第六類 誰もが戦士
不二子「あぁ!
あぁあああああああああ!」
(暫しの沈黙)
不二子「この後、第四部」
―同時刻・空母内・総統室―
巨像操縦練習をしていた不二子と玄白は、同時にクトゥルフ作戦についても知らされていた。
「ビルは良い子ね」
「えぇ、全くです。彼の実力は実に素晴らしい。海軍を率いるのにはもってこいの器だ」
「全くね。そして博士」
「何でしょう?」
「貴男、私に無許可なのは良いとして、無報告であんな海兵隊を裏で増やしてたのね?」
「あぁ、クトゥルフ作戦のラナバドンですか?
僕は知りませんよあんな奴ら。
そもそも陸兵や空兵と違って、海兵の出所の約七割は彼ですよ?」
「え?そうだったの?てっきりあのファンタジー映画の悪役っぽい海兵とか、少年漫画に出てきそうな怪物とかも貴男が作ったんだとばっかり」
「あのねぇ…そもそも僕はクトゥルフ作戦自体知らされてなかったんですから。
作戦名やあのエビの名前自体、さっき携帯メールで教えられましたよ」
「…何なのあの子」
「さぁ…。
ところで総統、巨像の操作方法覚えました?」
「あぁ、大丈夫大丈夫。それなりに調子良く動かせてるから」
「そうですか。では百八通りの必殺技も全て使えますよね?」
「え?108!?そんなにあったのこの子の必殺技?」
「そりゃありますよ…だってアレ、作ったの僕ですよ?」
「そうだったかしら?」
「そうですよ…忘れたんですか?貴女が無くした記憶戻すの大変だったんですよ?」
「苦労かけるわね、博士」
「まぁ、つもる話はこれくらいにしてですね。
とりあえず、覚えてないけど使ってみたい技とかあります?」
「何か遠隔系のが使いたいわね」
「遠隔系ですか…では102番『融合メーザー』何てどうです?」
「入力は?」
「入力はですね、先ず実行を二回押しますと口が開きますよね?
それから―
―同時刻・東京・源太郎―
ビルの影、源太郎はずっと巨像の頭部を睨み続けていた。
巨像を道連れに自殺し、自らの忌まわしい『核熱』の能力を、永遠の闇に葬るために。
「(この能力の欠点…それは威力の強大さに起因する、力をため込む時間の存在…。
特に今発動しようとしている『太陽の死』は、それが病的に長い。
だがしかし、私は既にその力を溜め終わっている…そして今、巨像の口は開いた…今こそが、奴を仕留め、この身諸共滅ぼす最大の機会!)」
源太郎は翼を広げ、大きく開いた巨像の口内へと飛び込んだ。
そしてそれが丁度食道のラインに来たとき、彼は自らの最終奥義『太陽の死』を発動した。
同時刻、不二子は巨像の必殺技である『融合メーザー』のコマンド入力の真っ最中であった。
そして、次の瞬間。
巨像の肩から上が、見事に爆発した。
―同時刻・地上―
その場に居合わせたあらゆる者が、驚きの余り声を失った。
そして沈黙を破るように、恋歌が言った。
「局長ー……」
一方頭を失った巨像は、絶命したかのように都市に倒れ込む。
その瞬間、ラナバドンも含め地球上全ての生き物が、
暫く待った。
―暫くして・空母内―
「…どうすんのよ…博士…?
