「理想の花嫁になるために」
「二十九歳までに絶対結婚する。」
それだけは、高校生の頃から決めていた。
主人公の美里は現在はフリーター。二十五歳。
「恋愛で人生は大きく変わる。結婚はその中でも重要な人生設計。」
それが高校時代から変わらない美里の口癖だった。
ある日、駅前で芸能人と間違えられるほどのイケメンを見かけた。
背が高く、爽やかで、笑顔まで反則級。やばいくらいの超イケメン。
美里は生まれてはじめて逆ナンした。
「すみません。道を聞きたいんです。」
「地元じゃないので僕も分からないです。」
「そうなんですか。じゃあ、お礼にお茶でも。」
「え、お礼?」
その意味不明な流れに彼は笑い、その笑顔に美里は心の中でガッツポーズを決めた。
四歳年下なのか、彼は二十一歳だった。
…よし。
二つ上でいこう。
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彼女なし、フリーを確認後、直ぐに美里の理想の結婚計画へ向けた、イケメン年下くん「懐柔作戦」が始まる。
とにかく居心地を良くする。
話を聞く。
ありがとうを何度でも言う。
彼が落ち込めば一緒に居酒屋に行って愚痴を聞き、ラーメンの食べ歩きに付き合い、嬉しいことがあれば全力で喜んだ。
そのうち彼は、
「仕事が終わると真っ先に会いたくなる。」
と、美里のもとへ帰宅するように…。
よし!
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ところが一つだけ、大問題があった。
夜の相性が、致命的にダメだった。
美里は内心、
(なんでこんなに顔は百点満点なのに、そこだけ赤点以下なのよ…)
と頭を抱えた。
ある日、勇気を出して話し合う。
「好きだから言うんだけど…ちょっと工夫したい。」
彼は真っ赤になりながら、
「勉強します。」
と真剣にメモを取り始めた。
後日、本屋で恋愛本を五冊抱え、レジで店員に
「プレゼント用ですか?」
と聞かれ、
「いえ、僕の教科書です。」
と、真顔で答えた。
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ある夜。
彼はサプライズで美里にプレゼントする予定だった指輪を隠した。
ところが慌てていたため、隠し場所を忘れ、一時間以上二人で捜索した。
家探しの真っ最中、溶けてしまった氷をグラスに足そうと美里が冷凍庫を開けると、そこに見慣れない小さな袋があった。
「なんで?!」
と絶句した美里。
彼は、恥ずかしそうに照れ笑いしている顔を手で覆い隠しながら、少し俯いて言った。
「俺のアイスの奥に入れとけば、美里は勝手には食べないから、絶対バレないかなって…。」
「…そか。」
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美里の二十七歳の誕生日の少し前。
美里は彼に言った。
「私、二十九歳になるまでに結婚したいんだけど。」
「うん。一緒にいよう。美里、結婚しよう。」
「ありがとう。…で、実話私もう直ぐ二十七なんだ。最初から四つ上って言ったら引かれるかと思って言えなくて…。だから後二年ちょっとで二十九歳なんだけど…。大丈夫?」
「もちろん。二年後でも四年後でも俺が結婚したいと思う相手は変わらず美里だよ。」
「ありがとう。…よし!計画通り。」
「え?」
「あなたとの出会いは偶然。でも結婚は私の計画通り。」
彼は苦笑しながら、
「美里の計画通りのタイミングの結婚でも、美里といる時間が一番幸せだよ。」
そう言って彼女を抱きしめた。
美里は思った。
人生は思い通りにならないことばかりだ。
不安だらけだった。
それでも、自分で動き、自分で選び、一緒に笑いあいながら乗り越えてきた。
彼に自分が選ばれたことに、美里は心の底から安堵した。




