無い。・・・女子の理想にぴったりだった。
そうか、こういう人が好みなんだ。僕とは正反対な・・・・。
辛くて、悔しくて、拳をギュっと絞める。
でも、太陽はそれを笑うように強い光を出していた。
僕なんか、恋したって結局こういうオチなんだ。
そんな、僕の気持ち悪い性格が出てしまう。
――――もう恋はしない。