巨像…死んじゃったんだけど…」
作中自信に満ちあふれていた筈の不二子の顔からも、血の気が引いていた。
しかし玄白は、あくまで落ち着いている。
「馬鹿はお止しになってくださいよ、総統。
あの白い巨像が、核爆弾で頭を吹き飛ばされたくらいで死ぬとお思いですか?」
「…へ?」
「巨像は超個体生物です。つまり、高等動物でありながら細胞一つ一つが個々の生命体として機能しいている。
そして奴はまた、ある種の変身能力というのを宿している」
「変身能力…?」
「心臓ですよ。異形会によって切り出された『心臓』に相当する|循環器系中枢を司る個体は、外部への適応を考え最終的に人間型に変形した。
それと同じように、巨像は全身の指揮系統を司る脳及び頭部を担当する個体が失われた場合にも、体内に酸素と栄養と水分が有れば、他の個体同士が協力しあって次なる形態へと変化を遂げるように出来ている。
そしてまた同時に、奴は『学ぶ』事もするのですよ、総統」
「…『学習』?」
「そうです。それも、奴は兎角『失敗』から物事を学びたがる」
―数分後・東京都―
「やった…巨像が……死んだ…?」
震える逆夜に、松葉は言った。
「いや、そうは問屋が卸さんだろ…」
「と、言いますと?」
「不二子の奴は馬鹿だが、傍らにあの玄白が居るって事は…だ。
何かウラがあるに決まってンだろう」
「裏…ですか…」
「そう、ウラだ。
そもそも奴は一度抜かれた心臓をはめ直して再起動する様な奴だし、心臓だけが自立走行して人間になったりするような奴だ。
何しでかそうが文句は言えねぇよ…」
そう言いつつも笑っている松葉の顔は、何処か巨像を挑発しているようにも見て取れた。
―同時刻・空母内―
「っていうか、スティモシーバーが吹き飛んじゃったんでしょ?
どうやって操るのよ!?」
「安心して下さい。
こんな事も有ろうかと、予備に自走機能付きの小型版を設置してあります。
身に危険が及んだ場合安全区域まで逃げ、任務再開が可能と思しきタイミングを見計らって自動的に相手の脳を探知。
頭蓋骨に穴を開け、ターゲットを殺さないように指揮権を奪えます」
慌てふためく自分自身に対し、この男はなんと用意周到なのか。
そう思った不二子は、惨めな気分になりつつもこう言った。
「…ナイスだわ、博士」
「お褒めに与り光栄です、総統」
―同時刻・地上―
頭を吹き飛ばされ、地に倒れ伏した白い巨像。
それは指揮系統を失って尚生き続け、より戦闘に適した身体へと変わりつつあった。
それと同時に、予備の小型スティモシーバーも任務を再開しようと走り出す。
そして遂に、変化を続ける巨像の形状が決まった時、スティモシーバーは蟲のような金属製の脚でノミの様に飛び跳ね、巨像の頭に飛びつくと、手早くその頭蓋骨に穴を開け針を差し込み、行動指揮権の剥奪を見事に成功させた。
―同時刻・空母内―
その姿に関する情報を知った玄白は、一人思っていた。
「(…成る程…軽くなったわけか……つまりお前は、あの技を試したいという訳だな?
よし判った。使ってやろうじゃないか…搭載されながら宝の持ち腐れになりかけていた…あの技を…)」
玄白は不二子に隠れ、あるコマンドを入力した。
―同時刻・東京都―
ラナバドン達のとの戦いを再開した日異連メンバー達。
彼らは巨像が倒れる以前より動きの激しくなったラナバドン達を、必死に駆逐し続けていた。
「そういえば、恋歌ちゃん!」
「なーに?」
「携帯メールの内容、何てあったの!?」
「メール?えと、イギリスの方から、大事な情報入ったって!」
「重要情報!?それってアレ?国際異形連盟のデータベースに完全登録されてるメアド前部に届いてたりする?」
「ん」
「逆夜さーん!今私ちょっと手が離せないっていうか、このエビで手一杯なんで!
メールの文面詠み上げてくれますかー!?どうせ手空いてるんでしょー?」
そう言われ、蟲の大群から上半身だけ生えた状態の逆夜は、懐から携帯電話を取り出した。
遠隔操作型クローンという形式での第三部の初登場で少しばかりお目見えした逆夜の能力は『虫籠』というもので、平たく言えば蟲(=昆虫や蜘蛛等陸生節足動物)の大群に変身する能力である。
また、変身は基本分裂(身体の一部が蟲に変化して離れる)形式のものである為、例えば指先を羽虫に変えて飛ばす事も可能である。
また蟲は彼の身体の一部であるため、やりようによっては感覚を共有できたりもする。
更にこの能力の恐ろしいところは、蟲に与えられたダメージが性質やエネルギーを維持したままその根源に送り返されてしまうという特性で、これにより逆夜に近付くラナバドン達は歩くだけで散々な目に遭っていた。
そして歩く度にボロボロになりながらも侵攻を続けるラナバドン達を愛用の巨大断骨刀で薙ぎ倒しながら、クラレはメールで送られてきた文面を読み上げる。
「蝗!?コイツ等が!?
