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第九類 悲劇






松葉「今回は今まで以上に大変な事が起こるんだ!頼む、読んでくれ!」

―19:00 東京都―

日の入りが遅い夏場の東京も、時刻的にはすっかり夜だというのに、空は夕暮れのような明るさだった。

そしてまた、人禍機関員や巨像の変化した少女、そしてラナバドン達の勢いも止まるところを知らない。


怪我の治療を終えた鉄治と妹尾姉妹が加わっても、仙境は一向に好転しなかった。

そして、悲劇は雅子が一人逃げ遅れた少年を助けようとした時に起こった。


「大丈夫だよ。大丈夫だからね」

脚の骨を折られてしまった少年を抱き抱えながら走っていた。

変化の能力を使うという手もあったが、けが人に余計な刺激を与えない為にと思い、雅子は少年を両腕で抱き抱えていた。


そして、シンバラ社医学科社員等から成る救急基地まであと10メートルと言った地点で、




二人の眼前に一匹のラナバドンが立ちふさがった。




恐怖の余り必死でしがみついてくる少年に「怖がることはない」と言いつつ、雅子は両肩から細い刃を何本も生やし、ラナバドンの神経中枢を貫こうとする。

しかし相手も只で死んでたまるかとばかりに、尾の細い針を素早く伸ばしてくる。

狙いは雅子の左目だった。

「!!」

咄嗟に防御しようとする雅子だが、疲労と緊張と、少年を守らなければならないという義務感の所為で、上手く防御及び回避の形態に映ることが出来ない。

異形化して約二年では、それ程にまで能力を使いこなすことは出来なかったのである。


そして、ラナバドンの針が雅子の眼前にまで迫った、次の瞬間。



ドンッ!




縮こまっていた筈の少年が突如暴れるように跳び上がり、雅子を突き飛ばしたのである。

思わぬ展開にされるがままの雅子であったが、次の瞬間起こった事態を見て、彼女の心は暫し停止した。




ツグシュッ…




少年の背中から心臓にかけて突き刺さる針。

ラナバドンは尾を振り回し、少年の身体から針を抜くと同時に投げ捨てた。


少年は当然絶命しており、動くことなど無かった。

思わず少年に駆け寄り、亡骸を抱き抱え泣き出す雅子。

だがしかし、それも長くは続かない。

少年の亡骸が少し揺れ動き、雅子は「もしかしたら少年は生きていたり、或いはすんでの所で異形に目覚めて生き長らえたのかも知れない」等という希望を抱きかけた。




しかし、その希望もまた、長続きはしなかった。





少年の身体は突如小刻みに震えだし、その体組織は驚くべき速度で膨張していく。

そして、肌を甲殻に、目玉を複眼に、手足や指を節足に変化させた少年の身体は、少し小振りなラナバドンへと変貌した。



















シンバラ社緊急特務科実戦部兼用人員、及び、日本異形連盟東京チーム幹部手塚松葉側近、及び、同人サークル「ストレンジフィールド」代表・楠木雅子は








































止まった。











「…………………………………………………………嘘」















そして、その一瞬で、彼女の中に存在したあらゆる概念が、








吹き飛んだ。






「OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOAAAAAAAAAAAAAAAH!!」

悲鳴のような、咆哮のような叫びと共に、雅子の全身が人工的な青色に変色。

更にその身体がゲル状に溶解したかと思うと、途端に熱せられた鉄板状に置かれたプロセスチーズの様に泡立ち始め、その姿形がどんどん変わっていく。



「おい!止せ、雅!しっかりしろ!暴れるな!

自分の心でしっかり立て!

自分の意識の中に、自分自身という鉄板を極太のリベット十万本でとことん接合しろ!

リベットが無理ならアークでビード引いて溶接しろ!

ハ●●ロさんとかヒ●ロ●●ンとかみたく暴走しちまうぞ!

それで良いのか?俺は良くねぇ!つか暴走すんな!

同人とか会話とかエロで暴走する件はまぁある程度許すが、んなどっかの綺麗な主人公みてぇな暴走は絶対ェ許さねぇからな!

お前はそんなビ●トとか一●とかネ●みてぇな正統派主人公じゃねぇだろうが!

どっちかっつーとお前はアレだろ!?水野●太とかカ●マ●とか初代のコ●●イとかだろうが!

そんなヤツがご丁寧に暴走なんぞするか?んなわきゃねーだろ!」

松葉は知っていた。

これは、非異形時代に内面がある程度成長した状態で異形化した後天性異形―特に、頭が良く正確の根本もしっかりしていて、異形の生き方への順応が妙に早い個体が強いショックを受けた際に陥る、一種の暴走状態なのだと。

松葉は長く生きている間にこの状態(霊長型を対象とした異形医学用語で『後天性個体若年期早期適応時暴走症候群』と言うが、余りにも長いため省略)になった異形を何人も見たことがある。

今現在戦線を共にしている逆夜もまた、その一人だ。

彼の場合は、担当患者の子供をふとした一言で傷付けてしまい、その直後に子供がショックから立ち直れずに上の空で彷徨っていた所を頭から水の減った水路に落ち、そのまま転落死してしまった事にショックを受け、暴走症候群に陥った。


暴走した自戒意識は能力により彼を無数のキイロスズメバチへと豹変させ、秋の曇天へと舞い上がろうとした。

しかし、すんでの所で彼の恩師・玄白を初めとして、源太郎や陽一や松葉等当時の連盟幹部等によって捕らえられ、その後麻酔と精神療法で彼はどうにか元に戻り、平静を取り戻した。


「(―逆夜の時は何とか上手く収まったが…アイツの場合は能力の性質が性質だったから抑えようがあったんだよな…。

だが雅のは…奴のは明らかに違う…変化の能力によって取得できる形態は、持ち主の持つ情報やイメージのお陰で、変化後の姿はワイド版ノート一ページで二つか四つ解説する形式にしたとしても、デ●ノートで全世界の人間裁くだけの量は絶対必要になるわけだしよ…。

っと、読者連中にゃわけわからん話になっちまったが、要するに今の雅は誰にも止めらんねー上に、何に化けるかなんざ夜●院のヤク中探偵にだって皆目検討がつかねぇって事でな!?

まぁそれが極々普通のビキニアーマーの剣士とかSFな軍人とかなら良いがよ、仮に身長40m、プラナリア並みの再生力に蟻レベルの筋力を持った超絶☆筋肉娘とかだったらどうするよ?

多分こっからまだ最低でも完結までには第五部とか行くだろうし、俺としても無駄な力は使いたくねーわけなんだよ―)


―ってぉおおおおお!?」



気付けば雅子の泡立ちはほぼ止まったも等しい状態であり、暴走した雅子の身体は徐々にその形を決まったものにしつつあった。

そして激しい変形の果てに暴走した雅子は、何とも恐るべき姿へと変貌した。


それは都心部の大型ゲームセンター程の見上げるような巨体を誇る、腹部が異様に細い巨大な漆黒の蜘蛛であった。

但し、その節足は7対(十四本)もあり、その先端はいずれも鋭い刃になっていたし、腹部先端部―本来糸を生成するための器官『糸イボ』が備わっている場所には、巨大なモリが生えていた。


「…何だありゃあ…台詞にしてみりゃ『ハラワタぁブチ撒けるッシャ!』って感じか?」

「さすがまっちゃん、ギリギリー」

「ヘヘヘ…流石雅子だぜ」

「手塚さんも恋歌も田宮も冗談言ってないで対策練れよ…」

4人がそう言っている側から、暴走し巨大化した雅子は周囲の人禍機関員やラナバドン達を街諸共切り刻んでいく。


「なぁ、逆夜」

「なんです?」

「アレってさ、ハラワタどころか他にも色々なモンブチ撒けちまうよな…」

「だからそんな冗談言ってる場合じゃ無いでしょう!」

「だからってお前、アレをどうやって止めるよ?