エビじゃん!エビだよ!エビ以外に何と言えば良いのか分かんないよ!」
「だから翅無し跳ねる脚無しってあるんだろ」
「人から人を奪うって項目も気になるな」
「っていうか四人の騎士と四頭の馬ってそれなんて黙示録」
3人がラナバドン達を相手にしつつ記述について語り合う最中、恋歌は上空に不審な音の存在を感じ、その方向を見て、息を呑んだ。
「!?」
その位置は嘗て巨像が倒れ込んだ区域の上空であった。
そして数分後、ラナバドン達と交戦中の他の異形や保護されている人類達も、恋歌同様不審な気配に気付き、その光景を見て言葉を失った。
―同時刻・空母内―
「如何です?これが、白い巨像の新たなる姿…」
「素晴らしいわ博士…巨大怪獣としてだけでなく、萌えキャラとしても機能するだなんて…」
「そこまで意識したつもりはないでしょうがね。
只、それがアレの選んだ道というだけでしょう」
―再び地上―
「…あんだ…アイツは…?」
「…新手の幹部…?」
「…それにしてはまぁ…何か萌えキャラみたいな……」
上空に浮かんでいたのは、腰足下にすら及ぶであろう白い長髪を棚引かせた瞳の青い外見年齢17歳程の少女。
身体はほぼ裸かと思いきや、不定型な黒いボロ布を服のように纏っており、さながらファンタジー作品に登場する謎めいた孤高の少女を思わせる。
そう、この空中に浮かぶ謎めいた少女こそ、『巨体で動作が緩慢であるが故に敗北した』という経験から新たなる姿を獲得した『白い巨像』なのである。
少女の姿となった白い巨像は、辺りを軽く見渡すと、首を少しばかり上に傾け、口から深紅に光り輝く太い光線を吐き出した。
光線は無差別に街を焼き、その区画にあった物体の殆どを焼き尽くした。
「…やばいな」
「…やばいですね」
「…やばーい」
「……エビが一瞬で焼け死んじまったよ…ありゃ千匹は行ったな…」
4人含めその場の全員―人禍関係者までもが、唖然とした。
―同時刻・ヨーロッパ―
臣下を失った線分の異形・黒沢健一もまた、大量のラナバドンの群れを相手にしていた。
しかも何と都合の悪いことに、ラナバドンの数こそ他より少なかったが、その場は健一只一人であった。
「(やはり…二人一組の戦いに慣れすぎていたか…)」
槍やワイヤーで眼前の敵を駆逐し続ける健一は、当たり前になっていた臣下の存在価値を、改めて実感していた。
そして、それとほぼ同時刻。
遙か上空から、そんな健一の様子を傍観する視線があった。
―同時刻・謎の人影―
「…へぇ…あいつが黒沢かぁ…」
黒いシャツの上から黒いカッターシャツ、そして黒い長ズボンに黒の安全靴という、些か夏には相応しくない格好の女が乗っているのは、全長3m程の巨大な紙飛行機であった。
人禍幹部・天野翔。
序列六位の地位に在る幹部である傍ら、空軍総司令官として人禍の航空戦力の大半を管理している女である。
服装や髪型同様性格も女より男に近く、後先考えない無謀な行動を繰り返すかと思えば義理人情で他人を助ける優しさや、部下の失敗を「別にいいんじゃね?」の一言で許す寛大さをも併せ持つ。
攻撃的な者や独特すぎる性格故に他者を寄せ付けにくい者が多い人禍幹部の中では大変珍しい、フレンドリーな性格の幹部なのだ。
その性格の良さ故に組織内では男女共々熱狂的なファンが絶えない人気幹部として有名である。
天野は地面を見下ろしつつ、携帯電話を弄くり始めた。
するとどうだろうか。
地上のラナバドン達が一斉に戦闘行為を中止し、健一になど目も暮れずに残骸の荒れ地を後にしていく。
―地上―
「…これは…?」
健一は驚きの余り、立ち尽くす事しか出来なかった。
そして背後に気配を感じ、慌てて振り返る。
すると其処には、ショートカットヘアに黒い男物の服を着込んだ女・天野翔が居た。
「やぁやぁ、初めましてって所かな。俺は天野翔ってンだ。
人禍の幹部で序列六位、その上空軍総司令官もやってるんだぜ?カックイィだろぉ?」
「……」
「おいおい黙んなよ、シンバラの黒沢さん。アンタの噂は方々から聞くぜ。
何でも実戦・事務共々完璧にこなす文武両道のスーパーマンなんだってな?