前によ●こに化けてた雅子があんまりにも可愛かったんで後ろから抱きついて乳揉んだら一気にR仕様のブラ●ク●●ドーになっちまったんだぜ?

まぁどのみちあいつが可愛いのは変わんねーけど」

「今はアンタ達変態夫婦擬きの惚気話なんてどうでも良いんですよ!つまりどういう事ですか!?」

「要するにだ。変身中のあいつを変に刺激したりしたらとんでもねーモンに化けちまうかも知れねーって事だよ。

ましてや今のあいつは暴走中だ。

同じ暴走経験者なら解るんじゃねぇのか?アレ発症した異形がどんな気分かってのはよ」

「……」

黙り込む逆夜。

確かに、あの時の自分はとんでもなく酷い気分だった。

松葉は更につけ加える。

「更に言うとだな、あいつは曲がりなりにも巨像の眷属なんだぞ?

修行積みに積んでトチ狂うまで調子に乗りゃあどんな奴相手でも無敵のチート能力持ってるのだって、巨像のクローンとも言うべきライアーから能力を受け継いだからだ。

まぁ、あいつにそれだけの素質があったってのも十分あるがな。

心臓だけになっても洞窟の中で復活するような奴の眷属が暴走したんだ。それも力の根源のかなり近くでな。

普通ならこれだけでもう何らかの超常現象に発展したって可笑しくはねぇ。

それを下手に刺激すりゃあ、どんな事が起こるかなんて全くの予測不可能だろうが」

「そうですが…」

「だから今の俺達に出来ることは、ひとまずの様子見と、暴走したアイツを上手く味方に付けるように立ち回って人禍の連中をどうにかするって事だろうが。

まっこと残念なことに…ヨーロッパの方じゃ大志の奴が死んじまったらしいが、他のメンバーは少なくとも世界のどっかでビタンビタンしてるって話だ。

だからよ逆夜、とりあえず気ィ落とすなって――ドォォン!―な、何だオイ!?」

突如響く爆発音。音の方向に目をやれば、巨大蜘蛛の背中から炎が上がっている。

松葉は急いで本部に連絡を入れた。

「畜生め!どうなってやがる!

オイ斑ァ!一体全体何が起こったてンだぁ!?」

『その手塚か?いや、此方にも何が何だかさっぱりなんだが―いや待て、今神奈川チームから連絡が入った。

どうやら在日米兵の一部が戦闘機を乗り回して攻撃を仕掛けたらしい。それもF-22だ』

「はァ!?何やってんだあのバカ共!

そこらのしょっぱ雑魚や並大抵の奴ならまだしも、とんでも無ぇ能力持ったまま暴走した異形相手にミサイルだバルカンだが通じるとでも思ってンのか!?

それ以前に雑魚兵士が何を勝手な事してんだよ全く…」

『どうやら思っているらしい』

異形非異形を問わず、米国政府は異形と裏で結託関係にある

故に軍上層部には異形の存在も認知されており、こういった事態の際には兵士を戦闘ではなく救助に回す指示を出すよう定められている。

また、命令にしては明らかに機体の数が少なかった。

よって、兵士達が上からの命令で動いたとは考え難い。


「つか冷静に考えるまでもなく命令無視じゃねぇかソレ!

何勝手な真似して死にに行ってんだアイツ等!」

『今更何を言うんだ?奴らの考えは昔から変わらないだろう。

在日米軍は限られた基地・演習場や提供された海・空域外以外の所でも兵器で軍事演習をやっているじゃないか。

北海道から沖縄まで八つの訓練ルートを自由に使う事が出来る挙げ句、自衛隊訓練空域まで使う超低空飛行訓練なんかが良い例だろう?』

「まぁな…」

『それと、これはミリタリー系に詳しい知り合いから聞いた話なんだが、日本の航空法では、航空機の最低安全高度―つまり低空飛行の限度を、居住区域で300、非居住区域でその半分の150メートルと定めている。