それと睨むなって。オメーみてぇなシリアスキャラのガチ睨みはマジでこえーんだからさぁ」
「……人禍幹部ともあろう者が、何故こんな所に?」
「あァん?何でってそりゃオメ決まってンだろ。
夢だよ夢!」
「…夢?」
「そう!夢!俺の夢さ!強ぇー奴と思いっ切りヤり合うって夢だよ!
余計なモン無しに、お互い持てる力の限界を尽くして一対一のガチバトル!ゴ●ラVSメ●ゴ●ラの最新版みてぇなヤツ!あ、●ジラVSガ●ガンもアリだな!
戦闘訓練じゃそんな真似できねーからなぁ、夢だったんだそういうの!
何か漫画みてぇでカックイィだろ!?」
「…あの海老の怪物を退けたのも貴女ですか?」
「いや、確かにそうなんだが…実際にどっかやった序列二位のジョーンズのおっさんだよ。
あのエビ野郎、ラナバドンってんだけど、アイツ等はおっさんが操ってっからな。
いやあの人マジで寛大でさぁ、『この辺りもう瓦礫の山で襲撃の意味なんてねーだろうから他に回した方が良くないスか?』なんて軽くメールしたつもりだったのに『素晴らしいアイディアをどうも』とかって実行に移しちまうんだからなぁ。
いやマジで感動モンだよあの人は。知りもせずにアンチ気取ってるヤツは殺す」
「…目的は?」
「目的ィーッ?決まり切った事聞くなよ。
そんなもん、オメーとのタイマンに決まってンだろ!?
同じようなこと二度言わすなっての!」
「…私と…一騎打ち?」
「そ。だが勿論負傷したオメーなんぞとヤったって面白くもなんともねー。寧ろ不快だ。
そこで!」
天野は突然しゃがみ込むと、近くに落ちていた細い鉄製の針金で地面に何かを描き始めた。
「ィ良し。形はこんなんでいいだろ。
大きさは…そうだな、これの6倍って所か。
座標はざっと図面中心から北西の北方向へ47.63度の方角へ15mって所か…」
地面に文字を書き込みつつ何やら言っていた天野は、一通り何かを書き終わると、しゃがんだまま目を閉じて手拍子をゆっくりと二回。
「たのんまっス」
その言葉と共に、健一の足下へ光る円陣が現れた。
「…んなっ、コレは!?」
「おーおー、驚いてンなぁ。だが安心して良いぞー。
そいつは危害を加えやしねぇ。逆にを助けてくれる」
天野がそう言うや否や、円陣の中から人間一人を一口で丸飲みに出来そうな程巨大な白い動物的な口が現れ、健一を丸飲みにした。
円陣から現れた動物的な口を外から見ると、それはさながら太短い四角柱であり、赤と白で救急箱のような塗装が成されていた。
四十秒後、四角柱から吐き出された健一の身体には傷一つ無く、その体調は健康そのものであった。
跡形もなく崩れて消滅する四角柱に驚きつつも、健一は言う。
「…一体、何を…?」
「別に大した事じゃねぇ。
ただ、俺の能力を使っただけだ。
俺ァドツキ合いや馬鹿食いや釣りが大好きなんだが、同じくらい漫画とか絵とかも好きでよ。
自分で描いてたりもしててな。それが映って出てきた能力が『絵画』てヤツだ。
簡単に言えば、絵に描いたモンをある程度実体化させたり、目の前のブツに落書きして、その落書き通りに形を変えたり出来る能力って事だ。
場所さえ指定出来りゃ離れた所にだって出せるし、大きさだって自由自在。どうだ、カックイィだろ?