だが在日米軍の低空飛行訓練はこの制限を全く無視していて、その上腰抜けの日本政府は「実弾射撃等を伴わない飛行訓練は、提供した施設・区域の上空に制限されたものではない」とか抜かしてこの酷い飛行訓練を容認しているんだ』

無礼(ナメ)てやがるな」

『それだけじゃないぞ。よく歴史の教科書に載っているけれど、在日米軍が元凶の事故や、気の狂った米兵がアホになってやった犯罪だって多いんだ。

こういった事故・犯罪で死亡した国民は異形・人間併せて1000人を超えている。

しかもコイツ等は公務中の事件・事故については一切誰も裁かれることがないんだよ。

公務外の事件・事故についても日本の裁判放棄は欧米に比べ格段に多くなっているし…信じられるかい?』

「ヒデェな…人禍込みでアイツ等も数三分の一くらいにすべきじゃねぇのか?」

『だろう?僕も正直、人禍諸共コイツ等も滅ぼすべきだとすら思ったよ。

いや寧ろ、一時は人禍の思想に敬意すら覚えたね。

だが奴らのやり方は所詮、旧日本軍やナチスドイツのような、今までバカをやってきた軍隊と何ら変わらない。

頭の悪い単純な暴力と差別意識と圧政による人民の支配、そして残存人類異形化による無差別的な民間人武装化…まさに地球への反逆だ。

確かに人類文明はリフォーマットされるだろうけど、人格と知性が同時に発展するとは思えないからね』

「長話ご苦労。ところでお前、()には会いに言ったのか?」

松葉は、同胞・木伏斑と嘗て遠い昔生き別れたままの妹の名を出した。

『……何?……妹を……()を見たのか!?』

「何だお前、聞かされてなかったのか?

あの()、人禍に居たらしいぜ…それも幹部側近でな」

衝撃的な事実に黙り込む斑だったが、暫くの後、松葉に聞いた。

『…死んだのか?』

「いや、幹部共々捕虜って扱いで本部の治療室に居るらしい」

『本当か!?すまん手塚、切るぞ』

「オウ。行って来いや!」


通話を終えた松葉は、再び雅子と向き合う。

爆発を受けた雅子は一瞬にして自分を攻撃した戦闘機を腹部先端から射出したモリで破壊し、新たなる形態へと変化を遂げようとしていた。


そして蜘蛛の背中が盛り上がり、頭が歪み始め、蜘蛛の背中からは巨大な鳥の翼が生え、頭部はイヌ科の肉食獣を思わせる形となった。

―同時刻・空母内―

「『八本脚でパタパタ飛ぶ犬が口から糸吐く』ならぬ、『犬の頭したパタパタ飛ぶ蜘蛛の脚は14本で全部刃物』ってわけね」

「言ってる場合ですか、総統」

「そうね。何か対策取らなきゃ危ないわよね。

んじゃ早速、覚え立ての新技試してみようかしら」

「お、漸く総統の能力公開ですね?」

「何言ってるのよ。アタシみたいなBBAが新技なんて早々覚えられる訳無いでしょ?

新技っていうのはね、巨像の奴よ」

「いや総統…あの状態の楠木雅子に巨像で手を出すのは正直推奨致しませんが」

「良いのよ別に。何でも良いから止まりさえすれば」

「僕は止めましたからね」


玄白の言葉も聞かずに、不二子はコマンドを入力した。


―同時刻・東京都―


空中に浮かぶ少女は、暴れ回る雅子目掛けて口から橙色に輝く太い光線を吐き出した。

光線の直撃した雅子は更に激しく暴れ出し、溶けるようにして次なる大がかりな変容の準備を始めた。


「ンの馬鹿ビッチが!あの馬鹿自分の種族の基礎知識もねぇのかよ!?

まぁ当然か…何()年とずっと地球外だったんだからな…後天性が産まれたのだって地球だしよ…。

そら知らねーのも無理はねーか」

「兄貴ー!言ってる間ァ有ったら逃げろよ!」

「おー…」

「何かテンション低ッ!」


そして変化に変化を重ねた雅子の暴れ方が更に酷くなっていき、終いには赤や緑や黄色等という様々な色に身体が次々と変色し始めた時。


巨像の目の色が青から赤に変わり、頭部にへばり付いていた物体を吹き飛ばし、粉砕した。


―同時刻・空母内―


ボォン!

「ッィャ!?」

漫画のような音をたてて爆発し砕け散るコントローラー。

「どどどどどど、博士(ドク)ぅっ!何なのよ!?一体何が起こったわけ!?」

「はぁ…どうやら奴は『眷属』の力が完成系に近付きつつあることに本能レベルで感動したようですね。

そのお陰で手作りのスティモシーバーもご臨終という訳か…」

「け…眷属!?

まさか、あの女が?巨像の?」

「そうですよ。忘れましたか?あの女にはライアーの血が流れている。

そしてライアーは、巨像を元にして作られた。

故にあの生き物はね、恐らく自分が産まれてこの方決して得ることの出来なかったものを初めて得られた事に、喜びを覚えているのでしょうよ…」

「決して得ることの出来なかったもの…?

……ねぇ博士、それってまさか…『アレ』の事?」

「えぇ…恐らく総統が予想なさっているであろう答えと、僕の答えは珍しく一致しているでしょうね」

「そう…」

不二子は手元に開かれた一冊の古びて所々虫に食われたノートに目をやった。





―みんなの異形昔話「ひとりぼっちの男の子」(ノートの内容より抜粋)―


昔々ある所に、一人の男の子が住んでいました。


男の子は産まれた時から一人でした。だから、何でも一人でやっていました。


でも、男の子は寂しくなんてありません。


何故なら、産まれたときから一人の男の子にとっては、それが普通だからです。


そして男の子は一人だけで生きていましたから、誰にも負けないくらい強くて、頭も良かったのです。


例えば森で薪を拾っている最中狼が立ちふさがれば、男の子はパンチ一つでそのお腹の骨を折って殺してしまいます。


例えば山で山菜や木の実を採っている最中熊に襲われても、男の子の跳び蹴りでその頭の骨は砕かれて、死んでしまいます。


沼地へキノコ狩りに行った帰り道に襲ってきた大きな毒蛇など、生きたまま皮を剥がれて焼かれて、男の子の晩ご飯になってしまいました。


湖で魚釣りをしている時に襲ってきた、飛行機のような大きさの鳥や船のような大きさの魚も、男の子に捕まって食べられてしまいます。


男の子は、自分の邪魔をする奴を許しません。


どんな相手であろうとも、男の子は一分もせずに倒してしまいました。


ですが、この世に無敵の強さなど存在しません。


それは男の子も例外でなありません。


ある日男の子は、森の動物たちを殺しすぎたと天の神様を怒らせ、神様が魔法で作った雷に打たれて、数日間もの間戦えなくなってしまいました。


そしてその時、男の子は心の中で「あるもの」を欲しいと思いました。


ですが、幾らお願いしてもそれが与えられる事はありませんでした。


そしてある時、男の子は願いに願ってそれを手に入れることができました。


しかし、それはよく見てみると上手に出来た偽物で、男の子の心には空っぽの部分が出来たままでした。


そして、男の子は長い月日の末立派な青年に育ち、その強さからある女王の治める小さな国の軍隊に誘われ、変な魔術師の所為で自由に動けなくなってしまいました。


ある日青年は、軍隊の切り札として戦争に駆り出されてしまいます。


魔術師に操られた青年は無理矢理大きな国の軍隊と戦わされますが、その最中、戦場で一匹の蝶を見付けます。


とても綺麗な青い蝶で、不思議な飛び方をする蝶でした。


そして青年は思いました。


この―(これより先はページがカビと虫食いによって崩壊しており、読むことが出来ない)



そして二人は一言言った。




      ね」

「「『家族』

      ですね

次回『このろくでもない素晴らしき世界』

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