但し、複雑なモン作ろうとすると細けぇ設定が必要になってくるわ、デカブツや高性能な品の維持にゃ時間制限在るわ、何かの拍子にすぐぶっ壊れるわで、欠陥だらけなんだけどな」
そう言って天野は、懐から一枚のA4コピー用紙とシャープペンシルを取り出し、何かを描き始めた。
書き終わると、彼女は紙を二つ折りにし、地面に落とす。
紙は、風に煽られる事無く垂直に落下していき、地面と接触する寸前で跡形もなく消滅。
次の瞬間には、刃の湾曲した全長30cm程の短剣が天野の手に握られていた。
「クファンジャルってンだよ、コレ。インドとかペルシアの剣なんだと」
「独特な形ですね…」
対する健一も、線分の能力によりハルバードを手元に召還する。
「まーな」
こうして二人の激戦が始まった。
しかし、この二人の様子を上空から監視している者達が居た。
―上空・飛行船内部―
「…あの女…許せませんわ!」
上空に浮かぶ大型飛行船の中、三人いる幼女の内一人―人禍幹部、レネ・サザーラントは、苛立ちながら華美な装飾の施されたティーカップを荒々しく置いた。
『何をお怒りか?』
操縦席から筆談でそう発言するのは、白髪眼鏡の物静かなレネの部下・守谷有菜。
更に隅の方で縮こまってカバー付きの本にかじり付いていた黒い長髪の部下・土屋弥子も、首をかしげている。
レネは言った。
「お二人とも…苛立ってきませんの!?
この優雅で気高く美しき人類根絶計画の華たるこの私が、表舞台で華麗に活躍出来ない事に!
そしてあの粗野で汚らわしい、呪いの脂肪の塊をぶら下げた醜い女が、異形連盟幹部と一騎打ちの真っ最中であるという事に!」
しかし部下二人の反応は素っ気なく。
『別に』
「何も」
「んもう!貴女達という人は!人類を超えた異形としての誇りは何処に棄ててしまいましたの!?」
『そんなモノは元より無いし、何より貴女は幹部最下位。下手をすれば真っ先に死ぬ』
「守谷さん!貴女積極性が無さ過ぎですわよ!」
「そもそもサザさん…天野が嫌いなだけでしょ……?」
「ッ!嫌いだとかそんな、個人的な感情で言っているのではありませんわ!
あの女は呪われていますのよ!?悪魔に魂を売り渡し、胸元の汚らわしい脂肪の塊で世界を滅ぼす呪われた『巨乳』の手の者ですのよ!?
それだというのにあの女、裏でどんな卑怯な手を使ったのかは知りませんが、幹部第六位なんかに上り詰めたりして!
実力・人格・外見全てからして、あんな女等より私の方が余程幹部に相応しいですわ!
総統は人格こそ優れているけれど、人を見る目は全くありませんわ!
まぁ彼女も、『巨乳』の手の者によって呪われてしまっているのですから、多少の欠陥はユルされるべきなのでしょうけど…それにしても全く、薔薇のように麗しき大人の女性たるこの私を差し置いて異形連盟幹部と一騎打ちだなんて…許せませんわ!
守谷さん!」
『何だ?ミセス』
「あの汚らわしい女と女性を見る目の無い異形連盟幹部を、まとめて焼き払っておやりなさい!」
『了解した』
守谷は操縦席の赤いボタンに手を伸ばし、それを押した。
ガゴッ
飛行船下部に備えられたハッチが開き、中から無数のミサイルが戦闘中の健一と天野に向けて放たれた。
源太郎(亡霊)「いやー、確実に殺った!と思ったんだけどねー。
駄目でしたよ。えぇ。寧ろ相手は何か凄いことになるそうで。
まだ死んでない方々には全く申し訳ないわけで、えぇ。
次回、白い巨像第四部『乙女は飾らない』って、どういう話なんでしょうね?」